脚本・演出:前川知大 出演:宇井タカシ、森下創、岩本幸子、池上ゆき、浜田信也、盛隆二、國重直也、津村知与支(モダンスイマーズ)、有川マコト(絶対王様)、羽鳥名美子(毛皮族)、瀬川亮
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舞台監督:小野八着(JET STREAM) 舞台美術:土岐研一 照明:松本大介(enjin−light) 音響:鏑木知宏(Sound Gimmick) 衣裳:吉岡麻衣 演出助手:矢本翼子 楽曲提供:303 制作:吉田直美 宣伝美術:高井真 前売:3200円 当日:3500円(全席指定・税込み)
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2007年3月16日(金)〜3月21日(水・祝)/吉祥寺シアター/http://www.ikiume.net/
前川知大さんが作・演出を手がけていらっしゃる劇団、「イキウメ」による新作公演を観て来ました。僕は演劇ぶっくでも少しご紹介させていただいたのですが、今とても注目期待されている劇団のひとつだと思います。今回は吉祥寺シアターに進出されまして、次回は青山円形劇場で公演します。

≪あらすじ−当日配布パンレットより引用させていただきました−≫
結婚を控えた田宮と森内は、森内の弟:鉄彦が運転する車で故郷秋田を目指していた。 鉄彦は唐突に東北自動車道を下り、取り憑かれたように山道を走り出す ・・・・・・やむなく三人は山間に現れた小さな街に宿をとることになったのだが、一夜明けると、どういうわけか三人の関係性は全く違うもになっていた。 田宮はGPSが指す現在地に、街が存在していないことをみる。 警察官の有馬は歌舞伎町に最近増えた風俗店チェーンを調査する為、看板持ちの男について店舗へ向かう。 地下への階段を下りドアを開けると、そこは小雨が降るビルの屋上だった。 屋上の給水タンクから漏れるスス混じりの気体が鼻をついたかと思うと、そのまま彼は意識を失った。 その町では、浮浪者のような男が市長を名乗り、町を守るのは一人の保安官で、そのことを誰もが当たり前と思っている。 そして森内の弟は二年前からこの町に住んでいると主張し、そのことを町の住人も認めるのだった。 誰もが自分の望む物語の中に生きているようなその町で、田宮と有馬は自分が持ち込んだ現実さえ、一つの願望に過ぎないのではないかと思い始める。 二人は徐々に現実感を失いながらも、その原因を探ろうとする・・・。
「イキウメ」は新宿にあるサンモールスタジオという、小劇場を中心に活動してこられていました。なので今回は「吉祥寺シアター」という空間で、キャパシティや規模が格段に上がっての公演でした。しかしそんなことを微動だにさせないような、立派かつ硬派な空間作りをなさっていることに心から感心してしまいます。次回は青山円形劇場での公演ですから、空間演出について「不安」の文字はありませんね。作品の内容自体はいつも以上に複雑さを極めていて、さまざまのシーンの応酬から、全体像が鮮明に浮かび上がる構成だと思いました。なにが「現実」でなにが「非現実」なのか、誰が「正気」で誰が「狂気」なのか・・・。すごく鋭い視点がキラリと光っている内容で、ドキドキとしながら拝見していました。「心を打たれた!」とか「感動した!」という感想ではないのですが、心に良い意味でわだかまりが残るような物語だと感じ、非常に興味深い印象を強く持つ結果になった気がします。上演時間の1時間50分強を、最後までノンストップでテンポ良く魅せていました。
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ユーモアは織り込まれながら進行しますが、基本的に笑いはなし、な緊迫した雰囲気のお芝居でした。今作は架空の設定がされた「日本」での現在が舞台で、現実世界では起こらないような事件が起きたりします。でもそれがだんだんと自分たちの生きる現実世界までも、飲み込んでいってしまうような恐怖感さえも味わうことが出来ます。ありえないことだとは思っていても、観劇中は没頭しているんですよね。それほど巧妙に練られて作られていました。ただ理屈的かつ説明的な場面が多かったように感じて、これはこれで面白い趣向だと思いましたが、個人的には若干気になる箇所もありました。幕切れは前作「プレイヤー」と同じような印象を持ちます。真実をしっかりとは明らかにしないような、良くも悪くもモヤモヤとした感覚が支配しました。もちろん意図的にこういう結末にしていると思いますので、そういう意味では面白いな・・・、と感じることが出来た気がしますね。
比較的に見て天井が高い吉祥寺シアターで、こんな濃密な空間を作れるのはスゴイと思います。吉祥寺シアターの黒壁が露出した状態の空間に、重厚的かつ抽象的な、2階建てに及ぶ舞台美術が建て込まれていました。全体的な色使いは灰色が基調とされていて、すごく良い意味で重々しいです。舞台と客席の間には大きな隙間が開いていて、そこに人が落ちる仕掛けなど、ドキッとさせられました。そして過去公演でも強く感じていたのですが、いつも照明がすごく豪華ですよね。今回は劇場の規模が上がったと共に、照明もグレードアップ!下からも上からも横からも、大胆に照らしあげます。さて、役者さんについてですが、皆さん達者な方が多かった気がします。やはりイキウメ独特の作品世界を体現させてくれる方が、しっかりと揃ったキャスティングだと思いました。
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