「Bunkamura/キューブ『橋を渡ったら泣け』」
出演:大倉孝二、奥菜恵、八嶋智人、小松和重、鈴木浩介、岩佐真悠子、六角精児、戸田恵子
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作:土田英生 演出:生瀬勝久 美術:島次郎 照明:小川幾雄 音楽:佐野史朗 音響:藤田赤目 衣裳:堀口健一 演出助手:山田美紀 舞台監督:青木義博 宣伝写真:永石勝 宣伝美術:トリプル・オー 一般発売:2007年1月13日(土) 主催:Bunkamura、キューブ S席¥8,500 A席¥7,000 コクーンシート:¥4,000 ステージ数:25日間の公演で全26回ステージ
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2007年3月5日(月)〜29日(木)/シアターコクーン/http://www.bunkamura.co.jp/
京都を拠点に活動している劇団「MONO」の土田英生さんの戯曲『橋を渡ったら泣け』を、俳優の生瀬勝久さんが6年ぶりに演出を手がけられました。キャストもとっても豪華です。僕は当日券で拝見しました。受付開始1時間半前から並んだら列の先頭で、中2階立ち見(3,000円)で観劇。

≪あらすじ−WEB「シアターコクーン」より引用させて頂き、役名追加−≫
明日かもしれない近い未来、日本は未曾有の大災害に襲われた。 生き残った数少ない人間は、瓦礫の中、自分達の力で生きていくことを迫られた──。 大災害から1ヵ月以上が過ぎた。 ここ、信州・乗鞍岳の近くでは、数名でコミュニティをつくり、共同生活を送っている。 人々は、つきとめられない原因を考えるより、現状を受け入れ、とにかく生きていくために冷静になることを選んだのだ。 食品会社の倉庫にあった缶詰と湧き水で命をつなぎ、未来への緩やかな絶望を身につけながらも、人々は意外とのんびり暮らしている。 そこに、ひとりの男(大倉孝二)がやってくる。 パンダの観光船で流れ着いたというその男は、自分達以外にも生きている人間がいたという希望と、閉塞し始めていた集団に新しい風をもたらすのだが──。
友人が「MONOによる初演が素晴らしかった!」と薦めてくれたので、期待を胸にして渋谷・シアターコクーンへと足を運んできました。土田さんの戯曲ということで、MONOのような雰囲気や質感を求めて観てしまったので、残念なことに僕はあんまり・・・。でもシアターコクーンという会場で豪華なキャストを集めての、これは「商業演劇」というジャンルなんですよね。僕は商業演劇が嫌いなわけではないのですが、僕にとってこの戯曲をBunkamuraがセレクションしたことがまず意外でした。今まで観てきたシアターコクーンの演目の中では、比較的地味というか静かというか・・・。もちろん素敵だったり面白いと思ったところはあったんですが、胸を打たれる瞬間には最後まで出会えなかったです。どうやら戯曲は登場人物を増やしたり、改良または加筆がなされたとのことでした。
生瀬さんの演出はオーソドックスに仕上げられた印象を持ちました。でも全体的に惹かれるところは少なかった気がします。例えば「悲しいときには悲しい音楽」「楽しいときは楽しい音楽」というふうに、場面を盛り上げる演出はこの戯曲には合わないと感じたからです。あとは上手な役者さんが揃っているので、どうしても期待を強く持ってしまいました。大倉孝二さんをはじめとする個性的な方が居るはずなのに、全体的に突出しているところが少なかったのが残念です。それにもっとコミュニケーションをとってほしいと思いました。なんだか散漫になっているというか、全体がバラバラというか・・・。いろんな人が集まった小さなコミュニティが舞台なので、これが良い効果を生んでいるのかもしれませんが、僕はやはりどこか引っ掛かった気持ちが拭えないままで終演を迎えました。
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客席に向かって少し舞台が張り出していて、開放的な空間が広がっています。舞台奥にそびえる白壁が舞台を円く取り囲み、壁面には空や雲の絵が描かれていました。舞台の中央には丸いステージがあって、中央には舞台奥のステージとを結ぶ橋がかかっています。そして舞台奥のステージの中央には壊れかけた階段がありました。舞台の全面には白い砂がしかれているので、ここが「砂浜」だということが分かり、ところどころに昔の建物の残骸らしきものが転がっていました。具象と抽象が上手くマッチした、島次郎さんによる舞台美術です。そんな舞台セットに照明(小川幾雄)が加わり、更に音楽(佐野史朗)や音響(藤田赤目)も入って、舞台が造りこまれていました。
最初は一見してみると、仲良さそうに協力し合っているように見えた人々ですが、どんどんと平等を装っていた構造が崩れ始めます。そしてリーダーという存在が生まれ、上下関係や階層構造を強めていきました。人間の目を背けたくなるような悪い部分もいっぱい描かれますが、それと同じぐらい人間の良いところも描かれるのが、土田さんの描かれる戯曲の魅力だと思います。どん底のような気分になっても「人間ってそんな捨てたものじゃないよ!」、という希望をどこかで託してくれるんですよね。今回もいろいろな醜い争いがおこったあとも、皆笑顔で一件落着のハッピーエンド!というわけではないですが、ちゃんと希望のようなものを確かに残してくれていました。外部との接触を絶たれた閉ざされた島、という狭い小さなコミュニティでの何気ない会話から、民主主義や権力などの大きな社会的なテーマが、だんだんと浮び上がるのはやっぱり巧妙だと思ってしまいます。
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