作:ポール・オースター 翻訳:柴田元幸 構成・演出:白井晃
出演:仲村トオル、小栗旬、三上市朗、大森博史、小宮孝泰、山田麻衣子、櫻井章喜、月影瞳
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美術:二村周作 照明:齋藤茂男 衣裳:太田雅公(シャッフル)
音響:井上正弘 技術監督:眞野純 演出助手:河合則子
舞台監督:中村太郎 プロダクション・マネージャー:堀内真人(センターライン)
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2005年10月31日(月)〜11月20日(日)/世田谷パブリックシアター
WEB「偶然の音楽」:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/guzen/
ポール・オースターの小説「偶然の音楽」を白井晃さんが演出されます。白井さんがオース
ターの作品を手がけるのは「ムーン・パレス」に続いて2度目だそうです。今回は仲村トオル
さん、小栗旬さんをはじめとする8人が出演。外国では映画化もされた作品だそうです。
■あらすじ≪前半≫
妻に去られてしまったナッシュ(仲村トオル)に、ある日突然行方不明だった父から遺産
が転がり込んだ。ナッシュは遺産で車を買って、目的もなく放浪の旅へと出発した。
そんなある日、博打の天才である若者ポッツィ(小栗旬)と偶然出会う。ナッシュは見ず
知らずのポッツィに金を提供し、一山当てようと目論んだ。そして、ナッシュとポッツィは
博打の相手である大富豪(大森博史、小宮孝泰)の元へと向かうのだった。
僕は「偶然の音楽」、以前読み始めましたが挫折してしまいました。でも今回の作品を
観ることになったので、今また新たに読んでいます。面白いですね、興味深い世界観です。
暗く、重く、少し不条理?そして現実的に見えて実は幻想的・・・そんな独特な世界観を
もった作家であるポール・オースターの世界が、白井さんの手によって魅力的な舞台に
仕上がっていたことに感動しました。一緒に観に行った2人も原作を読んでいたのですが、
好評のようでした。結構原作に忠実に作られた舞台だと思います。
シックで落ち着いた大人な雰囲気が漂いつつも、どこか恐ろしい感覚にもなりました。
現実的ですが、不条理というか幻想的というか妄想的というか。やっぱり独特です。
どの場面を切り取っても絵になるような、美しくて洗練されたスタイリッシュ&クールな舞台
でした。舞台美術、照明、衣装などもセンスが良くて、総合的に見ても芸術的でクオリティ
の高い作品だったと思います。こんな舞台空間を堪能できるなんて嬉しかったです。
ストーリーは難解で難しいものだと感じましたが、演出や役者さんも解釈をしっかりと
持っているような気がしたので、すべてがしっかりと存在して生きていたように思いました。
ということで、とても見応えがあったので、観劇後は充実感でいっぱい。ちなみに上演
時間が2時間10分ノンストップというのも、そこまで長すぎず短すぎずで良かったです。
★下記ネタばれしています。観劇を予定されている方はご注意ください。
■あらすじ≪後半、ネタばれ編≫
賭けに負けたポッツィ。全財産、車までつぎこんだ上に1万ドルの借金まで作ってしまった。
そのため2人は、借金を返すために共同生活をしながら大きな石の壁を作る労働することに
なった。時は流れて借金の完済の日になったが、生活費などが上乗せされたため、労働は
続くことに。そのためナッシュはポッツィを逃がしたのだが、翌朝ポッツィは何者かにボコボコ
に殴られて、ひん死の状態で発見され病院へ運ばれる。その後もナッシュは労働を続けつつ、
ポッツィの安否を知ろうとするが出来ない。時は流れて、今度こそ借金は完済。労働者と飲み
に行ったはナッシュは、帰りに車を運転することになった。スピードを上げて、思い出に浸りな
がら運転していたそのとき、正面に車のヘッドライトが迫ってくるのが見えるのだった。
原作を読んだときも思ったことですが、この舞台は解釈が観客にゆだねられている部分が
多いと思います。なぜポッツィがあんな目にあったのか、犯人は誰なのか、生きているのか?
死んだのか?・・・このようにあいまいですし。でも、こういうことはあまり問題じゃないのかも。
大事な事はもっと別にあるのかな。なんかちょっとカフカに共通するところがあると思います。
石をつむ行為などをはじめとして、さまざまな出来事が意味深にみえてきます。
僕は上手く書けませんが、自分なりに解釈したつもりでいます。
ラストシーンが印象的です。ストーリー的にも好きですが、演出的にも良かったです。きっと車と
正面衝突してしまうであろうナッシュの車。ナッシュの独白?で終わりますが、原作小説の中
でも一番好きな所です。舞台では美しく、小説の世界が舞台上に存在していて感動しました。
ストーリーと演出の力が合わさっていて、きっと忘れられないラストシーンになったと思います。
舞台美術。舞台奥から客席に大きく張り出した長方形の舞台。舞台を3方から囲むように客席
が作られています。床は石畳のようになっていて、黒色がベースになったような暗めの舞台。
そこに役者さんが椅子やテーブルなどを持ち込み移動したりしながら、場面転換を行います。
照明なども効果的に使われていたので、たっぷりと堪能させていただきました。
★上記ネタばれしています。観劇を予定されている方はご注意ください。