白光を放って輝く夏の青空に、突然影が差した。黒く分厚い雲が太陽を覆い隠すや、雷鳴と共に空に閃光が走った。
「こりゃ夕立がきそうだねぇ、洗濯物を急いで取り込まなくちゃ」
ばあさんが慌てて外へ駆けて行くのを見送ってから、熱気で汗を掻いたグラスを傾ける。中の氷がカランと涼しげな音を立てた。
「ほらぁ、ぼやっとしてないで光(アン)平(タ)も手伝っておくれ」
洗濯物を次々縁台へ放り込みながら、ばあさんが怒鳴る。
「やぁだね」
うっとおしい前髪を払いのけ、リングピアスを空けた耳もとを小指で掻くと、俺は立ち上がって居間を出た。
「なんだい、役に立たない孫だねぇ。おまえなんか雷様にヘソ盗られちまいな!」
ヒステリックなばあさんの声が背中に投げつけられる。
まったくどう言う脅しだ。今時雷様にヘソを盗られるなんて、小学生だって信じねぇぞ。
べっとり汗の滲んだ額をTシャツの裾で拭いながら、階段を上がった。
俺は雨宮光平(あまみやこうへい)、いたって健康な高二男子。遊びたい盛りの俺が、夏休みに入ってから昼も夜も寝てばかりいる。
今住んでいるこの町は、クラブはもとよりコンビニもファミレスもねぇ上に、一番近いスーパーまで車で片道一時間と言う、恐ろしいド田舎だ。
渋谷で遊んでいた頃が懐かしい。毎晩夜通し遊びまくって、家に帰るのはいつも空が白み始めてからだった。
そんな俺が東京の両親と離れ、この田舎でばあさんとの二人暮しを始めてもうすぐ半年になる。
『夏休みになったら遊びに行くから』
なんてしおらしく言っていた東京の女どもは、今じゃ携帯繋がりゃしねぇ。前はしつこいくらい向こうからメールしてきてたのに。
顔だけは整っていたお袋の影響を色濃く映した甘いルックスと、百八十を余裕で超える均整の取れた逆三角形の身体。声なんかかけなくても、街を歩くだけで女達が寄ってきた。
それなのにこっちにきてからと言うもの、ばばあの目が光っているせいで、せっかく女の子と仲よくなっても家には呼べねぇし、ラブホに連れ込もうにも近くにそんなモンねぇしで、俺の息子は清い生活を送っている。
遊びてぇ〜、つぅーか犯りてぇ!
夏って暑ちぃせいか、よけいアドレナリン出まくりで、ムラムラたまんねぇんだよな。
「仕方ねぇ、一発抜くか」
すでにハーフパンツの前は張りつめてテント状態だ。この俺様が右手が恋人なんて、情けなくて涙が出るぜ。
入り口の鴨居に頭をぶつけないよう背を丸めて部屋に入ると、後ろ手に襖を閉めた。
なにせ築云十年のボロ屋だからな、全室和室で部屋の鍵なんて親切なものはねぇ。
それでも一応カーテンくらいは閉めとくか。俺にだって恥じらいくらいあるんだ。
ティッシュをつかんで準備OK、床に転がっていた借りもののエロビデオをデッキにぶち込む。
『あ、あぁ〜んっ』
いきなりエロシーンがスタートした。カメラに向かって大開脚した全裸の女優が、盛大に喘いでいる。
「ちっ、ばばあかよ」
厚塗りの化粧でごまかしてはいるが、首の皺が目立つ。スカを引いちまった。
『あはぁん、いいわぁ』
真っ赤なルージュの引かれた唇から、女が安っぽい文句を吐く。
こんなんじゃ萎え萎えだぜ。とりあえず扱いて勃たせるか。
ゴソゴソっとTシャツの下から短パンのウエストへ手を滑り込ませる。すると、
「おわぁっ」
地響きのような轟音と共に、カメラのフラッシュみたいに、カーテン全体が光った。
「すげぇな、落ちたのかよ」
さすがの俺でもちょっとビビるぜ。気を取り直してっと――ん?
