出演:大浦みずき、中山マリ、鴨川てんし、川中健次郎、猪熊恒和、大西孝洋、宮島千栄、江口敦子、樋尾麻衣子、内海常葉、裴優宇、久保島隆、杉山英之、小金井篤 工藤清美、桐畑理佳、阿諏訪麻子、安仁屋美峰、樋口史、高地寛、伊勢谷能宣、渡辺美佐子(声の出演)
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原作:ヘンリック・イプセン 脚本・演出:坂手洋二 美術:島次郎 照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響:島猛(ステージオフィス) 舞台監督:大津留千博 衣裳:宮本宣子 演出助手:吉田智久・坂田恵 文芸助手:清水弥生・久保志乃ぶ 舞台協力:森下紀彦 協力:Carla Valverde 高津映画装飾株式会社 俳優座劇場舞台美術 俳優座劇場 宣伝意匠:高崎勝也 制作:古元道広・近藤順子・小池陽子 Company Staff:向井孝成・高地寛 イラスト:石坂啓
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2006年5月26日(金)〜 6月4日(日)/俳優座劇場/http://www.alles.or.jp/~rinkogun/
坂手洋二さんが作・演出を手がけている「燐光群」の最新公演です。今回はヘンリック・イプセンの「民衆の敵」を、坂手さんが新たに脚本化し演出なさりました。出演を予定していた渡辺美佐子さんは、体調不良により降板されて“声の出演”をなさり、今回は主役を大浦みずきさんが演じます。
さてさて今作「民衆の敵」の進行は、イプセンの原作とほぼ同じようですね。ですが舞台を“ノルウェー南部の海岸町”から“日本のどこかの温泉町”に変更され、時代についても“今かもしれない『現代』”と設定されています。そして主人公である温泉町の専任医師も、男性から女性へと変更されていました。ちなみに上演時間は休憩を含む2時間半弱で、見応え十分の内容となっています。

《イプセン「民衆の敵」のあらすじ−WEB「燐光群」より引用−》
ある地方の温泉街の専任医師が、その温泉が皮工場の廃棄物によって汚染され、人体に影響を与えることを知り、温泉の配管を工事し直すことを提案するが、温泉につぎ込んだ予算を無駄にせずにまた再工事の費用を掛けたくないと考えてその事実を隠蔽しようとする彼の兄である町長を初め、印刷所の社長、家主組合の会長、権力におもねる人々によって攻撃される。彼は孤立するが、家族と共にたたかい、ついには、町の人間全体が集まる諮問会に於いて、こうした事態に対して大勢に従ってしまう人民=民衆こそが問題なのだと告げ、町から排斥される。しかし彼は毅然として自らの自説を曲げない。
今作は一つの喜劇としても受け取れると言うか、ありそうでなさそうな寓話としても創作しているのかもしれません。役者さんの動きが妙にオーバーだったのですが、それも演出の意図のような気がします。僕はもう少し密な会話劇として楽しみたかったので、少しだけ気になってしまったのですが・・・。非常に興味深い作品だと思いましたので、最後までじっくりと観劇することができました。(ちなみに画像は本公演「民衆の敵」のチラシ)
坂手さんが手がける燐光群ということで、今の日本が抱えている社会問題なども、出色して描かれていました。やはりジャンルで言えば社会派というか、グッと鋭い眼差しが光っています。ということで上演中はいろんなことを感じながら、そして考えていくことになりました。こういう観劇体験や作品と出会えるので、僕にとって燐光群は貴重な存在かもしれません。次回は今冬に「チェックポイント黒点島(仮題)」をザ・スズナリで上演とのこと。また観に行ってみたい公演が増えましたね。
★下記のレポートは、ネタバレしております。ご注意ください。
舞台美術(島次郎)は抽象的なイメージで、尚且つシンプルなものでした。黒幕で覆われた舞台の中央に、木で作られた丸い舞台が設置してあります。その回るい舞台は回り舞台になっているので、場面転換などで効果的に利用していました。しかしながら・・・、会場が少しだけ大きかったような気がします。僕としては密度の高い感じの、もう少し小さな空間で観たかったかも知れません。
印象に特に残ったのは、美しいラスト・シーンでしょうか。渡辺美佐子さんの暖かい声がイプセンの文章を読み上げられるなか、無人の舞台に置いてある椅子たちが、照明によって照らし出されます。出演者の中では主役を演じた、大浦みずきさんが特に印象的でした。すごいカッコいいです。
★上記のレポートは、ネタバレしております。ご注意ください。