作:ベルナール・マリ=コルテス 演出・美術:佐藤信 翻訳・監修:佐伯隆幸 出演:重森次郎、遠藤良子、工藤牧、河内哲二郎、横田桂子、桐谷夏子、福地一義、Soxie Topacio
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照明:斎藤茂男 音響:島猛 映像:吉本直聞 衣装:今村あずさ 舞台監督:北村雅則 演出助手:坂口瑞穂、南俊一 写真:青木司 宣伝美術:タグチケイコ 制作:宗重博之、米田慎吾、斎藤俊明 芸術監督:桐谷夏子 《ベルナール=マリ・コルテス/2作品交互上演》
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4月19日(水)〜5月14日(日)/theatreiwato/http://www.ne.jp/asahi/kurotent/tokyo/
1980年代のヨーロッパで活躍した劇作家である、ベルナール・マリ=コルテス。そんなコルテス作品「西埠頭」と「森の直前の夜」を、老舗の劇団“黒テント”が交互に上演していく公演です。というわけで神楽坂のtheatre iwatoまで、僕はとりあえず「西埠頭」の公演を観に行ってまいりました。
★黒テント『ベルナール=マリ・コルテス/2作品交互上演「森の直前の夜」』観劇レポート
★今作の演出家・佐藤信さんの個人サイト『鴎座』(今作の舞台写真あり)
昨年に黒テントが手がけられた「ロベルト・ズッコ」で、僕は初めてベルナール=マリ・コルテスの作品に触れました。その時は理不尽というか不条理というか、理解に苦しむような難しい作品だった事を記憶しています。しかし非常に刺激的な悪夢を見ているような感覚にとらわれ、興味深い作品でもありました。今回の作品も同じような雰囲気の、いわゆる難解で難しい作品だったと思います。
《作品紹介−WEB「黒テント」より引用−》
運河のほとり 見捨てられた廃墟の町 コルテスの研ぎ澄まされた<他者>への視線が 容赦なく描き出す静かな<暴力> 『ロベルト・ズッコ』の黒テントが挑む コルテスの最高傑作
そんないっけん静かでドライな雰囲気に満ちた空間では、暴力的で殺伐とした世界が展開します。ストーリーを上手く説明することが出来ないのですが、朝日新聞の紹介には「都会のはずれの倉庫街での、貧しい貧民一家と裕福な夫婦の偶然の出会いを描く」というふうに掲載されていました。
そんな台詞を感情があとに続いていくように、畳み掛けるような早口の一本調子で語り続けます。まさに目まぐるしく過ぎ去っていく台詞の応酬に圧倒されました。しかし噛んでいるところも観うけられましたし、きっと役者さんにとっても非常に手ごわい作品であろうことが現れていたと思います。
上演中から未だ僕の頭の中では、今作に対する考えがめぐり続けています。自分の解したことを上手く書くことが出来ないのですが、良い意味で胸につっかかって取れないものが残ったことは確かです。非常に興味深い作品でしたし、僕は「森の直前の夜」も観に行くことを決意しました。そちらは斉藤晴彦さんの一人芝居ということもあって、今からどんな作品か楽しみにしています。
演出も面白かったですし、スタッフワークも非常に良かったと思いました。僕は佐藤さんの演出作品が少々苦手だったはずが、コルテス作品だと相性がいいんでしょうか。theater iwatoを横使いにした素舞台に近い空間では、研ぎ澄まされたクールでスタイリッシュな演出が施されていました。ここが神楽坂の古ビル再生劇場だということを忘れるほど、様々な場所に変化していくのです。
舞台美術(佐藤信)は素舞台に近く、劇場を横に長い形で使用していました。汚れ(染み?)があるコンクリートの壁が剥き出しの状態になっていて、黄色の鮮やかな床が観客の目を惹いています。僕は前から二列目のベンチシートで観劇したのですが、この作品は中央の後方が観やすいかもしれないですね。なにしろ横に長い空間なので、首を左右にふりながらの観劇となりました(笑)。
照明(斎藤茂男)は斬新だけど、シックな渋さも感じます。鮮やかな青色の蛍光灯が舞台を取り囲んでいて、美しい間接照明になっていたのにはシビれました。オレンジやブルーなどの大胆な色使いや、ほぼ暗闇の場面などもあったりしたのも印象的。面白いですし、カッコいいですね。
映像(吉本直聞)については、雨垂れや運河の様子などの抽象的なものが流れました。直接的な表現をさけていて、観客の想像力を刺激してくれています。モノクロのように控えめな色使いだったり、壁に直接映写されていたのも非常に効果的だと思いました。
上演時間は休憩なしの1時間50分。観るほうも演じるほうも体力がいりそうな作品でしたが、非常に見応えがありました。ちなみに翻訳・監修者の佐伯隆幸さんによるアフタートーク「コルテスと日本の現代演劇」が、5月6日(土)と13日(土)の終演後にあるようです。作品に対する理解が更に深まるかもしれませんね。僕は残念ながら、観に行けそうにないのですが・・・。