「青年団『ソウル市民三部作連続公演《ソウル市民》』」
出演:篠塚祥司(客演)、山村崇子、山内健司、松井周、辻美奈子、小林亮子、古屋隆太、兵藤公美、石橋亜希子、角舘玲奈、村井まどか、大塚洋、松田弘子、足立誠、立蔵葉子、熊谷祐子、安倍健太、川隅奈保子 前売・予約:一般3,500円/学生・シニア2,500円/高校生以下1,500円
---------------------------------------------
作・演出:平田オリザ 演出助手:井上こころ、深田晃司 舞台美術:杉山至+鴉屋 照:岩城保 音響:藪公美子 衣装:有賀千鶴 衣装製作:菅かな女、すぎうらますみ、藤木智美 宣伝美術:工藤規雄+村上和子、京、太田裕子 宣伝写真:佐藤孝仁 宣伝美術スタイリスト:山口友里 パンフレットデザイン:京 パンフレット写真撮影:青木司 パンフレット対談編集:工藤千夏 翻訳協力:原真理子 制作:松尾洋一郎、西山葉子、林有希子 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場/(財)武蔵野文化事業団 「ソウル市民」「ソウル市民1919」「ソウル市民 昭和望郷編」
---------------------------------------------
2006年12月6日(水)〜12月17日(日)/吉祥寺シアター/http://www.seinendan.org/
平田オリザさんが作・演出を手がける青年団の最新公演です。今回は平田さんの代表作である「ソウル市民」の三部作連続公演です。どの作品から観ても支障はないようなので、僕は今作の『ソウル市民』、『ソウル市民 昭和望郷編』(新作)、『ソウル市民1919』の順番で観ていきます。

《あらすじ−当日配布のパンフレットより一部改良し引用−》
1909年、夏。日本による朝鮮半島の植民地化、いわゆる「韓国併合」を翌年に控えたソウル(当時の現地名は漢城)で文房具店を経営す篠崎家の一日が淡々と描かれる。日本から後妻に入り、いつまでも挑戦の生活になじめない母(山村崇子)。自分が何をやりたいのか分からない長男(松井周)。文学に青春の情熱を燃やす長女(辻美奈子)。日がな一日、何をやっているのか分からない書生(古屋隆太)。とりとめのない話を延々と続ける女中たち(兵藤公美・石橋亜希子・角舘玲奈・村井まどか)。そんな篠崎家に様々な客人たちが現れる。
皆さんご存知の方が多いと思いますが、青年団と言えば、平田オリザさんが提唱している「現代口語演劇理論」による、現代日本語による静かな会話劇です。同時に会話が進行したり、小さな聞き取れない声で台詞を発したり・・・。今作はソウルで文房具店を経営している、篠崎家の大きなお屋敷の居間が舞台です。そんな居間での1時間半の間、さまざまな人々が出入りし、そこで何気ないお喋りを交わしていきました。しかしその中には差別的な発言がうようよと蠢き、しかもそれが無意識のうちに発せられていることに怖く恐ろしく感じました。でもそれは過去のことではなく、普遍的で今にも通じるものがあると思います。とても見応えも十分の内容で、非常に面白いと感じました。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
そして平田さんの作品はちょっと堅苦しいようなイメージがあったのですが、それは大きな間違いだったようですね。とても豊かなユーモアがふんだんに散りばめられていました。けっこうトリッキーな内容だったので、思わずクスクス笑ってしまいました。そして篠崎家に訪ねてきた手品師が突然姿をくらますという、不条理で不可解な謎もしっかり用意されています。これは面白い!!すっかりハマッてしまったので、これからの2作も更に楽しみになりました。これはすごく失礼な発言かもしれないのですが、自分で勝手に“青年団ってこんなに面白かったんだ!”と再確認してしまいました。
青年団の役者さんは上手な方が多いな、としみじみと感じました。自然に演じられているものの、独特の個性を持った方が多かったので、観ていてとても楽しかったですね。青年団恐るべしです(笑)。スタッフワークも非常に良かったと思ったのですが、特筆すべきは舞台美術(杉山至+鴉屋)でしょうか。吉祥寺シアターは高い天井が印象的ですが、しっかりと空間を埋めることに成功しており、抽象的に篠崎家の居間が作られています。木製で作られたセットと、赤く塗られた色彩のギャップがカッコよかったですね。きっと大きく舞台が張り出されているせいか、見やすかったです。
★上記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。