出演:美加理、吉植荘一郎、大高浩一、野原有未、萩原ほたか、寺内亜矢子、本多麻紀、大内米治、片岡佐知子、鈴木陽代、桜内結う、星村美絵子、加藤幸夫、牧野隆二、赤松直美、奥島敦子、大道無門優也、山本智美、池田真紀子、石川正義、本城典子、塩谷典義、高澤理恵
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作:近松半二、竹田和泉、北窓後一、竹本三郎兵衛 台本・演出:宮城聰 照明:大迫浩二 空間:木津潤平 衣裳:高橋佳代 音響:AZTEC(水村良・千田友美恵) ヘアメイク:梶田京子 演出助手:大西彩香 小道具:中里有 舞台スタッフ:司田由幸、山縣昌雄、森山冬子 舞台監督:岩崎健一郎 テクニカルスーパーバイザー:堀内真人 宣伝美術:野口美奈子 WEBデザイン:井上竜介 制作:大石多佳子 前売券:6,000円〜2,500円 一般前売開始:2007年1月13日(土)
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2007年2月19日(月)〜27日(火)/新宿・文化学園体育館/http://www.kunauka.or.jp/
宮城聰さんが台本・演出を手がける「ク・ナウカ」の最新公演。僕はこれで4回目になります。しかし宮城さんが(財)静岡県舞台芸術センターの芸術総監督になられるのに伴い、ク・ナウカはこの公演を最後にしばらく休止されることになりました。学生限定プレビュー公演の回に観に行きました。

まず今回の公演会場からして目をひきます。場所は新宿にある文化学園の体育館。学校の使用感が漂う会場に仮設の客席が組まれ、異空間が生まれていました。新宿駅の南口から10分と書いてありましたが、やはり若干遠めですので、時間に余裕を持って行かれることをオススメします。そして今回の目玉がもう一つ。なんと今作の稽古風景や役者さんのインタビューなどを収めたDVDと、役者さん3人による文学作品の朗読CDが公演終了後に無料配布されます。それがビックリするほどの充実度&完成度で、これなら6,000円(割引は2,500円)のチケット代でも納得かも。でもDVDについてはイントロダクションが開けなかったり、多少不具合があったのが残念でした。上演時間は1時間40分弱です。
≪ものがたり−WEB「ク・ナウカ」より引用させていただきました−≫
時は平安後期、陸奥国安達原(あだちがはら)にぽつんと立つあばら家では、老女岩手(いわて)が糸を縒っている。道行く旅人は岩手の灯籠の明かりに誘われ、一夜の宿と引き換えに持ち金と命を奪われる。岩手の目的は、源義家(みなもとのよしいえ)に追討を受け命を落とした夫安倍頼時(あべのよりとき)の無念を晴らし、息子である貞任・宗任を中心に一族を盛り立てることだった。その為に天皇の弟環の宮(たまきのみや)の乳母匣の内侍(くしげのないし)と内通し、幼い宮を誘拐し、奥州にこそ内裏ありと奉らんとしたのだが、環の宮は声の出ぬ病を患っていて皇位にはつけない。病を治すには生まれる前の胎児の血を飲ませるより他に無いと信じた岩手は、身重の女の訪れをひたすらに待つ。 一方、都での権謀に巻き込まれ義家の軍を追放になった志賀崎生駒之助(しがさきいこまのすけ)は、環の宮を探して陸奥国までやってくる。幼い頃に生き別れた母親を探したいと、旅に連れ添う妻の恋絹(こいぎぬ)の腹には子が宿っていた…。
都心に位置する体育館で今、力強い息吹を感じることが出来ます。ピーンとした緊張感が張り詰める中じっと舞台を見つめていれば、あっと驚くユニークな仕掛けが現れたり、ビビッと体をつらぬくような場面に出会えたり。ク・ナウカ独特の美意識を感じながら、最後まで集中しながら拝見することが出来ました。壮絶でスケールの大きい物語も非常に興味深かったですし、演出もとても面白かったと思います。僕が今まで見たク・ナウカの作品の中では一番好きでしたね(といってもこれで4回目ですが)。とうぶんこの座組では作品を観れないようなので、この機会をぜひお見逃しなく!!
ただ台詞が古典的で非常に難解だったために、終盤の展開がまったく分からなくなりました。これはお芝居を楽しむ上でかなり致命的で、とても残念!!なので観劇前にストーリーなどを、頭にいれておかれると良いと思います。当日配布のパンフレットに詳しい説明文が掲載されていました。ちなみにオープニングは語り部による面白可笑しい物語の解説から始まるのですが、こういうふうに劇中でも現代語で分かりやすい説明がたびたびあればきっと助かっただろう、と感じました。
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歌舞伎や文楽などで知られている近松半二の「奥州安達原」。今回はそんな中の第四弾「ひとつ家の段」を取り上げられ、ク・ナウカならでわの様式美で演劇化されました。まず役者さんは台詞だけを喋る「語り手=スピーカー」と、喋らず動きだけに徹する「動き手=ムーバー」に分かれます。そしてスピーカーとムーバーの役者さん2人で、1役を演じるというのがク・ナウカの独特の手法です。そしてこれもお馴染となっていて魅力的な、役者さんによるアフリカやアジアの打楽器の生演奏。これにより音楽と一体になりつつ物語が進行していき、今作でも力強いリズムを刻んでいます。
客席や舞台をグルッと取り囲むように、白いロープが縦に所狭しと張り巡らされていました。そのロープが青や赤の照明で、ライトアップされるのが非常に美しい。客席配置は一般の劇場と同じプロセニアム形式で、舞台は人の身長ほどもある高さです。前方の席は少々観づらいかも。全体的に白と黒を貴重としたスタイリッシュで、シンプルなようだけど重厚的な舞台美術(木津潤平)でした。まるで文化学園の体育館が一つのオブジェになっている気がしますね。空間全体としては抽象的なのですが、衣装をはじめとする小道具は、和の要素をふんだんに取り入れた凝ったものでした。
印象に残った演出はたくさんありました。オープニングでは大きな幕に影絵を写して物語の説明をしたり、盗まれた宝剣が地球を模した風船によって表されていたのも面白かったです。ユーモアももちろん盛り込まれていましたが、シビアで緊張感が張り詰めるシーンも多く、目が離せませんでしたね。特に老女岩手が恋絹を殺害するシーンは圧巻の一言でしたし、ラストシーンの力強く明るい盛り上がりも胸に強く残っています。物語は壮大かつ壮絶なもので、非常に興味深かったです。上演中は台詞の難解で分からなかったものの、上演後にその深さや解釈に驚きを覚えました。
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