「黒テント『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』」
【出演】斎藤晴彦、片岡哲也、宮崎恵治、木野本啓、工藤牧、足立昌弥、本木幸世、小林恵、遠藤良子、森智恵子、さとうこうじ(客演)【チケット】前売:¥3800(当日500円増) 学生:¥2500
---------------------------------------------
【作】松本大洋【演出】斎藤晴彦【美術】平野甲賀【衣装】合田瀧秀【照明】齋藤茂男【音響】島猛【舞台監督】高橋淳一【制作】宗重博之(黒テント代表)【芸術監督】桐谷夏子
--------------------------------------------
06年12/15(金)〜24(日)/theatre iwato/http://www.ne.jp/asahi/kurotent/tokyo/
「ピンポン」や「鉄コン筋クリート」といった作品を世に送り出している、人気漫画化・松本大洋さんの処女戯曲が今作「メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス」です。黒テントに書き下ろされた今作は、今回で3回目の上演となる人気作品なんですね。期待して楽しみに観に行きました。

≪あらすじ−WEB「バックステージ」より引用させて頂き、一部加筆しました−≫
場所は東名高速、深夜の川崎あたり。暗闇のなかから無線を通して聞こえてくる長距離運転手たちの会話。やがて、舞台は、いつものたまり場であるドライブイン「楽園」に変わる。そこには、女手ひとつで店をまもっている夢子(A:本木幸世、B:小林恵)と、30歳になっても子供の心を持った下着ドロ常習のフーちゃん(さとうこうじ)が働いている。この物語は、ドライブイン「楽園」で働く2人と、そこに集まる個性豊かな長距離トラッカー4人を中心に、夢と現実が交差しながら進行する。深夜のラジオから流れてくるDJ鹿島洋子(A:遠藤良子、B:森智恵子)の語りにのって、リアルなのに現実では決して出会わないであろう魅力的な登場人物たちが、現実とは少しだけズレた夢の世界を危ういバランスで行き来する夢幻的なストーリー。
今回上演されたお芝居でも漫画と同じような、不可思議で独特の松本大洋ワールドは健在しています。今作では現実世界と幻想世界、そして現在と過去を行ったり来たりしながら展開する、素朴で優しさに溢れた作品に仕上がっていました。自由で壮大で愛があるんだけど、すぐ隣には冷たい生と死の存在を感じます。すごい巧みな劇作術だと思いました。松本さんにとっては処女戯曲なのに凄いですね。それに書き下ろし作品ということで、黒テントの雰囲気にもピッタリだと感じます。個性豊かなキャラクター7人が繰り広げれる、面白い魅力的な作品でした。演出は出演もしている斎藤晴彦さんが手がけられていて、狙いが的確かつ非常に渋かったので舌を巻きました。役者さんはダブルキャストになっており、僕はある方からのオススメでBチームを観劇。良かったです。
松本 大洋著
フリースタイル (2000.5)
通常1-3週間以内に発送します。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
実のところ僕は2001年に上演された、再演の模様を映像で観ていました。戯曲にも目を通したことがありましたので、今回はどんな演出なのかも楽しみに伺ったのです。どうやら再演と今回とでは、変更点がいっぱいある内容だったと思いました。まず楽器演奏や歌がたくさん挿入されていたのも無くなり、かなりストレート・プレイに近い形の作品に仕上がっています。ということで上演時間も大幅に短くなって、1時間20分弱という気持ちの良い時間でした。僕は再演も今回もどちらも好きですね。両方とも独自の良さがありましたし、作品の芯は変わっていなかったので。
舞台美術は装丁家の平野甲賀さんが手がけられています。舞台が大きく張り出していましたので、客席が舞台を3方から囲む形になっていました。僕は舞台正面の席から観劇。劇場自体を上手く利用する素朴な感じがする素敵な美術で、2階建てセットの2階はDJ・鹿島洋子のブースになっています。舞台はドライブイン・パラダイスになったと思えば、山の中になったり、さまざまな場所に変化していきました。齋藤茂男さんの照明が大活躍していて、効果的に舞台を演出しています。
印象に残った場面はいろいろあったのですが、まずオープニングが特に印象に残りました。真っ暗闇の劇場内に響くトラックの無線。ゆっくりと別世界へ誘ってくれました。照明を使用してトラックのライトを表現していたのがカッコよかったですね。何台ものトラックがそこに存在しているように錯覚しました。そして始まるDJ鹿島洋子のラジオ番組に興奮を覚えます。松本大洋さんの作品はお話はもちろん面白いんですが、台詞が優しくて個性的で印象に残りました。そして今作は第45回岸田國士戯曲賞にノミネートされましたからね。また戯曲を執筆なさらないんでしょうか。
★上記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。