「まつもと市民芸術館『ヒステリア−あるいは、ある強迫神経症の分析の断片−』」
出演:串田和美、荻野目慶子、あさひ7オユキ、白井晃 地方公演:2007年3月上旬長野公演
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作:テリー・ジョンソン 翻訳:小宮山智津子 演出・上演台本:白井晃 美術:松井るみ 照明:齋藤茂男 音響:市来邦比古 衣装:太田雅公 ヘアメイク:宮内宏明 演出助手:豊田めぐみ 技術監督:眞野純 宣伝美術:近藤一弥 制作:笛田園子、榎本晴美 松本市民芸術館芸術監督:串田和美 プロデューサー:蔭山陽太 全席指定 一般前売:5,000円〜2,500円(割引あり)
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07年2月13日(火)〜3月3日(土)/シアタートラム/http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
イギリスの劇作家であるテリー・ジョンソンが執筆した「ヒステリア」を、小宮山智津子さんが翻訳され、白井晃さんが台本・演出を手がけられました。世田谷パブリックシアターとまつもと市民芸術館の共同製作で、個性派俳優4人が出演される作品です。僕はTSSSを利用して2500円で観劇。

≪あらすじ−公演パンフレットより引用させていただきました−≫
1938年、ロンドン。雨の夜。フロイトが書斎で身体を休めていると、突然窓を叩く音がする。外を見ると、女が立っている。彼女の名前はジェシカ。「フロイト教授、私はあなたのアニマです。」口蓋に癌を患っているフロイトは、主治医ヤフダの診療を受けている。二人は長年の友人同士だが、ヤフダはフロイトの最後の著作になるであろう『モーゼと一神教』の出版に強く反対する。そこへ突然、変な髭のスペイン人ダリがやって来る。ダリは信奉するフロイトに自分の絵「ナルシスの変貌」を見てもらいたいと頼む。さらに、帰ったはずのジェシカがトイレから現れて かつてフロイトが診療したヒステリー患者の分析を再現するよう迫る・・・・・・。
実在したオーストリアの精神分析学者である、ジークムント・フロイト(1856年〜1939年)を主人公にすえた作品でした。1983年にフロイトのもとへ画家のサルバドール・ダリが訪れた、という二人の出会いに着想を得て描かれています。ジャンルではコメディに分類されるとのこと。確かに笑いはちらほらと挿入されていましたね。でもあまり今作の脚本については良い評判を聞かずに観に行ってしまったので、予想していたよりは面白かったかな・・・という少しばかり悲しい感想に。深層心理を描いているようでなかなか興味深かったのですが、このテーマはよく描かれていたりする普遍的な題材ですよね。こういうありがちな題材なら今作ならでわの特色や、もっとテーマを掘り下げてもらわないと魅力を感じることは出来ません。4人の役者さんはそれぞれ個性的かつ魅力的だったのですが、僕は演技に若干違和感を感じてしまいました。なんだかバラバラに分散しているというか、言葉が浮いていて心に入ってこないというか・・・。最後までその感覚が拭えませんでした。
ここまで感想を書いてみると「面白くなかったの?」と突っ込まれそうですが、結果的に僕は最後まで面白く拝見することが出来たんです。それはどうしてかと言いますと、演出と舞台美術が素晴らしかったからにほかなりません。恐るべし白井晃&松井るみコンビ!!この美術と演出を味わうだけでも、劇場に足を運ぶ価値は絶対にあると思います。誰でもきっと度肝を抜かれるような仕掛けが待ち構えていて、その瞬間僕は心の中で“ひえー!!”と雄たけびを上げつつも、必死に舞台を食い入るように見つめ続けました。ぜひライブで劇場で自分の目で、確かめて欲しいと思います。ホントにトラムでものすごいことが起こってますから。ちなみにパンフレットが安くて面白そうだったので購入しました。500円です。表紙やデザインが素敵で、内容もインタビューなどが充実でした。
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シアタートラムは通常200席ほどの小劇場なのですが、今回はそんな劇場を更に小さい形で使用していました。1列につき12席ほどの中央ブロックの客席のみを使用し、なおかつパネルで仕切ってあるので、天井だけが高く横幅がとても狭くなっている空間です。舞台となるのは天井高くまでしっかりと造り込まれた、年期を感じさせるフロイトの書斎。正面には庭に続く大きな窓があって、机や椅子にソファ、そして壁には額に入ったたくさんの絵・・・。ひとつひとつにこだわりが感じられて、とても心地良い質感だったと思います。照明を加わって、より完成度の高い空間が生まれました。
そして特筆すべき仕掛けは、終盤に差し掛かってから姿を現しました。フロイトの精神に変化が生まれてきた瞬間、いきなり舞台がシーソーのように上下に揺れ始めたのです。そこに映像(栗山聡之)が加わって部屋が歪んでいるように見えたり、いつしか汽車やナチスやアウシュビッツ、ダリの「柔らかい時計」のイメージなど・・・。どんどんと精神に異常をきたしたような、フロイトが見た悪夢のような世界が実体化・視覚化されていきます。ほかにもドアがゴムのように伸びたりする細工が施してあったり、どれもこれも芸がホントに細かい!どうして舞台上でこんなことが出来てしまうんだろう・・・と思ったのですが、これはもしかしたら舞台でしか体感又は実現できない仕掛けですよね。
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