台風直撃、豪風雨が吹き荒れる中、
今日は朝から放送大学の試験監督。
この時期になると研究室に依頼がくるバイト。
一日やれば1万超えするし、
何の予備知識もいらないし、
ただみんなを見てるだけだし、
オトクなバイト。
しかも多くのことを学ばせてもらった。
放送大学は、ご高齢の方が多く学んでいる。
単位認定試験では老若男女みなさん必死にテストを解いている。
白髪のおばあちゃん、はげたおっさん、
若い主婦に元気な青年。
いろんな人がテストを受けている。
自分は試験時刻に
各教室に行って、
試験の合図をする役目。
教室に入ると
いっせいにこちらを見る。
視聴率100%だ。
これが結構きもちよい。
教壇に立って、ある程度余裕げに
声を発する。
「それでは、これから単位認定試験を・・・」
最初はかなり見られている緊張感から
カミまくりだった。
”電子機器類など”っていうフレーズが嫌い。
全ての注意事項を読み終わり、
試験時間まであと3分とか残る。
その空白の時間、
無言、無言、無言。
ただ時計のカチッカチッカチッ
沈黙を切り裂いて
「それでは始めてください」
が緊張する。
試験中はただ見ている。
監視というより、見ているだけ。
昨日はトラブルが意外と多かった。
”あの〜”と前列のおばさま。
ハーフの方だろうか。
「はい?」
”これはこうですか?”
と質問を受けた。
研修など受けていないし、
ただマニュアルを読めといわれていて
そんなもん読んでいない僕は
「はい、そうです」
★てきとーく★
次の時間、またもや質問が。
普通一日に一つくらいだろうが。
”あの〜”と前列の青年。
僕より少し上の方だろうか。
「はい?」
”トイレに行きたいのですが・・・”
この時マニュアルが頭に浮かんだ。
<トイレに行きたい旨があった場合には、試験実施本部まで報告し、指示を受けること>
そして頭が高速フル回転、
結局発した言葉は
「じゃあ、(補助監督員に向かって)ついていって・・・」
マニュアルが納得いかなかったからだ。
ここで僕が指示を受けに一階まで行って戻ってくる間、
その人はトイレをガマンすることになる。
急を要してそうだった。
とはいえ、勝手に行かせて
カンニングでもされた日にゃあ
僕の責任か。
巡りめぐった思考の末
補助監督員を同伴させて
退室を認めた。
僕は間違っていただろうか・・・
まあ何もなかったからよかったか。
それにしても、補助監督員の人は
どこまでついて行ったのか疑問・・・
次の時間は全盲の方の試験監督をした。
障害者の方もテストを受けに来られる。
いつものように試験時間に教室に行っても
誰もいなかった。
本部に問い合わせたら
台風で遅れているのでもう少し待てと。
しばらくして扉があいた。
慌てていた様子だったので
大丈夫ですよと声をかけた。
テープを再生し、点字の問題によるテストだった。
答えののち、口頭でいってもらい
僕がマークシートに転記する。
全然目が見えていない世界で、
その中でテストを受けること、
台風の中やってくること、
感無量になる。
一生懸命解いている。
生きることの前向きさを感じた。
そして、何て自分は恵まれているのだろう。
もっと勉強しなきゃいけないと思った。
テスト終了後、話し掛けてみる。
「台風は大丈夫でしたか?」
「ええ、今は雨降ってませんでしたよ」
その方は微笑んだ。
僕はそれが見える。
僕は微笑み返した。
しかし、その人は見えない。
けど伝えたかった。
「そうですね、これからが大変みたいですね」
言葉に感情を込めたつもりだ。
果たして伝わっただろうか。
伝わっているといいな。
バイトの帰り道は
台風のせいで風が吹いていた。
太陽はその姿を隠し、表情は見えないが
明日にもなれば
明るく微笑みかけてくれるんだろう。

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