2010/9/8  21:29

【正念場企業・起死回生策とアキレス腱】D トヨタ自動車  経済

ホンダは前日比52円高の2859円、トヨタは7円安の2850円。2日の東京株式市場で、ホンダの株価がトヨタを逆転した。ホンダが終値でトヨタを上回るのは、06年6月に1株を2株に株式分割して以降、初めてという。歴史的な大事件だ。

ホンダの株価が7月以降、反転に転じたのに対し、トヨタは連日の年初来安値更新。底が見えない動きとなっていた。筆者は昨年末に本紙の連載「大胆予測! 2010年日本経済」で両社の株価逆転を予想したが、ズバリ的中した格好だ。

トヨタ自動車(豊田章男社長)は、国内ではハイブリッド車(HV)「プリウス」の販売が好調だが、主戦場の米国市場で苦戦。ホンダ(伊東孝紳社長)はアジアなど新興国での販売が好調で明暗を分けた。

トヨタのアキレス腱は新興国市場にある。市場が大きく伸びているアジアの新興国市場で売れているのは、二輪車や小型車。世界最強の二輪車事業を持つホンダの新興国での事業展開に期待が集まる。この差がトヨタ売り、ホンダ買い、になって表れた。

設備の削減に手をつけないトヨタに、市場からは「改革の遅さ」に対する不満が出ていたが、ようやく巨象が動き出した。トヨタは軸足を、頭打ち感が強い先進国から中国や東南アジア、南米などの新興国に移すことにした。

新興国専用の戦略車は、初めて車を購入する層をターゲットにした「エントリー・ファミリー・カー(EFC)」。その第1弾がインドで11年初頭に投入する予定の小型車「エティオス」。12年後半からブラジルでも現地生産を始め、中国向けのEFCの投入を検討している。

EFCの価格は日本円で100万円前後とみられる。新興国のメーカーも交えた主戦場では、売れ筋は「100万円以下」なのだ。価格競争で勝ち残るためには、「エティオスよりさらに安価なクルマが必要」との声が上がる。先進国市場の「勝ち組」トヨタは、新スモール・ロー(低価格小型車)でも覇者になれるのか。豊田章男社長の正念場だ。 (有森隆)

《トヨタ自動車》 総合70点
▷ヒト(社長力)……10点
 →指導力がいまだ見えないとの評
▷モノ(商品企画力)……23点
 →ハイブリッド車で独走
▷カネ(内部留保とM&Aの可能性)……23点
 →米国テスラと電気自動車で資本提携
▷市場(マーケットの成長力)……14点
 →新興国市場で出遅れ感
※各項目25点、合計100点満点で採点


==日刊ゲンダイ 2010年9月9日付掲載記事==





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