「へ? あれ?」
驚いて抜いてしまった手を、再びTシャツの下に差し入れたら、妙な違和感がした。
なんか、おかしくね? これって、
「はぁ? マジかよっ!」
なくなってる、俺のヘソ!
まさか、そんなことって。とにかく落ち着いてもう一度と、胸からじょじょに手を下に滑らせてかち割れ加減が自慢の腹へ。
「――っ!」
やっぱりねぇ。俺の腹、真っ平らになってやがる。ヘソの窪み、どこへ消えやがった!
『おまえなんか雷様にヘソ盗られちまいな!』
ばばあの戯言が急に胸に浮かんだ。
俺のヘソ、雷様に持って行かれた?
「なんじゃ、このくっさいヘソは! ろくに手入れもしとらんのか、食欲も湧かんわ」
「!」
吐き捨てるような怒鳴り声が、外の方から聞こえてきた。
「こんなヘソ、捨ててやる」
「待ちやがれ!」
勢いよく窓を開ける。
子供? 屋根の上に腰かけているのか、細くて白い脚が片方、ブラブラ軒先から下がっているのが見えた。
「この野郎、俺様のヘソを返しやがれ!」
「ぎゃ、わわ、」
大事なヘソをバカにされた上、その辺にポイ捨てされたらたまったもんじゃねぇ。
盗られたものは奪い返す、それが俺様流だと目の前の脚をわしづかんで、部屋の中に引き摺り入れた。
「痛たたた、なんて乱暴なことをするんじゃ」
「お、おまえ――っ」
畳の上に横たわっているのは半裸の美少年だ。身につけているのはパンツ一枚、その滑らかな脚から目が離せねぇ。
細い足首、乳白色の肌は淡い光のベールを纏っているかのように輝き、むっちりとした手触りを期待させる。そして、なによりも目を引くトラパン!
少し小さめのトラパンからは、脚のつけ根のなだらかな尻の曲線が、見え隠れしている。
ごくっと、唾液を飲み込んで、俺はじりじりと少年との間合いをつめる。
「な、なんじゃ貴様、鼻の穴を膨らませよって。そ、そうか、ワシが貴様のヘソを盗ったから、怒っておるのだな?」
バサバサに長い睫を震わせて、少年は怯えた顔で俺を見ている。
あぁ〜、その宝石のような飴色の瞳に吸い込まれちまいそうだ。
緩やかにカーブを描き肩まである飴色の髪、長い睫に隠された瞳も同じ飴色で、光の加減によってはブラウンにも見える。
そして、こりゃなんのコスプレだって訊きたくなるような二本の角が、ニョキっと飴色の髪の間から覗いている。メイドさんなんかより、ずっとこっちのがエロいぜ!
「わ、わかった、ワシが悪かった。貴様のヘソは、ほれこの通り無事じゃ。返す。返してやるからっ」
まだあどけなさの残る頬を強張らせ、白い額に汗を浮かべて、少年が手にした俺のヘソを差し出す。
けれど今更盗られたヘソのことなんて、どうでもていい。
それよりも――そのピンク色の唇、どんな味がするんだろうとか、真っ白な肌にプリっと、美味しそうに花開く乳首を舐めまわしてもっとコリコリにしちまいたいとか、こんなに可愛いのに、コイツホントに男なのか、あのトラパンを引き下ろして確かめるしかないとか!
このさい男同士だってかまわない。俺様の息子、エロビデオの女には反応しなかったのに、今はもうやる気満々、完勃ちだぜ!
「やっ、ヘソ、返すから、許して」
泣き出しそうな少年にニヤっと微笑んで手を合わせた。
「頂きます」
「っ――!」

連載小説をボチボチ始めようかなぁっと思います(。・人・`。))そう言えば夏っぽい話を書いたことあったなぁっと探して参りました♪自分の小説の下手くそ加減にかなりまいっておりましたが、まぁ素人なんだしいいじゃんとこの際開き直ることにしましたぁ。下手くそで、かなりお下品な話ですがぁ、今後ともお付き合い下さいませ。

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