2008/8/28
さばくまちのとなりにある、こうげんのいなかまちでぱいなっぷるくんはうまれました。
おおきくなり、ぱいなっぷるくんはぶりっぐずというおしろのもちぬしである、おりびえひめさまのあそびあいてとしてはたらくようになりました。
おりびえひめさまのごじっかであるあーむすとろんぐけは、おおがねもちであり、かぞくのひとも、めしつかいたちも、りっぱなおやしきにすんでいます。おりびえひめさまのおとうさまはくるんくるんとかーるした、りっぱなあごひげをもち、おりびえひめさまのことをとてもかわいがっていらっしゃいました。
おりびえひめさまがまだちいさいころ、あーむすとろんぐけでは、ぶりっぐずやまのうえにのこっているゆきをはこんできて、おひめさまのためにあいすくりーむをつくってくれたことがあります。1ねんになんどもなんども、それも、まなつの、いちばんあついときにも、です。
「まいるず、わたしはいまのじきになると、あいすくりーむがたべたくなる。ああ、あいすくりーむがたべたいな。」
まいにち、おひめさまがあいすくりーむのことをいうので、ぱいなっぷるくんはなんとかしてあいすくりーむをつくろうとおもいました。
でも、ぱいなっぷるくんは、いままであいすくりーむをたべたことがありませんでした。なぜなら、ぱいなっぷるくんがうまれたまちは、あめすとりすこくのなかでも、わりとあたたかいところにあったからです。
そこで、ぱいなっぷるくんは、あいすくりーむをつくってもらうことにしました。
ぶりっぐずのおしろには、おおきなしょくどうがあって、そのうらでたくさんのひとたちが、おひめさまやおしろではたらくひとのために、まいにちおいしいごはんをつくってくれます。
ぱいなっぷるくんは、しょくどうではたらいているおんなのひとに、『あいすくりーむをつくってください!』とおねがいしました。
「しょうささん、あいすくりーむはいまのじきはつくれないですよー。たくさんこおりがひつようだから、むりです。」
「なんとかなりませんか?おひめさまは、あいすくりーむがたべたくて、まいにちまいにち、とてもさびしそうにわたしにはなすのです。」
「それなら、ぶりっぐずやまのてっぺんまで、ゆきをとりにいくといいですよ。」
しょくどうのひとたちは、ぎんいろにひかる、おおきなのだんぼーるをわたしてくれました。
「これはおもてとなかに、あるみはくがはってあります。たぶんこれで、ゆきがとけにくくなるとおもいます。」
よくじつ、ぱいなっぷるくんははやおきをし、ぶりっぐずやまのてっぺんまで、ゆきをとりにいくことにしました。
なんじかんもかけて、やまをのぼると、やっとゆきがのこっているところにたどりつきました。ぱいなっぷるくんは、ちかくをあちこちさがし、よごれていないゆきをたくさんとってきました。
ゆきは、だんぼーるいっぱいありましたが、ぶりっぐずやまをおりるとちゅうで、ぽたぽたみずにかわってじめんにおちていきました。
ゆうがたになり、ぶりっぐずのおしろにつくころには、ゆきはほとんどとけてしまい、ほんのすこしだけになってしまいました。
ぱいなっぷるくんはとてもがっかりしましたが、のこったゆきをあつめると、あまいいちごあじのしろっぷをかけて、おひめさまにだしました。
おひめさまは、おいしい!といってくれましたが、『まいるず、もっとたべたい!』といわれてとてもこまってしまいました。
「おひめさま、じつはこのだんぼーるいっぱいゆきをはこんできたのですが、おしろについたときには、1ぱいぶんしかのこっていなかったのです。」
おひめさまはすこしかんがえると、『それでは、ゆきのあるところにいって、みんなであまいゆきをたべよう!』といいだしました。
でも、ぶりっぐずやまのてっぺんはたかく、いくまでのやまみちはとてもけわしくて、とてもおひめさまひとりであるけそうにありません。そこで、おひめさまをだっこしていくために、おつきのくまくんがなのりをあげました。
「わたしがかっかをやまのいただきまでおつれもうしあげしましょう。ほかにも、なんにんかおともがいれば、ゆきにかけるしろっぷや、あいすくりーむのざいりょうも、たくさんもっていくことができます。」
あいすくりーむ、ときいて、おひめさまはめをきらきらかがやかせました。
「あいすくりーむがたべられるのか?」
「はい。ここのいしゃが、ゆきにしおをまぜるととてもつめたくなるので、そのなかに、あいすくりーむのざいりょうをいれて、よくまぜるといいと、おしえてくれました。」
「そうだな。では、わたしもいこう。いきたいものは、いっしょについていってかまわないぞ。」
おひめさまといっしょにあいすくりーむをたべにいくということで、おしろのほとんどのへいたいさんがてをあげ、いっしょにいくことにしました。
「まなつにあいすくりーむをつくることができるんだって、すごいな。」
「ぼくはざいりょうをもっていこう。しぼりたてのぎゅうにゅうがいいだろうな。」
「いや、おれんじがいいとおもう。おいしいじゅーすになるくだものだから、こおらせるとおいしいよ。」
「ぼくは、いちごのじゃむをもっていく。これとくりーむをまぜてかためると、きっとおいしいいちごのあいすくりーむができるよ。」
