作・演出:作・演出 前田司郎
出演:金替康博(MONO)、後藤飛鳥(五反田団)、立蔵葉子(青年団)、望月志津子(五反田団)
---------------------------------------------
照明:前田司郎 照明アドバイザ:岩城保 宣伝美術:藤原未央子 制作:榎戸源胤、吉田悠軌、塩田友克 助成:芸術文化振興基金助成金 東京都芸術文化助成事業助成
---------------------------------------------
2006年3月3日(金)〜13日(月)/こまばアゴラ劇場
WEB「五反田団」:http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
かねてから拝見したかった、前田司郎さんが作・演出をされている「五反田団」。NHKの番組“芸術劇場”で紹介されたり、岸田國士戯曲賞に二年連続でノミネートされたり・・・話題に上っている劇団ですね。今回はそんな五反田団を新作公演「ふたりいる景色」で、ようやく観劇できました。
★続きのレポートをアップいたしました(2006.3.12)。
《あらすじ》
舞台は物が散乱した、ちょっと汚い感じの部屋。そんな部屋にひきこもっている無職の男性(金替康博)、そして彼と同居している女性(後藤飛鳥)。なんと男性はゴマしか口にしておらず、そのうち自分のおしっこだけで生活していくというのだ。そしていずれは即身仏になるというのだが・・・・・。
さてさて楽しみに観に行った五反田団ですが・・・予想以上に面白かったです!そしてちょっと感動もしてしまいました。尚且つチケット代がなんと1,500円(前売・当日ともに)という、リーズナブルな価格なのが嬉しいと共に驚きでもあります。だってこういう面白い演劇作品が、こんな低価格で観れるとは・・・素晴らしいことですよね。こう考えると他の劇団が少しだけ高く感じてしまうかもな〜。
全体的にナンセンスというかシュールな雰囲気で、少しズレが生じたような日常を、淡々と描いているような印象を受けました。そして演出については、チープな面白さを感じます。可笑しな笑いもいっぱい詰まっていて、最後までほがらかに楽しく拝見することができました。だけどふとよぎる切なさ、そして感じる愛しさや優しさ・・・。いっけん突飛な物語なのですが、そのうち深い劇世界にゆっくりと入っていくことが出来ました。上演時間も一時間半という、丁度良い時間だったと思います。
★下記ネタばれしています。
さきほど「チープな面白さを感じます」と書きましたが、それがこの劇団の特色でもあり、魅力でもあるようです。無駄なものが排除され、必要最小限という感じでしょうか。ちなみに今回のチラシは、写真などが素敵にデザインされたキレイなものでしたが、いつもは手書きで書かれているチラシですよね(ちなみにアンケートや当日配布されたパンフレットは手書きでした)。
というわけで、舞台美術や照明や音響も必要最小限にとどめられています。劇場内には二方向に客席が設置さていて、舞台には使用済みのフィルムなどが散乱し(当日配布のパンフによれば、なんと365本!)、布団が二組しかれ、どうやら小汚い感じのする部屋のようです。でもこういった空間が非常に効果的で、劇世界を上手く演出しているのではないでしょうか。
《あらすじ2》
即身仏になろうとしている男は、ついに自分のおしっこだけを口にして生活しはじめた。心配する彼女や友達。彼女は我慢の限界に達してしまったようで、家を出て行ってしまう。そしてゴマを食べるのをやめたことで、それまで現れていた“ゴマの精”も現れなくなってしまったのだが・・・・・・。
さてさて肝心の内容についてですが、一風変わったラブ・ストーリーのような印象をうけました。即身仏になるという男、そしてその彼女を軸に物語は展開していきます。たわいもない会話でつむがれる芝居ですが、台詞の一言一言が面白かったり、味わい深かったりして興味深かったですね。
男が彼女やゴマの精の姿を見ないまま、時がずいぶんと過ぎたころ、突如として彼女が帰ってきます。そして舞台は、男と彼女の二人が旅行に行くシーンになりました。いったいこのシーンが現実なのか、それとも幻想なのかは定かではないようです。観客に考える余地を与えている感じでしたね。非常に胸にグッときて、このお芝居の中では特に印象に残ったシーンでした。
登場人物の中でなんといっても特筆すべきは“ゴマの精”でしょうか。日傘を持った着物姿の女性で、ふと男のもとに現れるんです。不思議で可笑しな存在感を持っていて、面白かったですね。
役者さんで特に印象に残ったのは、金替康博(MONO)さん。黒一点ですね。ダメ男なんだけど、どこか憎めない雰囲気をかもし出していたと思いました。適役な感じで、とても良かったです。
★上記ネタばれしています。