作・演出:川村毅
出演:手塚とおる、高橋かおり、飯尾和樹(ずん)、伊澤勉、笠木誠/江守徹
---------------------------------------------
美術:島次郎 照明:キムヨンス 音響:原島正治 衣裳:伊藤かよみ 演出助手:小松主税 舞台監督:村田明 宣伝美術:マッチアンドカンパニー 制作:平井佳子(T factory)、松井憲太郎(世田谷パブリックシアター) シリーズ《神なき国の夜U》
---------------------------------------------
2006年2月9日(木)〜19日(日)/三軒茶屋・シアタートラム
WEB「ティーファクトリー」:http://www1.odn.ne.jp/info/t_factory/
川村毅さんのプロデュースカンパニー『T factory』。今回の「フクロウの賭け」は川村さんの新作戯曲で、自ら演出もなさります。そしてこの作品は、現在手がけられている三部作『神なき国の夜』の第二作にあたる作品でした。2005年から開始され、三作目は来年の冬に公演するとのこと。
《あらすじ》
東京郊外にあるマンション。1階では初老の男(江守徹)が鳥を扱うペットショップを営んでいる。近所付き合いもなく、外界とはほとんど遮断した生活をおくっているようだ。ある時マンションに夫婦(手塚とおる、高橋かおり)が引っ越してくる。旦那もまた人付き合いが下手なようだが、初老の男と関わっていくうちに、いつしかお互いに不思議なシンパシーを感じはじめるのだった・・・・・・。
ある事件の被害者側と加害者側という立場から見える人間の心の闇や痛みなどを、ドライにクールに描き、演出されている作品でした。現実的に見えて、どこか歪んだような感覚をおぼえます。
シリアスかつスリリングな少し重めの作品で、帰りの足取りが軽かったわけではありません。ですが適度でささやかな笑いを含んでいましたし、シアタートラムという密度の高い空間で江守徹さんをはじめとする俳優群のお芝居を体験できる、見応えのあるお芝居だと思いました。
まだお芝居の余韻を感じつつ、いろいろと考えているところなのですが・・・残念ながら僕の胸にグッと響いたり、あんまりピンとこなかったのが正直なところです。でも個人的には川村さんの作品を拝見するのは初めてで、世界観に触れられただけでも十分に価値のある観劇体験でした。
★下記ネタばれしています。
25年前におこった少年犯罪の、被害者側と加害者側の出会いによっておこる物語でした。偶然の出会い、そして生まれる誤解の数々・・・。いわゆるサスペンス劇といえると思います。
前半部分はストーリーに予測がつきましたが、後半にかけて二転三転と転がっていく展開に驚きました。でも全体的に僕はいまいちピンとこなかったというか、インパクトがなかったというか・・・。きっとストーリーや演出などから、テーマやメッセージなど、何かを見つけ出せたら良かったのかもしれませんが、残念ながら僕は見つけ出すことができなかったのが原因だったと思います。
暗転が多く、音楽は極力排除され、淡々と舞台は進行していきます。やはり暗転が多いのは、集中力に欠けてしまって気になりました。でもその乾いた空気感と淡々とした雰囲気には、恐怖感をいだきました。ですから、非常にインパクトの強い派手めなシーンが際立っていて印象的です。
舞台美術や衣装などの視覚的な面は、主にモノトーンな色彩でまとめられていて、カッコ良かったです。舞台美術(島次郎さん)はシアタートラムという空間を上手に使っていると思いました。ペットショップと夫婦の部屋を中心に作られ、歪んだ空間を生み出しています。壁や家具はほとんど排除され、非常に冷たく乾いた感じがするセットでしたので、とても効果的だったと思います。劇場の壁をそのまま露出していたりしていたのもカッコ良かったですね。
役者さんについて。江守徹さんは、さすがベテラン俳優ですよね。やっぱり存在感が違うと思います。でも台詞がゴニョゴニョしていた所が多く、若干聞き取りにくかったかな。まだあまり慣れていない感じがしましたし、もっと演技に膨らみや広がりが感じられると良いのではないかと思いました。手塚とおるさんは、やっぱり上手で殺気のようなものを感じる演技が良かったです。紅一点だった高橋かおりさんですが、スタイルが良いキレイな方でしたね。凛とした知的な感じが良かったです。飯尾和樹さんは自然体のような演技で、観客にささやかな笑いを運んでくれていました。
★上記ネタばれしています。