「じゃあ、ぼくは、あいすくりーむをつくるための『いれもの』をもっていこう。ばっかにあさんのおーとめいるをつくっているぎしさんだったら、きっときようだから、おもしろいかたちのいれものをつくってくれるにちがいない。」
しゅうまつになりました。みんなはあいすくりーむをつくりにやまのうえをめざします。
やまのうえは、みどりいろのはなもようのじゅうたんです。でも、すぐちかくにゆきがまだのこっていました。
おしろのみんなは、しーとやしんぶんしをしくと、おひめさまをかこむようにしてまんまるくなってすわり、ゆきをあつめてきて、あいすくりーむをつくることにしました。
「なあ、おれんじじゅーす、ちょっとだけあるんだけれど、きさまのぎゅうにゅうといちごのじゃむがすこしのこっているようだから、いっしょにまぜないか?」
「めいあんだ。それで、あいすをつくろう!それをおひめさまにさしあげるときっとよろこぶだろう。――そうだ、まいるずさんに、わたすやくをしてもらおう。」
「――で、何を言ったことで、マイルズ少佐は両頬にビンタのあとを残すことになったの?」
イシュヴァール人の肌は、かなり強く殴られたとしても、比較的ぶたれた跡が目立たない人種だ。なのに、マイルズのほっぺたには、大きな手の跡がしっかりくっきり残っている。
「実は、兵士たちと遊びすぎました。その――ブリッグズ山まで視察に行った時、好奇心に駆られて残雪に食塩を混ぜてアイスを作る遊びをしていまして・・・さいしょは、ちゃんとアイスクリームやチョコレート味のクリームなんかを作っていたのですが・・・。」
「それで?」
「閣下にアイスクリームを差し上げたら、たいそう喜ばれましたので、残った材料も集めて、冷やし固めまして・・・。」
それが理由でビンタ跡が残るとは思えない。女医がよくよく問い詰めたところ、アイスキャンデーを作りました、とマイルズがごくごく小さな声で白状した。それも、バッカニアがどこからか、開閉式で作る、実にいかがわしい形のアイスキャンディ型を持ってきて、それを利用して作ったという。
「自分で言うのも何ですが、本当に、型通りに綺麗に出来上がったんです。出来上がって、型から取り出した時は、参加した兵士たち全員が大喜びしていまして・・・それも、ごく薄い色のオレンジジュースといちごジャムとミルクを混ぜて作ったものなので、色合い的にもなかなかアレな感じでして・・・。」
「健全な色合いに仕上がった、というわけね。それで?」
「周りにいた兵士たちと一緒に盛り上がりまして・・・そうしたら、兵士の中の何人かが、『ぜひこれをアームストロング少将にお見せして、召し上がっていただきたい』と言い出しまして・・・。」
そのアイスキャンディを持っていくお役目を、お大事の補佐官役であるマイルズがやらされた、というわけである。
「数名の兵士が、私の後ろをついて様子をうかがっていましたが、実物をみた途端、閣下はご自分のサーベルで真っ二つに切り捨てられまして・・・片付けろ、不愉快だ、と。」
裁断したのを見た兵士たちは、一斉に逃げてしまい、逃げ遅れたマイルズだけが殴られたらしい。確かに、作ったものがモノである上に、色形までそっくりとなれば、普通の女性ならきゃあ!と叫んで、指の間からじっくりそれを見た上で、こわごわ少しだけ触ったりし、恥ずかしがったふりの1つでもした挙句、恥ずかしいから持って帰って、とお願いするところだろうに。
「アイスキャンデーを作る前のミックスジュースは、私も味見しましたが、決して悪い味ではなかったのですけれどねぇー。」
女医は、マイルズの打撲傷の手当を簡単にすると、湿布薬を渡す。それから、医務室にあった色弱判定用カードに塗られた色の1つを指差し、もとのジュースはこんな感じの色です、とマイルズが説明すると、女医はくすっと笑い、オリヴィエらしいわね、と呟いた。
「あのね、マイルズ。貴方が作ったジュース、凍らせると色が薄くなってしまい、ちょい生々しい、というか、独特のリアリスティックが出てしまったのだと思うわ。今度は、チョコレートを少し混ぜて作ってみるといいと思うわ、マイルズ。形はもうちょっと可愛らしい感じにして。2人きりの時にでも、オリヴィエに渡してみたらどうかしら?」
さらさら手書きで渡されたレシピ通りに作ると、マイルズの肌の色そっくりになるということは、女医は黙っていた。おまけにマイルズ自身も、裏に隠された意味に全く気付かずに、またアイスキャンディを作って渡したらしいが、『貴様の方が、その手の氷菓子をしゃぶったりほおばったりするのが好きなようだから、自分だけ楽しめばいいだろうが。帰れ。』と断られた・・・そうだ。
仕方なく、ごく普通のアイスクリームを作って渡し、やっとオリヴィエの機嫌が直った、とマイルズは医務室に連絡してくれた。
だが、マイルズは知らない。
オリヴィエが管理するブリッグズ要塞地下工房には、瞬時にマイナス20度まで下げる機械が完備しており、その気になれば、はるかかなたのブリッグズ山頂まで雪を取りに行かなくても、いくらでもアイスが作れる、ということ。
そして、オリヴィエ自身、時折アイスキャンディを作って、一人でこっそり楽しんでいることを――。(FIN)
投稿者: miyanomiki
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