「KAKUTA花やしき公演『ムーンライトコースター』」
出演:成清正紀、若狭勝也、原扶貴子、佐藤滋、川本裕之、田村友佳、野澤爽子、松田昌樹、高山奈央子、横山真二、馬場恒行、桑原裕子、実近順次、水野美穂、青山麻紀子、田仲祐希
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構成・演出:桑原裕子 音響:島貫聡 舞台監督:坂野早織 演出部:阿部みゆき、畠山さなえ、新田啓樹、宮田温子 照明:山口久隆 振付:黒川麻衣 演出助手:田村友佳、大谷典之 選曲:真生 衣装:山崎留理子 衣装製作:速水由樹 宣伝写真:相川博昭 宣伝美術:川本裕之 記録:相川博昭、仁志原了 制作:前川裕作、五十嵐正至、辻本美香子 制作助手:森下雄樹
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06年5月31日(水)〜6月4日(日)/花やしき/http://www.kakuta.tv//企画・製作:K.K.T
桑原裕子さんが作・演出を手がける「KAKUTA」。2004年に浅草の遊園地“花やしき”で演劇公演を行い、好評を博した作品「ムーンライトコースター」の再演でした。僕は初演を見逃しています。初演での良い評判を沢山聞いていましたので、そんな公演の初日を楽しみに観てまいりました。

実は“花やしき”に行ったのは今回が初めてだったんです。どこか懐かしい雰囲気が漂ってくる、かなりスモールサイズな遊園地でした。だけどアトラクションの数は豊富な感じで、とても凝縮されているような空間なんですね。さてさて今作の特徴は、自分自身で“舞台背景”を選べるという点でした。園内はA・B・C・Dという4つのゾーンに分かれていて、好きなゾーンを選んで観劇できるんです。ちなみに僕が選んだのは、メリーゴーランドの前に位置するBゾーンです。観やすかったですね。
そこで上演されていくのは、遊園地“花やしき”を舞台にした6つの短編。いわゆるオムニバスという形ですよね。観客は開演してから席を変更することは出来ず、役者さんが各ブロックを順々に回って、園内では同時多発的に上演していくのです。ということで観客はどこに座っても、すべての短編を逃すことなく観れるという仕組みでした。しかしオープニングとエンディングだけは、それぞれ違っているようですね。また観に来たいと思わずにはいられません。すっごくリピーターしたくなりました。
通常の花やしきが営業を終了したあとの、KAKUTAによる貸切公演でした。園内開場が19:00、そして開演が19:30。上演時間は1時間30分弱、といったところでしょうか。いざ観客たちが園内に入場してから、既にお芝居は始まっていました。役者さんがいたるところにいて、実際に声をかけられたりします。屋台などもいろいろと出ていて、園内ではもちろん飲食自由。僕は浅草ドッグと浅草クロケットを食べながら、今か今かと開演を待ちました。早めに行って楽しまないと損ですね。
《極簡単なあらすじ−巡る6つのものがたり−》上演順序は各ゾーンで異なります。
・【招かれざる客たち】幼馴染である男女2人は、同じく幼馴染のデートを覗きに来ている。
・【Father in Tokyo!!】ある兄妹は田舎から東京へと、行方不明中の父親を探しにやって来た。
・【最後のデート】このデートを最後に別れようとしているカップル。なかなか別れられないでいた。
・【ふた星テントウ】女子高生と援助交際をしようした、リストラにあってしまった男の正体は・・・。
・【出来損ない道化師】道化師のグループ。団員の脱退を機に、彼らの結束が危ぶまれる。
・【ウサギ、逃げる。】結婚資金の通帳を持ち逃げされた彼女は、持ち逃げ犯の彼氏を追いかける。
魅力的な遊園地という空間にも負けず劣らず、お芝居自体も非常に素敵なものでした。すごく現実味のあるストーリーなのに、なんだか夢のような不思議な感覚にも襲われます。まさに花やしきの中は“地続きの別世界”になっていました。最後には優しくて暖かい気持ちになり、非常に清々しく爽やかな気分で花やしきを後にしました。とにかく花やしきでお芝居が観れるチャンスなんて滅多にありません!!これは一見の価値ありですね。ぜひお祭りというかイベントとして、存分に楽しむほうが良いかと思います。公演は終了しましたが、またこういう素敵な公演があると良いですね。
僕の観劇したBゾーンのラスト・シーンは、田舎からやって来た兄妹の物語「Father in Tokyo!!」と、結束が危ぶまれている道化師グループを描いた「出来損ない道化師」の二つでした。ちゃんと素敵な結末が描かれているんです。そして最後には実際に誰も乗っていない無人のジェット・コースターが、清清しく園内を通り抜けてくれました。とっても楽しかったけど、“もっとこの空間にいたい”と少しだけ寂しい気分にもなります。それほど充実感あり、惹き込まれたと言うことでしょう。