「POTALIVE/冬のサミット2006『駒場編vol.1≪museum≫』」
出演:垣内友香里(ダンサー、BennyMoss主宰)、木室陽一(振り付け家・ダンサー、POTALIVE主宰)、笠木真人(俳優)、愛川武博(俳優・演出家、演劇集団「移動する羊」主宰)
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作・演出・案内:岸井大輔(劇作家、POTALIVE主宰) 料金:2,000円 ※こまばアゴラ劇場の演劇祭「冬のサミット」参加作品、この駒場での上演版のほかに小竹向原で『界』という作品も上演。
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07年3月3日(土)〜25日(日)/東京都目黒区「駒場」/http://d.hatena.ne.jp/POTALIVE/
街をお散歩しながら演劇を楽しむ・・・、そんな体験が出来たら素敵だと思いませんか?今回出かけてきた『POTALIVE(ポタライブ)』とは、日本で唯一の「散歩しながら楽しむライブ」を行っているユニット。作・演出・案内人は岸井大輔さんで、今回はアゴラ劇場の「サミット」参加作品でした。

ポタライブの舞台となるのは劇場ではなく「街」。その土地を実際に歩いて、調査をして、ひとつの作品を作るのに100日ほど費やすそうです。そして話を聞いた人は100人にも及ぶとのこと!きっと今回の舞台となった土地でも、例えば僕の住んでいる町だとしても、その土地に対しての想いや歴史などは必ずあるはずです。だから丹念な取材に基づいて作られるポタライブは、いろんな場所で作られる可能性がありますよね。さて、今回のサミットに参加されるにあたり、東京都目黒区の「駒場編」と、東京都練馬区の「小竹向原編」という2つの新作を創作されています。僕は日程的に「駒場編」の追加公演をチョイスしたのですが、どうやらこの2作品はまったく違う作品に仕上がっているとのこと。今年の5月と6月にかけては再追加公演が決定しているので、「小竹向原版」のほうにもぜひ足を運びたいですね。
ポタライブは「お散歩演劇」ということで、原則として10人ほどの参加者(観客)という贅沢さ!当日は14時に井の頭線・駒場東大前駅の、西口(吉祥寺寄り)に集合しました。集合時間の15分前から受付が開始されていて、駅の改札前に居る係りの人が迎えてくれます。参加者の証となるシールを目立つところに張り、パンフレット入りの可愛いオリジナル袋をいただきました。すると案内人の岸井さんが、参加者ひとりひとりに声をかけてきました。「どこからいらっしゃいましたか?」という軽い質問で始まる会話で、今作の説明などを丁寧な口調でしてくれます。「なんだかもう作品が始まっているのかも!?」という僕の勝手なドキドキ感をよそに、10人弱の参加者を引き連れて、岸井さんがガイドを担当しつつ駅を出発しました。僕の参加した日は絶好の良いお散歩日和!

それから始まった今回のポタライブは、「駒場」という土地の深いドラマから始まり、いつしか話題は日本の歴史やかの有名な事件へと及びます。もしもジャンル分けをしてみるならば、「パフォーマンス」に分類される気がしました。でも「お散歩演劇」という魅力的な企画を行う、『ポタライブ』という1つのジャンルが成立している気も強くします。しめて2時間弱はたっぷりと散歩する内容なので、動きやすい格好でのご参加を強くオススメしたいですね。それにたとえ同じ街を舞台にした同じ作品だったとしても、天候や参加者によって大分印象が変わりそうな作品でした。この企画に参加できたこと自体に価値がありましたが、作品自体もとても楽しいものだったと思います。非常に興味深い内容の作品に仕上がっていて、なおかつこれからの可能性を更に感じさせました。今作ではいつも足を延ばしている「駒場」という土地のはずのに、いつもとはまったく違う視点や感じ方をしている自分に出会えます。そしてこの地に纏わる深いドラマを知って、これから駒場の見方が少し変化する気がします。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
ガイドの案内でぞろぞろとお散歩開始。「駒場」という土地についての歴史や豆知識などが語られます。まずは駅から「東京大学」の敷地内へ行き、ある石碑があるのを発見。その石碑は駒場小学校の敷地内あるため、校庭を通って石碑へ。その石碑とは「明治天皇がこの地で軍の演習を見た」という記念の碑。この話から徐々に駒場の土地を軸にしながら、日本の歴史についてへと話題が及びます。次に向かったのは「駒場野公園」。桜が咲いていて美しい。駒場は湧き水がわいている、その水はメダカが飼えるほどキレイ、昔この地は野原だった・・・。そして緑豊かな公園から「筑波大学附属駒場高等学校」に突き当たる大通りにでて、渋谷方面へ足を進めるポタライブ一行。「こまばエミナース」の前を通り過ぎて、「都立芸術高校」の脇道を進んでいきます。このあたりから駒場に縁のある、1人の軍人についての話が始まりました。その足跡をたどるように大きな団地の前を通って、「大橋図書館」前の小さな公園までたどり着きます。いつしかガイドの話はかの有名な、「二・二六事件」に大きく触れていきました。そして狭い路地裏や坂道道を抜け、工事現場などを横目にみつつ、「松見坂」という大きな通りまで足を進めます。そこで今日のポタライブは終了。
さて、ここまで一通りの構成を説明してしまうと、「駒場を散歩しながらその土地の歴史の知るだけ」と思われてしまいそう。でも違うんです。実はこの道中ではいろんなことが勃発していました。普通の参加者だと思っていた人が、実はパフォーマーだったりするので、突如として道端でダンスを踊りだしたりします。そして行く先々で出会う男性2人組のエピソードが展開し、謎の全身白タイツの女性が登場したり・・・。そのうえガイドがいつのまにか役を演じ始めたり、気がつくと素の状態に戻っていたりします。でもポタライブの特徴は観客がとても「自由」だということ。演劇や映画だと客席があって舞台(画面)があるという状況ですが、ポタライブの舞台は本当に「街」なんです。ガイドは別にパフォーマーに接触することなく進行するので、それを観るも観ないも観客の意思や感覚に任されるんですよね。ガイドの岸井さんは参加者たちに対して、目をあわせて喋ったり、質問をしたりします。だから参加者も自然と話に会釈をしたり、質問の回答を言ったりしてしまいました。すごく自然にガイドと参加者の距離が縮まって、濃密なコミュニケーションの場が成立しています。
特に印象に残った瞬間がありました。駒場野公園の入り口に到達したとき、そこには美しく開花した桜の木があったんです。そしてその下にはパフォーマーが3人。その瞬間たまたま強風が吹いたために、パフォーマーにたくさんの桜吹雪が・・・!まさに絵になるような美しい光景に、すごくトキめいたというか、感動したというか。大げさな表現かもしれませんが、こういう奇跡のような瞬間に出会えたのが嬉しかった。きっと違う日に行われた回でも、また異なる魅力的な瞬間に出会えるんでしょうね。あとは参加者の歩くテンポが物語の進行と関係していたり、自由のようですごく計算された作品だということが分かりました。今作でも非常に充実した良い体験が出来たのですが、これから更に飛躍していきそうなスタイルの作品だと思います。今後の活動をぜひ追いかけたいですね。
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