「世田谷パブリックシアター『敦−山月記・名人伝−』」
原作:中島敦 演出・構成:野村萬斎 出演:野村万作、野村万之介、野村萬斎、石田幸雄、深田博治、高野和憲、月崎晴夫、亀井広忠(大鼓、2日・16日は原岡一之)、藤原道山(尺八)
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美術:松井るみ 照明:小笠原純 衣裳:半田悦子 音響:尾崎弘征 演出助手:小美濃利明 舞台監督:勝康隆 技術監督:眞野純 宣伝美術:杉浦康平+佐藤篤司+島田薫 主催:財団法人せたがや文化財団 企画制作:世田谷パブリックシアター 協力:万作の会
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9月1日(金)〜18日(月)/世田谷パブリックシアター/http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
中島敦の小説「山月記」と「名人伝」を狂言師の野村萬斎さんが、狂言師の方々による現代演劇として上演されました。初演は昨年行われたのですが、僕は観に行けず悔しい思いしました。が、しかし!今回は待望の再演ということで、楽しみに劇場へと向かいました。TSSSを利用して観劇。

す、す、素晴らしかったーー!!内容はまさに現代演劇と古典芸能の融合です。2つの要素が互いに生かしあい、1つの作品が創られました。そして大鼓と尺八という古典楽器の魅力をはじめて実感し、狂言師の皆さんによる演技にも非常に感動をしました。スタッフワークも抜群で、文句のつけどころなど、ないに等しいのではないでしょうか。僕の観た回は客席の年齢層は高めに感じましたが、きっと老若男女が楽しめるエンターテイメントとしても成立していると思います。
恥ずかしながら中島敦さんの作品を読んだことがないという若輩者です。だってこの作品を観るまで中島さんの存在さえ知らなかったですから。だめですね、ホントまだまだ無知です。今回の作品では中島さんの人物像に迫ると共に、基本は「山月記」と「名人伝」という二つの作品を前半後半にわけて上演します。どうやら中島さんの小説をそのままテキストとして使用しているようですね。
実を言うと初演の映像をチラッと観ていました(NHKで放送されたんですよね)。だけど・・・やっぱり生で観たら凄かったです。なにがすごいって、まず洗練された無駄のない空間に流れる心地の良い緊迫感。出演されている狂言師の方々と時間を共にしている、そんな喜びさえ感じる瞬間がありました。そしてふと気づいた瞬間に涙が頬をつたっていきました。もうなんというか雰囲気や気迫がもの凄かったんですよね。これは舞台芸術ならではの感動です。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
劇場の中に入って舞台に目をやると、飛び込んでくるのは深い暗闇です。真黒い鏡面仕上げの丸いステージには、周囲をグルッと取り囲むように三日月形の一段高い装置が設置されています。可動式になっており、回転をすることもしばしば。シンプルで抽象的ですが、非常に効果的な舞台美術だと思います。そこに照明が加わることにより、更に美しい劇空間が生まれていました。
・第一幕『山月記』−あらすじはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用−
隴西の李徴はかつての郷里の秀才であったが、狷介で自負心が高く、自らの身分に満足しきれず、詩人として名を成そうとするも挫折。その後、狂して山奥に奔り、行方知れずとなった。 一年後、彼の旧友は旅の途中で虎となった李徴と邂逅する。李徴が詩業への執着ゆえに人の精神や姿を失って虎に変身した己を省み、なお執着を捨てきれぬ悲哀を友に述懐する有様を描出した。
刺激的なほどピーンと張り詰めた空気、そしてそこに存在する狂言師の皆さん。そんな洗練された舞台を目にした冒頭から、ググッと惹きこまれて観劇できました。ストーリーもすごく面白かったので、原作を読まなきゃ!!と即決断。萬斎さんの演出力も確かなものなんだと、改めて実感することになりました。しかし何と言っても野村万作さんに尽きるでしょ!!もう素晴らしかったですね。
・第二幕『名人伝』−あらすじはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用−
趙(ちょう)の邯鄲(かんたん)の都に住む紀昌(きしょう)という男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立て、当今弓矢をとっては及ぶ者がないと思われる名手・飛衛(ひえい)、次いで斯道の大家の甘蠅(かんよう)に師事して「不射の射」を体得する。
コメディのように仕上げられた作品で、最後までとっても楽しく拝見できました。山月記でも感じましたが、萬斎さんの演出に惚れちゃいましたね。映像や漢字を多用した演出になっていて、とってもユニークで可笑しかったです。日本人だから分かる面白さが満載の作品だったと思いました。いろいろと笑わせていただきましたが、結局最後はまた秀作に出会えた感動を味わいましたね。
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