秩父の山村・番外編A
・ 立沢の「虫送り」と小川の「百八灯」
立沢の「虫送り」
小川の「百八灯」
@ 立沢の「虫送り」
「虫送り」というのは秩父郡、皆野町・立沢地区に伝承される祭礼である。
同一の祭礼は隣の皆野町・門平地区にも見られ、全国的にも数多く類似の祭礼が存在するようだ。
「耕地内の害虫を村外に追い払う。」というのはごく最近の解釈で、伝染病の発生原因のわからなかった近世末頃までは、流行病は悪疫神の仕業と考えられており、村に疫病が流行ったりすると「悪疫退散」の願をかけて、村から疫病を追い払おうとしたのである。
その名残が現在にも残ったものと考えられる。
・ 公会堂前で「虫送り」出発の準備がととのった。
・「虫送り」の出発。
鐘や太鼓を打ち鳴らしながら進む。 参加者は子供を除くとお年寄りがほとんどだ。
・ 村人総出の行進だが、まったく統率はとれていない。
行列が耕地の中をのろのろと進む。
・ しばらく進んではそこかしこで休憩し、「虫送り」の太鼓が鳴らされる。
歩いては止まり、止まっては歩いたりして、狭い耕地を1周するのに小半日かかる。
テンポの速い生活を送る現代人にとっては、気の遠くなるような呑気さだ。
・ いつ終わるとも知れないスローモーな祭礼行列。
さすがに気の長い私も、じれったくなって次の撮影場所に向かうことにしてしまった。
・ 人の良さそうなご年配にモデルをお願いした1枚。
足がご不自由で歩くのが大変そうだった。
揃いの祭り着は県の文化財保護関係の予算から拠出されている。
だから、(年寄りが多くて大変だから、本当は祭りを止めたいのだけれど)「よすわけにいかねぇんだよ。」との事。
来年も元気でいて下さい。
A 小川の「百八灯」
「百八灯」は旧秩父郡吉田町(現在は秩父市に合併)小川地区に伝わる「送り盆」関連の行事である。
一般家庭の盆の「送り火」を集落全体で行なうような、山の中の小部落にしては神秘的な祭りだ。
この行事の起源については、山口上総守が鉢形城落城とともにこの地に土着し、一門の例を弔うために始めたといわれている。
又、正保年間(1644〜1648)にこの地に疫病が大流行し、数多くの人々の命が奪われたので、その霊を供養し、疫病神を焼き払うために始めたともいわれているらしい。
・ 道路脇にズラリと並んだ「百八灯」の道具。
コウゾの枝を3本束ねたものに空き缶と平石が用意されている。
・「ウシ」とよばれるかがり火の台を組み立てる。
秩父の祭りはどこも村人が総出で準備をする。それでも人手が足りない過疎地域なのだ。
・「百八灯」の点火。
「何か採火の儀式でもやるのですか?」と聞いたところ、「そんなことはないよ、ライターだよ。」と言われてしまった。(笑)
・ 灯し揃った「百八灯」。
この火の列の中を3回通ると疫病にかからないといわれている。
・ かがり灯の中を「精霊送り」の行列が進む。
本来は別個の祭礼だったようだが、最近では同じ日に行なわれている。
実はこの写真群、Bの点火準備が終わってから、Cの実際に点火されるまでには30〜40分間の待ち時間がある。(暗くなるのを待つため)
村人達はその間は自宅に戻って待機しているのだが、カメラマンにとっては手持ち無沙汰の時間になる。
すると一人の方が「折角だから、ウチに寄って休んでいきなよ。」と言う。
最初は遠慮したのだが、「入れ、入れ。」と仰るので、図々しくも上がり込んでジュースとお菓子をごちそうになってしまった。
いったい日本のどこに見ず知らずのカメラマンを座敷にまで上げて、もてなしてくれる村があるのだろう?
私はまた秩父が好きになってしまったようだ。
(柳原さん、どうもありがとうございました。)

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