ツヤクシケアリを観察に行った周辺各所では、多くのアカヤマアリの脱翅雌が歩き回っていた。
どうやら飛行時期の真っ最中だったらしい。
アカヤマアリは他のヤマアリ属を奴隷狩りすることは周知の事実だが
脱翅雌がどのようにコロニーを創設するのか、その観察例は少ない。
今回、そのコロニー創設に係わるであろう一つの事例を観察することができた。

アカヤマの脱翅雌は、まずクロヤマの巣を探して歩き回っている。
クロヤマの巣に侵入するためだ。
しかし、クロヤマも簡単には侵入を許すはずもなく
哀れアカヤマの脱翅雌は捕らえられてしまった。

こうなってはもはや成す術もない。
ほとんどの場合で取り押さえられたアカヤマの脱翅雌は殺されてしまう。
可哀想だがこれも自然界の生存競争なのだ。
どちらも生き残るために必死で戦う。
そうこうしているうちに、繭をくわえて歩き回っているアカヤマの脱翅雌がいた。
クロヤマの巣から出てくる現場を見たわけではないので、あくまでも推測でしかないのだが、クロヤマの巣に侵入しようとしていたのは、どうやらクロヤマの繭がお目当てのようだ。
つまりこうである。
アカヤマの脱翅雌はクロヤマの巣を見つけると巣に侵入し、繭を奪ってくる。
そして、自分で気に入った場所に穴を掘り潜り込む。
繭から羽化したクロヤマはアカヤマQのために働く。
アカヤマアリの脱翅雌はサムライアリのように寄生し巣を乗っ取るのではなく
最初から奴隷狩りをしてコロニーを創設するのではないだろうか。
この仮説が事実かどうかはわからないが、実にユニークだと思えてならない。