作・演出:木内 宏昌 出演:久松 信美、石橋 けい、木村健三、金崎 敬江、沖田 乱、坪井 美奈子、瀧川 英次、大森 智治、由地 慶伍、片岡 正二郎、鶴牧万里、若松 智子(dance)
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美術:深瀬 元喜 照明:増田 隆芳 音響:藤田 赤目 振付:若松 智子 舞台監督:桑原 淳
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4月15日(土)〜23日(日)/吉祥寺シアター/http://www.din.or.jp/~azr-bjn/2006site/
tpt(Theater Project Tokyo)で翻訳や演出などをよく手がけていらっしゃる、木内宏昌さんが作・演出をされている“青空美人プロデュース”。ネットで見かけたレビューの評判が良かったですし、お勧めをいただいたりしたので、そんな青空美人の新作公演「怪力」を観劇してまいりました。
劇場内に入場して舞台美術を観てみると、“わぁ・・・”とため息が漏れました。吉祥寺シアターの奈落をフルに使用した舞台が展開し、とても神秘的で不可思議な世界がそこにあったと思います。左右の奈落に向かって階段が続いている、まるでピラミッドの頂になっているような舞台。重厚的な雰囲気が漂い、天井からはポタポタと水が滴ってきます。そうして僕はいつのまにか、舞台に惹きこまれていきました。このようにスタッフワークの完成度が高いのが、非常に魅力的な作品です。
《作品紹介−WEB「青空美人」より引用−》
伝説の川、都市の運河、人のなかを流れる赤い河。 なにもかもを飲み込む流れがまたやって来る。 あの魔物が轟音とともに姿をあらわす前の晩、ぼくたちはなにを話していただろう。 洪水前夜の3つの情景。 時も場所も異なるエピソード3話が、大洪水でつながっていく。 寓話、ダンス、歌、コンテンポラリー、、 表現する力のやわらかなアドベンチャー。
ジャンルを言うとすれば明らかに演劇なんでしょうが、僕はキャッチコピーの「表現する力のやわらかなアドベンチャー」が適格にこの作品を表していると思いました。歌もありましたし、コンテンポラリーダンスのようなものもありました。さまざまな表現の要素が入り混じっていたと感じます。
全3話で構成された、いわゆるオムニバス形式を用いて“怪力”いう、一つの作品が構築されていきます。時代も場所も人物さえも異なる3つの劇世界が絡み合い、無国籍でどこか不可思議な世界(空間)が吉祥寺シアターに立ち現れていました。だけど一貫して伝わってくるものがあって、そんな劇世界に身を任せながら観劇することができます。想像力を刺激され、面白いと感じました。
観ているときは“?”が頭の中を巡っていて、よく分かっていませんでした。しかし一つ一つの場面が進んでいくうちに、少しずつですが作品の全容を把握できるようになっていくのです。まるでパズルのピースが嵌っていくような感覚でした。人それぞれが感じたように、解せば良いと思います。
ただ体調を崩してしまっていたため、最後まで少々集中できなかったのが残念。でもグッと惹き込まれた瞬間があったり、面白い作品に出会えたという手ごたえがあったので良かったです。ちなみに上演時間は休憩なしの、2時間弱だったと記憶しています。余韻もあり、見応えがありました。
★下記のレポートは、ネタバレしております。ご注意ください。
《あらすじ−公演当日に配布されたパンフレットより引用−》
第一話:過去。タイガの国は、ヒガシの国の忘れられた植民地。降り続く雨のなか、水門番の屋敷にヒガシの国の軍人がやってくる。第二話:現代。水門のある公園。羊のベンチは人気のスポット。さまざまな二人組が行き交う雨上がりの午後。なにかがおかしい。第三話:現代。あるオーディションの風景。翻訳家が出席している。なにも始まっていないはずなのに、覚えのある人、モノ、言葉。
この作品は(このために作られた)架空の作家である、ハンス・リー・シュメールが執筆したという戯曲「怪力」が軸になっているようでした。戯曲「怪力」は7ヶ国語で書かれていて非常に難解なため、翻訳は不可能だと言われていた。しかし世界で初めて翻訳に成功し、上演することになったカンパニーのオーデション風景を第三話で描いています。そんな戯曲「怪力」の一場面を第一話と第二話で展開していて、最後の第三話を観ることによって、作品の全貌が明らかになる構造でした。
人それぞれ解釈がいろいろとあると思いますが、いっけん戯曲「怪力」を上演するカンパニーのバック・ステージ的な要素をもった作品だとも受け取れます。いろいろな断片的なイメージの集合体とも感じられたし、創造や推測は大きく広がっていきました。とにかく3つのエピソードが積み重なって多重構造に作られた、いわゆるメタ的な要素を強く含んでいる作品だというふうに僕は解しました。
天井から水がしたたったり、バケツのような器から水が溢れ出したり、巨大なビニールによる場目転換・・・。そんな美しくて印象的な演出が随所に点在していて、とても面白かったと思いました。役者さんについては、何役か兼ねて演じられています。全体のアンサブルも良かったと感じました。
★上記のレポートは、ネタバレしております。ご注意ください。