「おそらく日本人にとって重要なのは
血統ではなく、
むしろ岸田さんが
擬似的な血液関係と呼んだもの、
いわば血縁的な気分といいますか、
つまり身内意識ですね、
こちらのほうが大切なので、
血統は、
いわばどうでもいいのだト、
だから日本人を考える際に大切なのは、
むしろ、
この擬似的な血縁関係を求めてやまない
精神構造が何に由来するかを
考えるべきなんじゃないか、
というので、
あれこれ考えてるうちに、
結局これは
母子関係の反復なのではないか
と考え始めたわけです。
日本人というのは
延長され拡張された母子関係に
とらわれている民族なのではないか、
と思い始めたわけです。」
佐々木孝次+伊丹十三
『快の打ち出の小槌』朝日出版社 1980 p.9