スーファミでドラクエ5の発売――ウチの兄が購入して、まだハッキリと物事の区別がつかなかった小学生のぼくはあのストーリーに完全に依存しました。
「幼なじみの女の子と一緒に幽霊の居る城を冒険」「父親が殺される」「子供から大人になる」「幼なじみとの再開」「どちらと結婚するかの選択」「主人公が勇者じゃなく、生まれてくる子供が勇者」「モンスターを仲間に出来る」
きっと多くのヒトがドラクエ5に依存したんじゃないでしょうか?そういう人はきっとFFに依存しなかったんじゃないでしょうか?
大して極めることはしなかったけど、それでもドラクエ5には「これでもか」というほどのめりこんでました。冒険が壮大すぎて、モンスターを仲間にすることに熱中しすぎて――あぁ、今でも忘れられない……ヘルバトラーやはぐれメタルが起き上がったあの瞬間……
寝る前にはほとんどドラクエ5の物語の派生を妄想してました。それが楽しくて楽しくて、いっつも妄想を続けながら眠りに落ちてました。
当時出てたドラクエの4コママンガも揃えていって、X以外プレイしたことなかったですけど、ドラクエワールドに心底惹かれてました。
同時に、ドラクエXにおいて人生で初めて「挫折」というものを知りました。
クリアもして、裏ダンジョンで無駄にレベルだけを上げ続ける日々――自分が弱いからか、ゲーム内でみんなを強くしていくことには熱中。
「へへっ、バトラーはつえぇなぁ!」「はぐりんは全然レベルあがらないぜ!」「主人公はとうとうレベル90だ!」「あ! ライオネックが起き上がった!」
そんな風にしていつも非現実世界を純粋に楽しんでいました。
ある日のこと――学校帰り、いつものようにセットされているスーファミのスイッチを入れる。
「……」
真っ暗のまま。見慣れた白い文字が浮かばない。
他のソフトではよくあること。カセットを抜いて、「ふー!」と息をふきかけ、またセットして、スイッチON! さあ今日もレベル上げだ!
「…………」
つかない。他のソフトではよくあること。カセットを抜いて、「ふー!」と息をふきかけ、またセットして、スイッチON! さあ今日もレベル上げだ!
「………………」
つかない。他のソフトでは(以下同文)スイッチON! さあ今日もレベル上げだ!
「デロデロデロデロデンデデン♪」「冒険の書1は消えました」「冒険の書2は消えました」「冒険の書3は消えました」
ドラクエをやって初めて聞いた音声と唐突に叩きつけられた言葉。
なんだろう? 文字がよく認識できない。
次の画面に移行――どうしてか「ぼうけんのしょをつくる」しかない。変だ。ウチの兄のデータ。ぼくのデータ。そして、カジノ用のデータ。もうあたらしく冒険の書はつくれない――のに、ナンデソレガ? ぼくは続きからぼうけんがしたい。「ぼうけんをする」はドコヘ?
虚しく流れ続ける楽しげなBGM。冷静に一度スイッチをOFF。「大丈夫、落ち着いて」と言い聞かせ、ソフトを抜いて、意味も無く息を吹きかける。
本当は、わかってる。アタマは一度事実を認識した――けれど、“何か”を信じ(たとえば神がかりてきななにか)、ぼくは今一度、ドラクエ5をスーファミにセット。
きっとつければ全てが元に戻ってる。ひらがなで自分の名前をつけた主人公、苦労して仲間にした大好きなヘルバトラーにはぐれメタル。幼なじみの結婚相手ビアンカ、その子供二人。
全部戻ってる。またみんなに会える。
さあいくよ――スイッチON! 今日もレベル上げだ!
今度は一発でつく。表示された例の白い文字。次の画面へ移行。流れる愉快な音楽。そこに表示された項目は一つ。
「ぼうけんのしょをつくる」
全身の「何か」が抜け落ちる――力なくぼくの手から離れるコントローラー。
お願い、神様、時間を戻して――
思わず「なんみょうほうれんげきょう」と手を合わせて唱える――しかし、事実は何も変わらない。
神様なんていない。あぁ……いやしないんだよ。
混乱したアタマのまま、ぼうけんのしょをつくってみる。
同じ名前をつけ、物語がスタート。流れるお城のBGM、パパスが右往左往。
バトラーは? はぐりんは? ライオネックが仲間になったんだよ? 勇者じゃないのにライデイン使うんだよ??
そのまま電源をOFF。ぼくはベッドに移動して――眠りについた。
同じような挫折を経験された方はきっとめちゃくちゃいますよねww
それから三日目には気を取り直して一からプレイ――最後まで行ってクリア――データ消去。また一からプレイ――最後まで行ってクリア――データ消去の繰り返しww
完全に依存してましたw
パチンコでどんなけ負けようがまたパチンコしちゃうヒトと同じ心理状況にありますよねw
それから数年――Yが発売した後も自分はふとしたときXをプレイし、データが消えてしまったら「またか」と受け入れて最初からプレイしてましたw
Xは「データ消去」のこともあって、何十回も繰り返し最初からプレイしたほど依存してましたけど、個人的にYのストーリーの方が大好きです。
「三人の仲間とドラゴンに乗り、魔王に戦いを挑む」「それは夢だった」「啓示を受けて旅に出る」「実は世界がもう一つ存在」「そこには同じ人が存在」「実は“夢”は自分達の方」「本当の自分との融合」「“夢”の方が強くなり過ぎて、本当の自分は意識を乗っ取られることを拒否――それでも受け入れ、融合し、ライデインを習得」
本当の主人公の「意識を乗っ取られることを拒否する心情」がものすごく悲しかった。だからぼくは必死に、自力でライデインを習得し、まおうのつかい(だったっけ?)を倒し、「これで融合しなくてもいいよね?」って思ってたけど、…融合しないと話を進められなくって、悲しかった。
同じような心情に陥って頑張って勇者になってライデイン習得してまおうのつかいを倒した人はきっとたくさんいますよね?

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