「東京国際芸術祭/リージョナルシアター・シリーズ創作・育成プログラム部門『浮力』」
出演:猪熊恒和、下総源太朗、多門勝(THE SHAMPOO HAT)、足立信彦、稲毛礼子
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作・演出:北川徹 アドバイザー:宮城聰 照明:齋藤茂男 音響:相川晶 美術:加藤ちか 舞台監督:大川裕 衣装:竹内陽子 演出助手:柳原暁子 制作:飯田亜弓(ぷれいす) 一般:3,500円 学生:2,000円(当日要学生証提示) 豊島区民割引:2,500円 東京国際芸術祭参加
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2007年3月8日(木)〜11日(日)/にしすがも創造舎特設劇場/http://tif.anj.or.jp/
現在東京都内で開催中の「東京国際芸術祭2007」の関連企画、『リージョナルシアターシリーズ』の一環公演です。今年度からは「リーディング公演部門」と、「創作・育成プログラム部門」の二部門制になった同企画。僕は「創作育成プログラム部門」の上演作品『浮力』を拝見してきました。

今回のプログラムの作・演出に抜擢されたのは、札幌で活躍されてる劇作家・演出家・俳優の北川徹さん。当初はパントマイムを学んでから演劇の世界に入ったそうで、「日本演出者協会若手演出家コンクール審査員特別賞」を受賞されたこともある方です。今作を創作するために北川さんは札幌と東京を行き来し、準備期間は1年間にも及ぶとのこと。そしてアドバイザーという重要な役割で、ク・ナウカの宮城聰さんが参加されています。キャストもスタッフもとても豪華なメンバーが揃っていますし、企画自体も素敵だと思ったので観に行きました。ちなみに学生は2,000円。
≪作品紹介−WEB「東京国際芸術祭」より引用させていただきました−≫
足元にひたひたと水流れるように。ゆるむ地面に立つ男。めりこむ私。沈む人。まるで厄年くりかえし。力籠めれど耐えられず。足踏ん張れど抜け出せず。不可抗力が足首つかむ。今、欲しいのは浮く力。浮き沈み生きる人々の声。バブル平成これから5年。定期の切れそうなスリルの中で漂う男たちの記録簿。父。男。彼。彼女。俳優たちは役割を変え、幾つもの人物の声を編み込みながら、舞台は進む。女の姿も往き過ぎて、言葉は音楽のように人々を巡る。愛の力と馬鹿力。足しても割れない負の力。全部まとめてこの舞台。
舞台は近未来の日本。南極の氷が解けてしまったせいで、海面がどんどん上昇してしまっている。そのためたくさんの島ができてしまい、交通は空路が基本となりつつあった。陸での限界を感じた日本は宇宙開発を進め、「宇宙公務員」という制度を導入することを決定。そしてその公務員の面接会場となるのが、このにしすがも創造舎の体育館という設定です。・・・というように、一応軸となるストーリーは存在していました。しかし5人の役者さんたちの役は固定されておらず、さまざまな人物に変化したりしながら舞台は進行します。全体的には「面接官の質問に答える」という形式が取られるものの、良い意味で自由奔放な作品な気がしました。こういう作品にはなかなか出会えていなかったので、最後まで集中して興味深く拝見しました。上演時間は1時間50分弱でした。
ある一定の設定を設けているものの、すごく自由に突飛に空間や役者さんが変貌します。観劇中は「なぜそんなことを言うの?」、「この場面の意味はいったい・・!?」などといろんな思いが頭を錯綜したものの、これは理解する前にまず感じることが大切だと思います。わからなくても良い、面白いと思えれば良い!というスタンスで僕は楽しく拝見できました。そしてこの「にしすがも創造舎」で上演するために書かれ、役者さんに対しては宛書に近い形の戯曲のようです。ですから空間と役者さんがすごく作品にフィットしていて、不思議なリアリティのようなものを感じました。でもやはり役者さんやスタッフにとっては、手強い作品ではないでしょうか。これを実際に体現できる役者さんやスタッフはなかなかいないのでは・・・?と思ってしまいます。今回の上演ではこの戯曲を申し分なく体現できる方々が揃って、絶妙のチームワークで高いクオリティの作品を観せてもらえました。
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案内文で北川さんは「演劇のどのカテゴリーにも収まりきれない舞台をつくる。そう決めました。」と仰っています。まさにこの言葉が実体化された作品でした。北川徹さんだから作ることができるような、とてもオリジナリティ溢れる独特の作風です。ですから人によって好みはきっと分かれる可能性はあるでしょうね。でも全体のクオリティも高いと思いましたし、なかなか出会えない作品だったので観て良かったです。次回の「創作育成プログラム部門」では、いったいどんな作家さんを取り上げられるのかが気になりますね。ちなみに北川さんと宮城さんの「ポスト・パフォーマンス・トーク」がある回に観に行きましたが、トーク自体も非常に充実していて、最後まで興味深く拝聴できました。
廃校を稽古場や劇場として使用している「にしすがも創造舎」。今回は体育館を特設会場にしての上演したが、まず場内に入場してみてビックリ仰天!にしすがも創造舎が大変身していました。良い意味でじめじめとしていて、どこか冷たくて薄暗いような空間。客席外もしっかりとセットが立て込まれていて、観客は舞台の上を通って客席へと入場します。客席の形式はいわゆる一般の劇場と同じ、プロセニアム形式を採用していました。舞台には大きな段差があったりしますが、ほぼガランとした開放的な空間です。そこに学校で使用するような机とイスのセットが5つあり、そしてそこに様々な小道具が持ち込まれました。そして舞台を取り囲むセット(壁)は比較的低くなっていて、舞台上部は創造舎の体育館の様子が露出しています。ですから抽象的な空間に具象も混ざり、面白いミクスチャーな世界が出来ていました。この舞台美術は加藤ちかさんが手がけられています。
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