「青年団リンク・東京デスロック『東京デスロックのアトリエ公演≪unlock#1≫』」
出演:松田弘子、熊谷祐子、村井まどか、佐藤誠、佐山和泉 アフタートーク:3月3日・7日あり
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作・演出:多田淳之介 舞台美術:鈴木健介 宣伝美術:多田淳之介 翻訳:松田弘子 総合プロデューサー:平田オリザ inspired by 『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス 一般予約開始:2007年2月1日 日時指定・整理番号付自由席 予約:2,000円 当日:2,500円
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2007年3月2日(金)〜11日(日)/アトリエ春風舎/http://specters.net/deathlock/
多田淳之介さんが作・演出を手がけている、「東京デスロック」の新作公演です。今回から青年団リンクとしての活動を始められたり、精力的に活躍されていらっしゃるようですね。僕が多田さんの演出作品を拝見するのは、これで確か2回目だと思います。なんとか千秋楽に観に行けました。

今回は東京デスロックによるアトリエ春風舎でのアトリエ公演で、なおかつ「unlock」という新しいシリーズの第一弾だそうです。今まで行われた東京デスロックの公演とは、また一味違った作品のようですね。これまでは「死」を象徴する絶望的なものを描いたようですが、今作では「死」が根底にある人生の希望を捉えているとのこと。「青年団が新しい表現を求めて実験を試みる工房」であるアトリエ春風舎で、稽古を一般向けに全日公開されたりしながら初日まで至り、どんなアトリエ公演が観れるのか楽しみに劇場へ向かいました。そして実際に観劇した結果は・・・。
チラシや案内文などに“inspired by 『アルジャーノンに花束を』”と書いてあるように、ダニエル・キイスの同名小説をモチーフにした作品に仕上がっていました。どうやら人間の「知」に着眼した内容だったようです。脈略がないように思えるさまざまな断片の、集合体によって形作られた作品でした。いわゆる短編集のような気がします。一つ一つの断片をピックアップしてみれば理解可能なのですが、全体を通してみると非常に実験的というか、すべてが予想外に進行していくというか・・・。前日ににしすがも創造舎で拝見した「浮力」でも感じた、「わからなくても良い、面白いと思えれば良い!」というスタンスが、ピッタリと当てはまる気がしました。好みは人によってかなりハッキリと分かれそうですが、僕はとても好きでクセになるような作風で、最後まで非常に面白く拝見できました。それにこの内容で前売:2,000円というのは、お値打ち価格な気がします。
アトリエ春風舎はビルの地下にある小空間で、黒壁が取り囲む長方形のスペースです。今回の公演では長方形の空間を横長く使い、客席が3方向から舞台を取り囲む形でした。舞台上にはギター、アップルコンピューター、電子機器のパーツ、ケーブル・・・。さまざまなものが雑然と展示、又は配置されています。そして照明や音響のブースまでが舞台エリアに設置されており、それらはすべて役者さん自身が操作していました。さて、劇場内に入場すると既に役者さんたちが舞台上にいて、「いらっしゃいませ」と観客を出迎えてくれています。この時点で従来の「演劇」の枠を超えているように感じたのですが、ここでの感覚は観劇が終了した時点では更に強まることになりました。
ダニエル・キイス著 / 小尾 芙佐訳
早川書房 (1999.10)
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★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
5人の役者さんはスーツのようないでたちで、白または黒か紺色の衣装を着用されています。多田さんが舞台に雑然と置いてあった様々なパーツを身につけて、手作りしたようなロボットに変身するところから、この舞台は始まりました。多田さんは終始そのロボット姿で舞台を端から眺めます。良い意味で自由奔放かつ開放されている感じなど、以前TPTで観たルネ・ポレシュさんの作品を思い出しました。そうこうしている間に開始された舞台では、ボールをキャッチボールする女性2人、パソコンショップでの出来事を日本語版と英語版を2本立てで、さまざまな意味をもつ1つの言葉・・・。自分たちの周りにある「知」という存在を、客観的かつ観照的に提示されたような気がします。
「ISP」という1つの言葉には、さまざまな意味があるんですね。インターネットサービスプロバイダ、池袋ショッピングパーク、池袋サファリパーク、いしかわサイエンスパーク・・・。同音異義語のさまざまな世界を、面白可笑しく見せて頂けました。パソコンショップでのコントのようなシーンなど、笑いが思った以上にいっぱいありましたね。舞台も終盤に差し掛かってきたころ、電動ドライバーを役者さんが手に取り、ベニヤ板のパネルを組み立て始めました。そうして出来上がったパネルは壁に立てかけられ、映像を写すスクリーンに変貌します。そこにはネット上の知識が集結したような存在である、「ウィキペディア(百科事典)」で「ISP」を検索した結果が映し出されたり、池袋や小竹向原で撮られた映像や良い意味で過剰な説明字幕・・・。すごい実験的というか、大胆な仕掛けでした。
それから舞台で繰り広げられたのは、今話題のテレビゲーム『Wii』。大きなスクリーンいっぱいに映し出される画面を見ながら、役者さんが実際にプレイされていました。ゲーム内容はボクシング。一生懸命に必死にやっている姿が、逆に場内の笑いを誘っていました。僕はまだWiiをプレイしたことはないのですが、すごく体感してみたくなりましたね。そして最後は大音量のテクノ音楽にのりながら、役者さんたちがダンス&ボクシングの動きをします。動きはとてもとても激しくて、汗だくになりながら必死に踊る役者さん・・・。そうこうしている間に終演した今作品は、1時間30分弱ほどだったと思います。いろんなことを思考することが出来て、充実した作品に出会えたと感じました。
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