「スロウライダー第9回公演『Adam:ski(アダム・スキー)』」
出演:山中隆次郎、數間優一、日下部そう(ポかリン記憶舎)、夏目慎也(東京デスロック)、渡辺いつか、金子岳憲(ハイバイ)、板倉チヒロ(クロムモリブデン)、村上聡一(中野成樹+フランケンズ)、山口奈緒子(明日図鑑)、竹井亮介(親族代表) 全席指定 一般前売:2,800円 一般当日:3,000円 高校生以下:1,000円 ≪「CoRich舞台芸術祭り!2007」参加作品≫
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作・演出:山中隆次郎 舞台美術:福田暢秀(F.A.T STUDIO) 照明:伊藤孝(ART CORE design) 照明操作:三浦詩織 音響:中村嘉宏(atSound) 音響操作:井川佳代 舞台監督:西廣奏 舞台監督補佐:シロサキユウジ 宣伝美術:土谷朋子(citron Wroks) 宣伝・記録写真:西田航 記録映像:トリックスターフィルム WEB運営:栗栖義臣 制作補佐:坂本明 制作:三好佐智子 企画・製作:有限会社quinada(キナダ) 主催:(財)三鷹市芸術文化振興財団
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2007年3月16日(金)〜25日(日)/三鷹市芸術文化センター/http://www.slowrider.net
山中隆次郎さんが作・演出を手がけられている、注目の劇団『スロウライダー』の最新公演です。「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の参加作品でもある今回は、三鷹市芸術文化センターの星のホールで2週間にわたるロングラン公演。高校生以下が1,000円という低価格なのが嬉しい。

≪あらすじ−本公演のチラシより引用させていただきました−≫
「怪物」といわれた、ある民俗学者が死んだ夏・・・。彼を愛し、集まっていた門弟の男たちは、書きかけの自伝を皆で完成させ、出版する計画を立てる。しかし、「先生」についての証言は、彼らの間で大きく食い違い、かつ、はたして「先生」とは誰だったのか?「先生」にとって自分は誰だったのか?男たちは激しい混乱に陥っていく。座礁する出版計画に、自伝を担当する編集者がさしのべた、ある提案・・・。それによって、彼らは「怪物」を造り出していくのだった・・・。
民俗学や国文学の研究者「折口信夫」をモチーフにした、生々しい感覚で観客まで迫ってくる、密度の高いスロウライダー流のホラーでした。今作では折口を彷彿とさせる学者が亡き後、残された弟子たちが繰り広げる物語です。ホラーといっても例えばグロテスクだったり、スプラッター色が強いわけではありません。じりじりとした静かな会話によって進行し、殺気に溢れた人間の心理が浮かび上がる異色作です。少しずつ、でも大胆に異常をきたしていくかに見える人間たちを、最後までじっくりと観劇ならぬ観察できました。ちなみに今回の作品は2003年にスロウライダーによって、王子小劇場で初演された作品「アダムスキー」の再演です。でも劇場の規模や役者さんの変更もありますし、舞台設定などの大幅に書き換えが行われているとのことでした。
僕にとっては初・スロウライダーだったので、とても興味深く世界観を味わえることが出来ました。そして公演会場となった三鷹芸術文化センターの星のホールが、いつもとは一味も二味も違った空間に仕上がっているのも見所の1つ!ピーンとした緊張感が張り詰めた1時間45分弱の劇中(初日は2時間だったようなので、短縮されたようですね)、静かに淡々と巻き起こる事件の数々を、時に冷静に、時に興奮さえしながら見つめました。少し意図が分からず惹きこまれ辛かった場面もありましたが、またスロウライダーの作品はぜひ拝見したいと思いました。次回は新宿のシアタートップスで公演が予定されているそうで、これからも活動が注目される劇団の1つだと強く感じます。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
今回の公演会場となる『三鷹市芸術文化センター≪星のホール≫』は、通常の劇場と同じプロセニアム形式で250席ほどの小ホールです。そんな一般的なホールと同じ星のホールが、今回の作品ではまったく違う空間に変貌していました。大きく張り出す舞台を2方向から囲むような客席形式で、いつもの星のホールに比べるとかなり狭く、客席数も通常の半分以下な気がしました。ただ天井は通常のホールと同じく高いままなので、狭いのに妙な開放感もあって不思議な印象を持つことが出来ます。物語の舞台となるのは巨大な洋館の、生前に先生が使っていた書斎でした。全体的に具象性を強く持って作り込まれた、どこか不気味かつ居心地の悪い雰囲気が漂う部屋です。この書斎のセットの奥には大きな段差があり、そこは記者が訪れる白崎の部屋という設定でした。
今は亡き学者のことを調べようとして、かつて弟子だった白崎(山中隆次郎)の自宅を訪ねる記者(數間優一)。白崎は同じく学者の弟子だった徳田(夏目慎也)から聞いた話を、淡々とした口調で記者に向かって語り始め、彼がストーリーテラーとなって物語は進行します。彼の話によって徐々に明らかになるのは、その学者の弟子たちは既に命を落としている・・・という事実。白崎にこの話を語った徳田も、既にこの世にはいません。そして物語が進行するにしたがって、なぜ弟子たちが命を落としたのかが描かれてきます。そして弟子たちが異常なほどまでに学者を慕う理由も、徐々に浮かび上がってきました。徳田の幻想世界が展開したり、舞台は深さを極めながら進行します。
彼らが住んでいる洋館には、いつしか蛾が大量に発生し始めます。異常なほどに増加の一歩をたどる蛾について、弟子の1人が「もどきに霊が乗り移った証拠」と言ったので恐怖を感じました。でも蛾の駆除を依頼されてきた業者(村上聡一)が、いくら蛾の発生源を調べても一向に見つかりません。それもそのはず。蛾の発生源は洋館の地下室に放置された、大量の死体だということが明らかになります。今まで突然姿をくらます人が居た理由も、この事件のせいで理由が分かりました。霊や怪奇現象よりも一番恐ろしいのは、人間がしでかしたことなんですね。そして学者に異常なほどの執着をみせていた徳田だけが生き残り、ほかの弟子たちは殺されたり、自ら命をたったりしてこの世を去る結果となりました。充分に会話劇によって心理的な恐怖を味わったものの、記者と白崎の対話によるラストシーンで、新たな恐怖が生まれる瞬間に出会えたのは非常に刺激的でした。このラストシーンのあと速攻で暗転し、カーテンコールも行われず、舞台は終演を迎えました。
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