脚本・演出:前川知大
出演:宇井タカシ、森下創、岩本幸子、緒方健児、池上ゆき、浜田信也、盛隆二、國重直也、黒川深雪(InnocentSphere)、筒井則行、長澤素子、野村修一、山本佳希(ハラホロシャングリラ)、若狭勝也(KAKUTA)、渡辺トオル(ファルスシアター)
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舞台監督:小野八着(JET STREAM) 舞台美術:土岐研一 照明:松本大介 音響:鏑木知宏(KURSK.sound) 衣装:吉岡麻衣 楽曲提供:303 宣伝美術:高井真 制作:吉田直美
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2006年3月15日(水)〜3月21日(祝・火)/新宿・サンモールスタジオ
WEB「イキウメ」:http://www10.plala.or.jp/ikiume/
前川知大さんが作・演出を務めている、2003年に旗揚げされた劇団「イキウメ」。僕は初めて観劇する劇団です。クチコミで面白いという評判を耳にしていたので、楽しみに観に行ってきました。僕は千秋楽に観劇したのですが、通路までお客さんで埋まる盛況ぶり。熱気のある客席でした。
今回は本公演ではなく、番外公演でした。『短編集Vol.1-図書館的人生』ということで、「図書館的人生」「青の記憶」「輪廻TM」「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」「トロイメライ」という5つの作品が、オムニバスで進行していきます。5つの作品すべてに共通しているテーマは「生と死と記憶」とのこと。
一見してみると現実的な世界に見えるものの、実は奇妙な非現実的な世界。いわゆるSFとかオカルトなどの要素が題材になっている印象をうけ、専門的な知識に豊富な脚本だと思いました。そう、とにかく脚本が面白かったです。生と死と記憶のドラマは、どれも濃密で魅力的でした。そしてスピーディーに進行していく演出も良かったと思います。作品全体の雰囲気としては、テーマがテーマなので、緊張感のあるシリアスというか若干暗めな印象をうけました。
すべての作品が何らかの形で接点があり、関係していたりする構成になっていました。なので進行するにしたがって、謎のようなものが解き明かされたりするのは面白かったですね。でも「トロイメライ」だけは接点がほとんどなく、全体のまとまりに欠けてしまっていた気がしました。でもそんなことは終演してみれば小さなことで、この作品が面白かったことに変わりはありませんでした。
上演時間は約2時間半(10分間の休憩を含む)という少し長め。しかし一つ一つの作品が見応えがあり、惹きこまれながら観劇することができました。ちょっと疲れてしまいましたが、あっという間に時間が過ぎていきましたね。充実した短編集(オムニバス)に仕上がっていて、面白かったです。
★下記のレポートはネタばれしています。
舞台美術は極めて抽象的で、シンプルなものでした。舞台頭上に遠近感をだすような、重厚感のある天井がとりつけられているだけで、あとはほぼ小道具などを持ち込むだけ。そこに様々な変化を生み出す照明が加わって、スピーディーに場面転換をしていました。
《「図書館的人生」(私家版境界線変相・改訂)》
・見知らぬ部屋で据付けの電話を取ると、なぜかそれは私への電話で、図書館からの返却督促だった。図書館職員は物知りで、私が会ったこともない私の兄を、彼は私に紹介する。
・難しくて、怖かったです。なので最初は少しだけ、取っつき難い印象をもちましたね。そしてかなり短い作品でもありました。確か10分もなかったような気がするんですが・・・。
《「青の記憶」(改訂)》
・病院の一室で地震に襲われる五人。揺れが治まってみると状況は一変していた。窓から見えた太陽は 月に変わり、ドアの向こうには、永遠に続く廊下があった。
・個人的には今回の短編集の中で、一番好きな作品です。ドキドキワクワクして、次の展開が気になりました。特に後半は、どんどんと謎が解き明かされていくのが面白かったです。
《「輪廻TM」(新作)》
・ある寺の住職は、夜な夜な地下室で秘密の実験を繰り返していた。そして終に完成したその装置で、坊主は時空を超えて虫になる。
・今回の短編集の中では、いちばん笑いが多かったような気がします。コミカルな要素も多く、軽快に進んでいく作品だったので、僕も楽しく観ることができました。ちなみに「輪廻TM」とは「輪廻タイムマシーン」の略なんですね。
《「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」(新作)》
・投身自殺寸前の女の前に、二人の男が現れる。止めに来たわけではなさそうだ。男は言う。どうせ死ぬなら移植医療にご協力を。その体と、その記憶、そして残った寿命を回収したい。
・軽快なテンポで会話が弾んでいき、物語が進行していきました。自殺寸前の女性が主人公なのに、深刻にならず、むしろ明るい雰囲気の作品なのが面白かったです。
《「トロイメライ」(新作)》
・意識不明のまま三年間を過ごし、自分の誕生日に息を引き取った女。葬式で夫の前に現れたのは、妻の最後の三年間を共に過ごしたという男だった。
・悲しくて、切なくて、それでいて非常に美しい物語でした。これは思わず涙腺を刺激されてしまいますね。しめて40分ほどの上演時間で、短編集の中では一番長かった作品かもしれません。現実と幻想の世界をいききするような、演劇だからこそ実現できる演出も多々あったと思いました。
※掲載させていただいた“あらすじ”は、WEB「イキウメ」より引用させていただきました。
★上記のレポートはネタばれしています。