「【稽古場プレビュー】劇団桃唄309新作公演『トレインホッパーズ』」
出演:吉原清司、森宮なつめ、嶋村太一、バビィ、吉田晩秋、山口柚香、佐藤達、貝塚建、國津篤志、北村耕治、伊坂亮(東京コメディストアジェイ)、服部健太郎(タテヨコ企画)、奥野磨記
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舞台監督:井上善幸(F.F企画) 照明:伊藤馨 照明協力:有限会社アイズ 音響:萩田勝巳 音楽:工藤ケンジ(第七インターチェンジ) 宣伝美術:イシカワユカリ 制作:SPIRAL MOON(落合由人) 企画・製作:ウィンドミル・オフィス 劇団桃唄309 一般前売・予約:3,000円 一般当日:3,400円 学生前売・予約・当日:2,000円 小中高生前売・予約・当日:1,000円
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2007年3月14日(水)〜3月18日(日)/中野ザ・ポケット/http://www.momouta.org/
長谷基弘さんが作・演出を手がけていらっしゃる劇団「桃唄309」。今月14日(水)に中野ザ・ポケットで行われる新作公演の初日を前にして、東京都狛江市にある某スタジオで稽古が行われていました。そんな通し稽古の模様を公開するという企画、「稽古場プレビュー」にお邪魔してきました。
今回上演されるのは『トレインホッパーズ』というタイトルの作品。長谷さんによる新作書き下ろし戯曲を自ら演出され、中野にあるザ・ポケットで5日間8ステージの公演です。稽古が行われていたスタジオはポケットの舞台よりも狭い様子で、簡易な装置が組まれているだけでした。僕が演劇公演の稽古場を拝見するのは数えるほどしかありませんが、やっぱり1つの作品が立ち上がっていく瞬間を目撃するのは興奮します。ほぼ何もない空間で役者さんの演技だけによって、その場の情景などが浮かんでくるのは感動しました。これに本番では美術や照明や音響が入って・・・、と思うとワクワクと期待がこみ上げてきます。僕が拝見した日は途中で1回だけ休憩を含めましたが、ほぼ本番通りの通し稽古を観せて頂けました。桃唄作品も初見だったので、興味深く拝見しました。

≪あらすじ−WEB「桃唄309」より引用させていただきました−≫
「旅人たちに言い伝えられる7人のトレインホッパーズ。先住民の秘儀に立ち会い「不死身」となった者たち。その一人の死から始まる、果てしない疾走。」トレインホッピングとは、走行中の電車に飛び移りつつ旅行すること。その行為をする者を「トレインホッパー」という。これは、かつてトレインホッパーだった者、今もトレインホッピングを続ける者、やがてトレインホッパーとなる者、トレインホッピングとは無関係な者たちが数世代に渡って織りなす、冒険と挫折、抵抗と弾圧、栄光と死の物語。
列車に飛び移って旅行をしていくトレインホッパーたちの人間模様を軸に、現代社会などの問題点などがぼんやりと、でもやがて鮮明に浮かび上がってきます。一見してみると難しそうで硬派な内容に見えるものの、ちゃんと桃唄流のエンターテイメントとして成立しているんですね。舞台美術はポケットを何もない素舞台に近い形で使用するようで、どうやら照明なども抽象的なイメージになるようです。抽象的な舞台空間でリアリティある演技が行われ、シーンが徐々に立ち上っていきます。いわゆる静かな会話劇のような雰囲気で、派手な装飾や仕掛けはほとんどない印象をうけました。でもそれが逆に物語の心髄を際立てている気がします。まだ稽古中なため上演時間は確定していないようですが、今日の様子だときっと休憩なしの2時間弱ぐらいには収まる気がしました。ぜひ皆さんもトレインホッパーたちの旅の行方を、劇場で確かめてみてはいかがでしょうか・・・?

この作品の特徴の1つとして、物語の時系列をバラバラに配置していました。ですので複雑な構成になっていて、観客も集中力が必要だと思います。でも時系列がバラバラに展開するからこそ、浮かび上がってくるものが確かにあるはずです。僕は非常にそこに惹かれました。きっと観客に対して分かりやすくしようという意識はない気がして、観客自身の想像力に任せて感じたいように感じ、思い思いに解釈すればいいと思います。それに例えるならばパズルのピースがはまっていくように、徐々に全体像が浮かび上がってくいく構成は、むしろワクワクドキドキと興奮しました。でもちゃんとこの作品の物語や意味を理解しているのか、と問われてしまうと言葉に詰まってしまう気がします。それでも何かしら断片的にでも心に残るものがあるとすれば、それだけでも良いのではないかと思います。
桃唄309の特徴のようですが、とにかくシーン数が多いです。そんな数多くのシーンを暗転を用いることなく、今作では大きな黒旗を利用して次々と展開していきます。そして例えば独白があったり、回想的な要素があったり、語り手が登場してきたり・・・。いろんなアプローチで観客へと迫ってくるため、退屈することがほぼありませんでした。ただ作品の重要なポイントである転換などは、まだ洗練の余地があるというか、小さい稽古場だったせいかドタバタと感じてしまったのは残念でした。このドタバタしていたという感覚が、本番では疾走感という感覚へ変化することを期待します。