「埼玉県芸術文化振興財団『タイタス・アンドロニカス』」
出演:吉田鋼太郎、麻実れい、小栗旬、真中瞳、壤晴彦、鶴見辰吾、ほか
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原作:W・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:原田保 衣裳:小峰リリー 音響:井上正弘 ヘアメイク:武田千卷 ファイティングコレオグラファー:國井正廣 音楽:笠松泰洋 演出助手:井上尊晶、石丸さち子 舞台監督:明石伸一 技術監督:白石良高
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2006年4月21日(金)〜5月7日(日)/彩の国さいたま芸術劇場/http://www.saf.or.jp/
シェイクスピアの悲劇作品『タイタス・アンドロニカス』を、蜷川幸雄さんが演出を手がけます。今回は待望の再演ということに加えて、英国で行われるシェイクスピア・フェスティバル―The Complete Works―の正式招待作品でもあります。良い評判を聞いていたので、期待して観に行きました。
さてさて、劇場ロビーに入場してみて少々ビックリ。これから実際に使用される、小道具や衣装などがいろいろと並べられていました。役者さんたちもロビーや客席に現れたりしていて、とてもドキドキワクワクと胸が高鳴る楽しい空間です。そして舞台上でも役者さんやスタッフの方々が、上演の準備を行っていました。僕は劇場に到着するのが遅かったため、もう少し早くに行っていればと少々後悔。これから観劇される方は、少し時間に余裕をもって観に行かれると良いかもしれませんね。
《あらすじ−“アマゾン”の「シェイクスピア全集」紹介より引用−》
ローマ将軍タイタス・アンドロニカスは、捕虜であるゴート人の女王タモーラの長男王子を殺して、戦死したわが子たちの霊廟への生贄とする。これを怨んだ残る王子二人は、一転ローマ皇帝妃となったタモーラの狡猾なムーア人情夫、エアロンと共謀。タイタスの娘ラヴィニアを襲って凌辱し、なんとその舌と両手を切断してしまう。怒り狂うタイタス…―血で血を洗う復讐の凄惨な応酬。その結末は!?シェイクスピア初期の衝撃作。
あらすじを読んでいただければ分かるとおり、「タイタス・アンドロニカス」は非常に残酷な物語です。これでもかと人が次々と死んでいき、まさに血で血を洗う復讐劇なんですね。まさに“救いようがない”という言葉がふさわしいような、シェイクスピア作品の中でも最も残酷非道な作品なんだそうです。僕はあらすじを既に知っていたので、蜷川さんによる演出を楽しみに観に行きました。
真っ白に統一された美術に衣装、そして幾度となく流れる真っ赤な血・・・。いつものようにビジュアルが凝っていて、豪華かつ美しい劇空間が生まれていました。ストーリー的にはスプラッタの要素が非常に強い作品だと思いますが、重厚な雰囲気はそのままに、この演出では血生臭い印象がほとんど無かったように思います。まるで形式美のように感じられる、美しい悲劇だと思いました。
上演時間は15分間の休憩を含める、たっぷり3時間半弱です。長時間なので、非常に見応えがありました。でも僕は会場に行くまでも遠かったですし、すごく体力を消耗してしまいました(苦笑)。
★下記のレポートは、ネタバレしています。
舞台美術(中越司)は上記したように、真っ白に統一されています。まず稼動することが出来る重厚感のある大きな壁が、左右にそびえていました。そんな壁がダイナミックに動き、場面に応じた小道具や大道具が持ち込まれて、さまざまな場面が展開していきます。たとえば森の中でのシーンでは、大きなハスの葉が所狭しと並べられて、深い森が表現されていました。そして常に展示してあった“狼と赤ん坊の巨大な彫刻”も非常によく出来ているんですね。ちなみにこれはローマ建国を象徴する彫像『カピトリーノの雌狼』のレプリカだそうです。非常に存在感がありました。
そんな真っ白な空間だからこそ、なおさら照明(原田保)が映えていて印象的です。いろんな分野があわさり、美しいビジュアルや空間を生み出していました。そして今回の演出では、いったい血をなにで表現するのかな・・・?と思っていたら、真っ赤な無数のヒモで表していました。白一色の空間に流れる無数の鮮やかな血(ヒモ)は、観客に強い印象を残していたのではないでしょうか。
タイトルロールであるタイタス・アンドロニカスを演じた吉田鋼太郎さんは、殺気や復讐心にかきたてられるタイタスを、すごい迫力で演じていました。そしてタモーラを演じた麻実れいさんは、妖艶な雰囲気をかもし出しつつ、美しい立ち姿にも感動したことが印象に残っています。
★上記のレポートは、ネタバレしています。