「新国立劇場オペラ研修所『オペラ≪アルバート・ヘリング≫』」
【出演】エレン・ファン・ハーレン(賛助出演)、小林紗季子(第9期生)、田島千愛(第8期生)、青山貴(第4期生・賛助出演)、河野知久(第7期生)、森雅史(第8期生)、近藤圭(第9期生)、中川正崇(第8期生)、マーサ・ブレディン(賛助出演)、増田弥生(第4期生・賛助出演)、山口清子(第9期生)、鷲尾麻衣(第7期生)、前嶋のぞみ(第8期生)、新国立劇場演劇研修所2期生の皆さん
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【原作】ギー・ド・モーパッサン(短編小説「ユッソン夫人のばらの樹」)【台本】エリック・クロージャー【作曲】ベンジャミン・ブリテン【指揮・音楽指導】アンドリュー・グリーンウッド【演出・演技指導】デイヴィッド・エドワーズ【ヘッド・コーチ】ブライアン・マスダ【美術・衣裳】コリン・メイズ【管弦楽】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団【チケット】4,000円(全席指定)【ダブルキャスト】11日版観劇
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2007年3月8日(木)〜11日(日)/新国立劇場・中劇場/http://www.nntt.jac.go.jp/
新国立劇場の研修事業の一環である、「新国立劇場オペラ研修所」の研修公演です。今回の演目は、エリック・クロージャー台本/ベンジャミン・ブリテン作曲の「アルバート・ヘリング」。指揮と音楽指導はアンドリュー・グリーンウッドさん、演出と演技指導はデイヴィッド・エドワーズさんでした。

チラシによれば、既に充分な研鑚を積んで将来を有望視させる人材を選抜し、更に磨きをかけるための場が「オペラ研究所」だそうです。「明日のスターを今日観る楽しさ」というキャッチコピーや、研修公演らしからぬカッコ良いチラシにも惹かれました。そして今回の公演ではプロのスタッフとオーケストラ、それに加えて賛助出演としてプロのオペラ歌手まで出演されます。なのに価格は4,000円で、当日学生券なら2,000円!これは観るしかない・・・と意気込んで劇場へ向かいました。
≪ものがたり−WEB「新国立劇場」より引用させて頂き、役者名追加≫
今年も「五月の女王」を選ぶ季節がやってきた。品行方正な若い女性に贈る由緒ある賞なのだが、今回の候補者はいずれも”遊び盛り”のせいか不適格とされ、なかなか決まらない。見送りもやむなしと思われたが、今年は「五月の王」でもいいではないかという意見が出され、朴訥で誠実な八百屋の息子、アルバート・ヘリング(中川正崇)に白羽の矢が当たる。授賞式の当日、演説などしたことのないアルバートはやっとの思いでお礼の言葉を述べる。友人のシド(近藤圭)が悪戯で「五月の王」が使うグラスに酒を入れたため、酔いが回ったアルバートは上機嫌で家に帰ってくる。シドと恋人のナンシー(マーサ・ブレディン)がいちゃついているところを目撃してしまったアルバートは、内気な自分を恥じ、意を決して賞金の金貨を手に夜の町に繰り出す。そのまま翌日の午後になっても戻らなかったため、事故に遭ったのではと皆が心配するなか、ひょっこりとアルバートが現れる。だが、それまでとはどこか様子が違っていた。そして彼が発した言葉は・・・
今回の演目である「アルバート・ヘリング」は、社会風刺などが随所に散りばめられている、ウィットに富んだ面白いお話でした。原作はギー・ド・モーパッサンによる短編小説、「ユッソン夫人のばらの樹」というタイトルの作品だそうです。今作は1947年に書き下ろされたブリテンの3作目にあたるオペラ作品で、12編成の室内楽アンサンブル向けに作曲されました。全体的に明るく軽快なメロディラインが印象的ですが、すごく細やかで惹きつけられるものが確かにあるんですね。賛美歌やワーグナーのパロディなどが含まれていたり、面白く豊かなユーモアが彩りを添えていました。上演時間は20分間の休憩を1回含める2時間50分弱の、全3幕・英語上演・日本語字幕付きでした。そして研修公演と言えども、本格的な上演に仕上がっています。見逃さなくて良かったです。
注目点である研修生の皆さんによる演奏なのですが、僕は全偏を通してほとんど安心して聞くことが出来ました。この作品の登場人物のほとんどは若者ですので、年配役は賛助出演の年相応の方が演じています。ですから役自体が歌手の皆さんとフィットしていて、研修所での公演にはピッタリな作品だと思いました。だから研修生の皆さんが生き生きと演じ歌って下さったので、それだけでもう満足というか、研修公演でやる意義が出ていた気がします。やっぱり歌手(役者)の方が輝いているのが一番ですよね。上手いとか下手とか、技術とか関係なしに。演出は良くも悪くもチープな感じがしたものの、この価格で研修所での公演なら満足です。なのに客席には無数の空席が、とても目立っていました。前日に問い合わせた際はまだ300席も残っていて・・・。研修公演なので仕方ないかもしれませんが、このクオリティを4,000円で見逃すのはもったいない気がします。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
新国立劇場の中劇場に入場すると、幕が上がった舞台が目に入りました。舞台上には緑色の巨大な人工芝が、円を描いていて中央に敷かれています。そんな非常にシンプルな空間にカラフルないでたちの家のセットなどが、出演者の手によって手動で運ばれてきました。そしてこれは後々分かることですが、大きな人工芝は実は回り舞台になっているんです。クルクルと回転することによって、スムーズな場面転換を行っていました。衣装も具象性を持ちながらもカラフル&ポップな仕上がりになっていて、なんとなくですが「シザーハンズ」を連想してしまいました。全体的にチープな印象も無きにしも非ずですが、愛嬌があって可愛いとも感じられる舞台美術(コリン・メイズ)です。
アルバートには母親から常に見張れるような生活にうんざりしていますが、なかなかその生活から脱却できずに苦しんでいます。しかし自分の内気さを恥じたアルバートは夜の街に繰り出し、賞金の一部を酒と女に費やしました。式典のあった日に突如として行方不明となったため、「賞金目当てで誘拐されたのでは・・・?」という憶測が飛び交います。そして彼は死んだのではないかという結論に達して泣き悲しんでいると、ひょっこりとアルバートが帰ってくるのです。そして彼の自我が目覚めた解放的な瞬間、大人は怒りに震え上がり、子供たちはアルバートの行動をたたえる・・・。
そんな特にアルバートが自分の人生を模索するように歌う場面などは、役と同世代の研修生が演じられているので、すごく胸を打たれました。全員が笑顔で迎えるハッピーエンドではないですが、すごく楽しく面白い作品だと思います。なかなか日本では観る機会がない作品のようですが、また是非どこかで拝見してみたいですね。今回の演出面で特に印象に残ったのは、式典の夜の場面でしょうか。色とりどりの照明が当てられる舞台奥のホリゾント幕に、星空が浮かび上がります。アルバートが自転車で夜の街へ向かう場面も、回り舞台を利用して疾走感があって効果的でした。
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