「ファミリア・プロダクション『囚われの身体たち』」
出演:ジャリラ・バッカール、ファトゥマ・ベンサイデン、ジャメル・マダニ、モエッズ・マラベット、バスマ・エラシ、ロブナ・ムリカ、ワファ・タブビ、リアド・ハムディ、ハジェール・ガルサラウィ、カレド・ブジド、ホスニ・アクラミ 一般:4,000円 学生:2,000円(学生所提示) 豊島区民:3,000円
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原作・脚本・ドラマトゥルク:ジャリラ・バッカール 脚本・演出:ファーデル・ジャイビ 舞台美術・衣装:カイス・ロストン 照明:イワン・ラバース 振付・音楽:ナウェル・スカンドラーニ ≪TIF参加≫
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2007年3月15日(木)〜18日(日)/にしすがも創造舎特設劇場/http://tif.anj.or.jp/
『アラブ演劇の巨匠』と呼ばれている、チュニジア人の演出家で本劇団「ファミリア・プロダクション」の主宰、ファーデル・ジャイビさんの最新作です。今回は東京国際芸術祭2007の『ベケット生誕100年記念フェスティバル』の一環として、チュニジアから劇団で来日されての公演となりました。

≪あらすじ−WEB「東京国際芸術祭」より引用させて頂きました−≫
左翼活動家の両親のもとリベラルな価値観の中に育ったアマル。だが9・11の直後、留学先のフランスで唯一神アッラーを見出し、厳格なイスラーム教徒となる。そして帰国から一年後の2005年11月11日。ルームメイトの若い女教師が、職場の高校の中庭に掲げられていた国旗の下で、自爆テロともとれる謎の自殺を決行する。アマルやその友人たちは、この不可解な自殺事件の重要参考人として国家当局の激しい尋問にさらされる。一方アマルの変貌に戸惑う母マリアムは、かつて夫を拷問した尋問官に再会、喉頭癌を患い今はもうしゃべることもできないアマルの父の壮絶な過去が明らかになる。やがて国家権力による激しい拷問の果てに迎える衝撃の結末とは・・・。
東京国際芸術祭では普段触れることの出来ない各国の劇団が来日し、なおかつ低価格(学生は大体2,000円)で観劇できるので、なるべく足を運びたいと思っています。今回は06年にパリ・オデオン座で世界初演された、ファミリア・プロダクション『囚われの身体たち』の待望の日本公演。物語の舞台となるのは、北アフリカに位置する国「チュニジア」。リベラリズムな考えを持った左翼活動家の両親に育てられ、イスラム教に改宗した娘・アマルが主人公。そして突如としてアマルにふりかかる、国家権力による拷問の嵐・・・。そして徐々に浮かび上がってくるのは、9・11以降のイスラーム教徒の世界で勃発する問題の数々。政治や宗教などが密接にからむテーマを、鋭く深く抉り出す衝撃的な作品でした。密度が高く非常に濃い、2時間20分弱の演劇作品に仕上がっています。同劇団の役者さんによるアラビア語上演で、舞台上部に日本語字幕が映写されました。
こういった問題に対して僕はすごく無知なので、観劇中は首をひねることも少なくありませんでした。でもこういった問題に対して深く鋭く見つめた舞台を観ることにより、何かを感じることができますし、思考するキッカケを作ってくれます。でも僕が最も感動したのは「身体表現」と「言葉」、そして11人の役者さんによるアンサンブルでした。観客を圧倒してやまない、生々しいのに美しい人間の肉体。そして理解することの出来ないアラビア語なのに、強く心に迫ってくる力強い言葉(台詞)たち・・・。こういう作品に今出会えたのは、僕にとって非常に重要なことでした。どちらかといえば重くて暗い雰囲気がたちこめていますし、肉体的にも精神的にも暴力の要素を強く感じましたので、観るほうも演じるほうもハードなお芝居だとは思います。なので「誰にでもオススメできる」という娯楽作品ではないのですが、これを見逃すのは勿体無い!という感覚を強く持ったのも確かです。
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描かれているテーマについては、上手く考えがまとまらないので書くことを控えますが、今回の作品は演劇作品としても鮮明に心に残ります。体育館の面影を強く残すにしすがも創造舎の空間に、プロセニアム形式の客席が建て込まれていました。舞台美術(カイス・ロストン)は舞台中央に巨大な赤いカーペットがひいてあり、そのカーペットを挟むのようにして数脚のイスが置かれています。そして下手の奥のほうにサウンドバックが吊り下げられている、非常にシンプルかつ抽象的な舞台美術でした。そんなほとんど何も置かれていない舞台の上では、照明(イワン・ラバース)や音響だけで場面転換をします。家の一室になったり、バーになったり、拷問室になったり・・・。そこにナウェル・スカンドラーニさんによる音楽と振付も加わり、確かに舞台上には「囚われの身体たち」が存在していました。観ていると胸を強く締め付けられる感覚に陥るのに、ただただ美しく舞う役者さんを見て、思わず涙が出そうになりました。心を揺り動かされる、素晴らしい作品だと思います。
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