【出演】横田桂子、森智恵子、本木幸世 【前売】¥3,800 【学生】¥2,500【当日】¥4,300
---------------------------------------------
【作】ジャン・ジュネ【翻訳】渡辺守章【演出】立山ひろみ【照明】齋藤茂男【美術】加藤ちか【音響】島猛【舞台監督】橋本加奈子【衣装】杉田文絵【舞台監督助手】南俊一【演出助手】白井真由美【イラストレーション】やまさき薫【写真】青木司【宣伝美術】桐山岳寛【制作】宗重博之/斎藤俊明/岩井加奈【芸術監督】桐谷夏子【著作権代理】(株)フランス著作権事務所
---------------------------------------------
10月30日(月)〜11月5日(日)/theatre iwato/http://www.ne.jp/asahi/kurotent/tokyo/
老舗の劇団黒テントによる第59回公演は、ジャン・ジュネの名作『女中たち』です。演出を手がけるのは今回が本公演デビューとなる、立山ひろみさん。僕が『女中たち』を拝見するのは、3軒茶屋婦人会以来2回目です。難解で有名な本作をどのように演出するのか、楽しみに観に行きました。

《簡易なものがたり》
舞台となるの奥様(本木幸世)の、花に囲まれた可憐な部屋。そこでは今日も女中の姉妹であるソランジュ(横田桂子)とクレール(森智恵子)が、奥様が留守の間をいいことに、奥様と女中に扮して「奥様ごっこ」を繰り広げていたのだった。しかしいつしか奥様を毒殺しよう、という計画を企てていくソランジュとクレール。そしてその計画を実行に移すものの、なかなか上手くいかなくて・・・・・。
今年の春にオペラシアターこんにゃく座が上演したオペラ「ガリバー」の演出を、今作の演出家である立山ひろみさんが手がけていらっしゃいました。その作品がとっても面白くて感動してしまい、僕のなかで立山さんは“これから追いかけたい!”と思える演出家さんになりました。ということで、今回の黒テントでのデビュー公演にも足を運んだのですが・・・。残念ながら正直なところ、ちょっと期待をしすぎてしまったかも・・・。僕が予想していたような完成度の高い仕上がりではなかったです。
全体的な印象としては奇をてらったような演出ではなくて、オーソドックスな印象を持つステージでした。しかし個性的だったり印象に残る演出効果も数多くあり、今も印象深く胸に残っています。でもそれらがすべて良いように作用しているとは思えませんでしたし、役者さんの演技にも少し疑問があり、残念ながらあまり楽しむことはできませんでした。欲を言えば黒テントだからこそ出来る「女中たち」を見せて欲しかったな・・・、というのが本音でしょうか。あれ、ちょっと欲張りですかね。ちょっと残念な結果になりましたが、また立山さんの演出作品に足を運んでみたいと思いました。
“難解”というレッテルを貼られがちな本作「女中たち」ですが、やっぱり2回目となる今回も・・・結果的に難しかったです(苦笑)。頭の中では“どうして?”や“なぜ?”という疑問が、ふつふつと次々わいてきましたね。でも当日に無料で配布されたパンフレットには、作品の詳しい解説文や出演者のインタビューなどが掲載されており、この作品を理解するうえでは非常に役立ちました。なおかつ全体のセンスがとても良いパンフレットでしたので、貰うことが出来てとっても嬉しかったです。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
漆塗りのように黒光りする真っ黒なステージ、そして随所に飾られる真っ赤な花々、そしてカーテンを表現する大きなオブジェ・・・。舞台の設定は奥様の部屋ということで、シンプルながらも豪華と気品を感じさせる舞台美術(加藤ちか)でした。客席は舞台を三方から囲むように設置され、まるで観客は密室を覗き見しているような感覚になります。照明(齋藤茂男)は非常に質素というかシンプルな形で創りこまれており、音響(島猛)は水の滴る音などで効果的に舞台を演出していました。
そして特筆すべきなのが、美術も衣装も“和”のテイストをふんだんに取り入れており、和洋折衷な「女中たち」に仕上がっていたことです。これが今回の最大のポイントだった気がしました。なぜこういった演出にした方は不明ですが、意外性や独自性があって良かったのではないでしょうか。でも僕は・・・3軒茶屋婦人会が上演したときのほうが、演出や演技の面でも好みでした。いわゆる小難しいと思われがちなこの演目を、とっつきやすいエンターテイメントへと仕上げていたからです。
女優3人芝居で1時間50分弱の上演時間にも関わらず、役者さんは喋りっぱなしで台詞の洪水です。3人ともすごく健闘していらっしゃるのが分かりました。でも台詞を噛んでしまうところも目立っていましたし、演出意図かもしれませんが、もう少し全体的に余裕が欲しかったですね。ちょっと演技がナーバスすぎるというか、ずっと切迫しているような感覚が続いてしまい、観ていて辛く感じてしまうシーンもちらほら・・・。でもソランジュを演じた横田桂子さんの存在感はとても良かったです。
★上記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。