「世田谷パブリックシアター『見よ、飛行機の高く飛べるを』」
作:永井愛/演出:アントワーヌ・コーベ
出演:井川遥・魏涼子・中村美貴・山谷典子・もたい陽子・他
2004年11月1日(月)〜21日(日)/シアタートラム
サイト:
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-43.html
二兎社の永井愛さんの戯曲をフランス人のアントワーヌ・コーベさんが
演出されます。永井愛さんの作品をフランス人の演出家の方がしかも
「見よ、飛行機…」を演出されると聞いて、驚きと興味をいだきました。
青年座での上演では、黒岩亮さんが演出をされ新劇のようでしっかりと
美術なども精密に作られていました。僕は、青年座での上演を観ていて
感動して涙を流したのを覚えています。
1997年に初演され、戯曲本も出ている作品です。
が、しかし今回の上演では戯曲の重要な部分である
明治時代の時代背景を一切なくした実験的な公演でした。
あらすじ。日露戦争に勝った日本。時は明治末期。
女性の高等教育の場である女子師範学校の寄宿舎。
校風は、「質実剛健」。「国宝」ともあだ名されるほど
の優等生「光島延ぶ」。「杉坂初江」は新聞を読みふける
変わり者。しかし、そんな二人が出会い、夢が広がり、
校内に新たな風を巻き起こす事になるが…。
明治時代に「新しい女」が生まれ始めてきて、女学生達が外の世界へと
飛び立とうとするのを書いていて、「明治時代」というのは重要な
ポイントなんですが、それを排除するというと実験的な試みで、
またこの戯曲の新たな可能性を観る事ができ、
美しくて切ない抽象的な世界観に感動しました。
演出、美術、照明、衣装などのスタッフワークも、そしてもちろん
俳優さん達も良くて素晴らしかったです。
まず美術が素晴らしかったです。薄オレンジ色の壁紙で布が客席まで垂れ下がり、想像力を刺激する素敵な美術でした。
照明も影などのコントラストが絶妙でしたし
音響も効果音はあるもの音楽はほとんどなしです。
井川遙さん、可愛いし素敵だし演技も上手だしとても
作品の雰囲気にあっていました。
下記、少々ネタバレです。
しかしながら、台詞の解釈やニュアンスなどが青年座での上演よりも
だいぶ変わっていました。ちょっと新鮮というか驚きでした。
僕は、永井愛さんの台詞の一言一言がとても好きなのですが、
今回の上演では、その「言葉」がとても引き出されているに見えました。
美術や照明、衣装、音響などがシンプルなぶん「言葉」がとても
重要になってきます。一言一言、じっくりと堪能する事が出来ました。
あのラストの飛行機のシーンは、吃驚でした。
説明しづらいのですが、お客さんの手をかりながら客席を上っていくのです。もうアイディア勝ちですね。
客席と舞台が一体化し、ラストを作り上げます。