「Bunkamura『緒形拳ひとり舞台《白野−シラノ−》』」
出演:緒形拳 楽師:ウォルター・ロバーツ(チェロ) 旅公演:東京、茨城、山形、岩手、北海道
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原作:エドモンド・ロスタン 演出:鈴木勝秀 音楽:朝比奈尚行 訳:楠山正雄、辰野隆 翻案:額田六福、澤田正二郎 構成:島田正吾 美術:二村周作 照明:倉本泰史 音響:井上正弘 舞台監督:眞野純 スーパーバイザー:梶川芳友 演出部:河本昌洋、五木見名子 演出助手:安倍洋平 衣裳協力:松竹衣裳 音楽享禄:鈴木光介 企画・製作:Bunkamura
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2006年10月14日(土)〜17日(火)/TheatrePUPA/http://www.bunkamura.co.jp/
俳優・緒形拳さんによる、初めての一人舞台です。上演されるのはかの有名なエドモン・ロスタン作、『シラノ・ド・ベルジュラック』の日本版である『白野弁十郎』。もともとは緒形さんの師であられる、新国劇の島田正吾さんの代表作なんですね。今回は鈴木勝秀さんが演出を手がけられます。

《あらすじ−公式サイトより引用させていただきました−》
徳川幕府崩壊を目前にして騒然としている京の都。朱雀隊の隊士である白野弁十郎は、剣もたち無頼漢だが歌を詠む繊細な心を持ち合わせている。幼少の頃から憧れている従妹の千種に、隊の新人、来栖生馬への恋心を打ち明けられる。傷心の白野だが、来栖も千種を想っていることを知り、雅な言葉を知らない来栖に代わって、恋の言葉を考えようと提案する。千種への思いは誰よりも強いが、異様に大きな鼻をもった白野は、己の醜さでは遂げられない恋と諦めたのだった。白野のお陰で、来栖を立派な歌詠みと信じている千種を残し、白野と来栖は戦場へ。戦場でも白野は来栖に代わって激しい恋の便りを送り続け、遂には来栖に気持ちを悟られてしまう。やるせない思いで戦場に出た来栖が戦死し、白野は一度は打ち明けようとした千種への想いを、心に秘めると決心する。あれから十余年、仏に仕える身となった千種を慰めるため、落ちぶれた今も白野は彼女の元に通う。秋の夕暮れ、途中で負った瀕死の重傷を隠す白野に、千種は来栖からの最後の手紙を見せる。日が落ち、辺りは暗くなってきたのに恋文を読み上げ続けている白野。長年を経た今でも千種への思いを綴った手紙を諳んじているのだった。千種はそのことに・・・
さて肝心の内容ですが、僕は「シラノ・ド・ベルジュラック」をちゃんと舞台で拝見するのは初めてだったので、最後まで興味深く拝見することが出来ました。ものすっごく切なくて、それでいて愛しいお話なんですね。今回の作品は“一人舞台”ですので、もちろん役者さんは緒形さん一人だけ。年齢や性別の壁を越えて、どの役も一人で演じられるのです。ですが正式に言えば、この舞台の出演者は2人です。なぜならチェロ奏者のウォルター・ロバーツさんが、舞台上で実際に生演奏をなさるからです。このチェロの男性的な響きが、この作品にはピッタリで効果的だったと思いました。
全体的な演出は主張が控えめというか、非常に淡々としたシンプルな仕上がりになっていました。緒形さんは味わいのある独特の語り口でお話をはじめられ、何処かゆったりとしたペースで舞台は動き始めました。とても渋くて独自の存在感を放つ、大人の素敵な俳優さんなんですね。しかし中盤からそんなペースが災いしたのか、睡魔が襲ってきてしまって・・・。もう今となっては自己嫌悪なのですが、少し寝てしまいました。あぁ・・・悔しいっす。で、で、でも!!後半からの巻き返しが素晴らしかったのです。僕はどんどんと舞台に惹き込まれて、この舞台の真骨頂が姿を現しました。
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さてさて、一人芝居だからこそ味わえる感動もあり、最後まで非常に見応えがありました。特に白野が千種に愛を告白するシーンとか、切なくて愛しくて・・・もう何とも言えずに良かったです。そして白野が亡くなってしまう、美しすぎるラストシーン。もうこの緒形さんを堪能できただけで、わざわざ観に来た甲斐があったというものです。後半は桟敷自由席というかぶりつきの席から、舞台を見つめ続けることになりました。“シラノ・・・”は通常の形体で是非また観てみたいと切に思いました。
今回の会場になっているのは、シアターコクーン内特設小劇場「TheatrePUPA(ピューパ)」。なんとコクーンの舞台上に、この公演のための劇場が特設されているのです。劇場の入り口はコクーンの楽屋口になっており、ロビーも舞台上に創られていました。こういう特設劇場はワクワクして楽しかったですね。いつものシアターコクーンとは、一味も二味も違う空間を味わえて嬉しかったです。
しかしそんな小さい空間での上演だったせいか、チケットをゲットするのは至難の業でした。僕は当日券で観劇したのですが、発売枚数は本当に極僅かだったようですね。大勢の方が並んでらっしゃったので、きっとお帰りになられた方もいらっしゃるでしょう。僕は前から4番目で、1時間半ほど劇場前で並びました。並ぶのは非常にキツくて大変でしたが、ホント買えて良かったです(大汗)。
この特設小劇場は前方が桟敷自由席(¥5,500)になっており、後方に指定席(¥6,000)が設えてある創りでした。客席の前方には客席からだとひし形に見える、四角いステージが設置してあります。そんなステージ上にはクラシカルな椅子と、小さなテーブルが置かれているだけ。非常にシンプルな舞台美術(二村周作)でした。とても抽象的な空間のなか、照明や音響などを駆使されていましたね。そして緒形さんの衣装は一部を除き、殆ど茶色い着物を着ていらっしゃいました。
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