「KOKAMI@network『僕たちの好きだった革命』」
出演:中村雅俊、片瀬那奈、塩谷瞬、森田彩華、GAKU−MC、大高洋夫、長野里美、陰山泰、菅原大吉、田鍋謙一郎、澤田育子(拙者ムニエル)、武藤晃子(TEAM 発砲・B・ZIN)、今村裕次郎(らくだ工務店)、藤榮史哉、柳橋朋典、幸田恵里、田実陽子、渡辺淳、木村悟
---------------------------------------------
企画・原案:堤幸彦 企画・原作・脚本・演出:鴻上尚史 S席:¥7,500 ジーンズシート:¥4,000(全席指定・税込) ※未就学児の入場不可 ※3月7日(水)14:00のみ、S席¥6,500
---------------------------------------------
2007年2月28日(水)〜3月11日(日)/シアターアプル/http://www.thirdstage.com/
KOKAMI@networkの第9回公演「僕たちの好きだった革命」を観て来ました。堤幸彦さんが企画・原案をされ、企画・原作・脚本・演出を鴻上尚史さんが手がけれられた作品です。中村雅俊さんを主演とする、豪華キャストでの上演でした。僕はジーンズシート(4,000円)で鑑賞しました。

≪あらすじ−WEB「サードステージ」より引用させていただきました−≫
激動の1969年、高校2年生だった山崎義孝(中村雅俊)は、校庭で自分たちの自由な文化祭の開催を宣言していた。ところが、突然機動隊の催涙弾を受けて意識を失い、長い眠りに陥ってしまった。30年もの長い年月を経た1999年、彼は目を覚ました。そして、高校2年への再入学を決意したのだった。そこで出会ったのは、小野未来(片瀬那奈)や日比野篤志(塩谷瞬)、高島希(森田彩華)といった現代を生きる高校生たちだった。彼らは文化祭に憧れのラッパー(GAKU−MC)をゲストに迎えたいと願っていたが、学校側はそれを禁じていた。なんとか呼びたい・・・そんな思いをこらえてしまうみんなの気持ちを見つめる山崎。やがて・・・。
休憩ありの2時間45分弱という長時間でも飽きることはありませんでしたが、僕は残念ながらあまり惹きこまれずじまいで終演まで至ってしまいました。学生運動が物語の軸になっているせいかもしれませんが、心に響いたり共感したりするところが極めて少なかったです。それに全体的に役者さん同士のコミュニケーションが成立していないというか、作品自体の完成度もそれほど高くない気がしてしまい・・・。観終わった後には漠然と「何を伝えたかったんだろう・・・」と考えたんですが、鴻上さんによる「ごあいさつ」を読んでなんとなく考えが分かった気がします。・・・というふうに僕は結果的に残念な感想になってしまったものの、いろんな人の感想を聞く限りでは概ね好評な作品です。僕の拝見した回はカーテンコールが何回も行われて、強い強い拍手が巻き起こっていました。
もともと今作は映画化するために堤幸彦さんが、考案をされたシナリオのようです。場所も場面もどんどん変化して展開していく構成ですし、このまま映画化しても問題ないような印象をうける、映像的な脚本な気がしました。そしてわざとリアリティなどを追求することはせずに、「演劇」だということを前面に押し出した演出だったと思いました。これは個人的な感覚ですが作風が全体的にステレオタイプな気がしてしまって、それも僕が感情移入し辛かった原因のひとつかもしれませんね。
劇場に入場してまず初めに目に飛び込んでくるのは、シアターアプルの黒壁が露出した状態の、ほぼ素舞台に近い広々とした開放的な空間。舞台上に吊り下がった何枚ものカーテンを巧みに利用しながら、テンポよくスムーズに場面が行き着く暇なく進行していきます。暗転を行わずに転換をするのは面白いし効果的で、長時間でも飽きなかった理由はここにあるのかもしれません。そして開演前から役者さんがロビーや舞台に現れたり、よく蜷川作品や串田作品で行われる演出が垣間見れました。この作品を存分に満喫したいならば、少し早めに劇場に出向くことをオススメします。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
生徒たちが楽しみにしていた文化祭は、教師たちによって中止という最悪の結末に至ります。しかし山崎たちが指揮を執って、自主的に文化祭を強行していきました。そして迎えた当日はたくさんの生徒が集まりますが、そこへついに機動隊が乗り込んできました。山崎が体験した30年前と同じ状況です。そして山崎は空砲が頭に当たって亡くなってしまう、という悲劇的な結末を迎えました。でも最後に小野は「私の心の中は変わった。きっと皆の心も・・・」と言い、日比野の独白によって彼女はNPOに参加してパレスチナへ行ったことが明かされます(台詞は正確ではありません)。
明らかに「これは演劇です。」と主張する、物語の枠を超えた演出が満載でした。たとえば「このお芝居はいろんな場所にとんでいきます」、「このお芝居では1人の役者が複数の役を演じたりします」、「この物語は私が書いたものだから、私がナレーションするわ!」など(台詞は正確ではありません)。これは観客に対してフレンドリーに行っていることなのか、それとも物語に感情移入させないためなのか・・・。どっちにしろ僕は少し過剰すぎる気がしてしまい、好きな演出ではありませんでした。この演出がたとえなかったとしても、十分に物語や世界が成立していたと思うからです。
30年前は「不良の音楽」と呼ばれていた「ビートルズ」。しかし現在の教科書に楽曲が掲載されていることに気づき、山崎が衝撃をうける・・・というがエピソード印象的でした。あとは小野の母親(長野里美)が学生運動のせいで大切な人を失い、それがトラウマになってしまっている・・・というくだりも強く記憶しています。個人的に嬉しかったのは中村雅俊さんと、GAKU−MCさんによる生歌が聴けたことでした。GAKU−MCさんは実際に活動中の歌手で、この作品には文化祭に参加するラッパー役で出演しています。中村さんが岡林信康の「私たちの望むものは」を、ギターの弾き語りで歌うシーンは感動しました。GAKU−MCさんの楽曲は、どれも力強くて楽しかったです。
★上記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。