脚本・演出:鈴木聡 出演:木村靖司、おかやまはじめ、福本伸一、弘中麻紀、岩橋道子、三鴨絵里子、大草理乙子、俵木藤汰、熊川隆一、宇納佑、岩本淳、中野順一朗 ≪旅公演あり≫
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舞台美術:秋山光洋 照明:佐藤公穂 衣裳:木村猛志(衣匠也) 演出助手:則岡正昭 音響:島猛(ステージオフィス)舞台監督助手:藤林美樹 舞台監督:村岡晋、谷沢拓也 制作:早川晃子 制作協力:Me&Herコーポレーション 企画・製作:ラッパ屋 全席指定 前売・当日:4,500円
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3月24日(土)〜4月1日(日)/紀伊国屋ホール/http://homepage3.nifty.com/rappaya/
鈴木聡さんが作・演出を手がけられている、1983年に旗揚げされた「ラッパ屋」の新作公演。鈴木さんや劇団員の方の外部活動はありましたが、実質的な本公演は「あしたのニュース」以来1年ぶり以上!これは見逃せませんね。ちなみに「パピルス」でオススメさせていただいた公演でした。

≪鈴木聡さんによる作品紹介−公演チラシより引用させていただきました−≫
妻の父親に「君、ゴルフはやらんのかね」と言われたら、夫はいくらゴルフに興味はなくても、「一度やってみたかったんですよ」と付き合わざるを得ない。 また妻の伯母さんに「あんた宝塚いかない?切符あまっちゃったんだけど」と誘われたら、「いいですね、一度観たかったんですよ」と応じるしかない。 はたまた妻の従兄弟に「内緒で金貸してもらえないスか。ちょっと女がらみで」と頼まれたら、「いいよ。男同士だもんな」と財布を開くのが大人の男の振る舞いであろう。 かくして一年後、夫はゴルフに狂い、宝塚にハマり、借金まみれになっている。 「三丁目の角を曲がると旅が始まる」というのは永六輔さんの名言だが、角を曲がらなくても、誰かとちょっと言葉を交わせば「それが旅の入り口」ということもある。 思いもかけない世界が広がるかもしれない。 幸運な旅になるか、トホホな旅になるか、それはわからないけれど。 誰もが一人一人、それぞれの世界を抱えて歩いている。 顔は知っていて挨拶はするけど実は知らないあの人も・・・。 「妻の家族」は、妻の家族という異国を巡る冒険譚である、と言えなくもない。 どちらかというと、トホホなね。 (脚本・演出・「ラッパ屋」主宰:鈴木聡)
どこか東京から距離があるような、郊外にあるような日本家屋。そこは同じ兄弟でも父親が違ったりする、複雑な家庭環境である三田村家の実家。普段は母・治子(声の出演:加藤治子)と、長男の英一郎(宇納佑)が2人暮らししている。そんなある時あることをキッカケに、久しぶりに三田村家の面々が集まった。しかし彼らはなにかしらの重要な事情を抱えていた。そんななか旅行に出かけた英一郎の身に、ある事件が降りかかってしまうのだが・・・。登場してくるダメダメな大人たちを情けないとも感じつつ、愛らしいとも思っている自分に気づきました。強引な展開とけっこう無理を感じる人物設定だと思いましたが、そんなことを払拭してくれるほどの力を持った作品だと感じました。僕は肩を震わせながら爆笑しながらも、中盤からはウルウルと涙腺を刺激されまくり。テンポの良い会話で成立していくコメディ作品と言えますが、さりげなくお洒落な演出が細部に光るのがラッパ屋の醍醐味ですよね。役者さんたちもラッパ屋の世界をちゃんと体現できる、上手で達者な方たちばかりが揃っています。きっと若い方から年配の方まで、幅広い観客層が楽しめそうな娯楽作品でした。たっぷりと笑って泣かされたあとは、優しい余韻が心にじわっと広がっていきます。休憩なしの2時間20分弱は少し長めだと思いますが、飽きずにちゃんと楽しませてもらうことができました。
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劇場内に入って舞台を観た瞬間、「観に来て良かった!」と思いました。秋山光洋さんが手がけられた、かなり具象的に作られた日本家屋の舞台美術です。紀伊国屋ホールの比較的高い天井を利用して、ちゃんと2階建てまで建て込まれています。ずっしりと昔の面影を残す古い大きな建物で、日本庭園があったり結構豪華なお宅。細部にいたるまで生活感溢れるつくりになっていて、古く時を重ねてきたような質感がたまりません。照明(佐藤公穂)や選曲も作品を効果的に彩っていて、スタッフワークもやはり抜群だったと思いました。常に夏が舞台なので蝉の泣き声だったり、風鈴の音などが聞こえています。こういうリアリティのある演出趣向だと、誤魔化しが利かなくなりますよね。でも今回の作品では粗がほとんどない完成度の高い仕上がりで、しっかりと惹きこまれながら拝見することが出来ました。でも残念ながら僕の拝見した回については、よく台詞を噛んでしまう役者さんがいましたね。本調子じゃなかったようですが、全体的には安心して観劇できました。
前述しましたように、登場してくるのはダメダメな大人ばかり。事業に失敗、スロットにハマる、占い師に騙された、ホストクラブで豪遊・・・。三田村家に集うほとんどの人々が、お金に困りきっています。そしてあろうことか、この家を売ろうという話を英一郎に持ちかけました。しかし英一郎は断固として反対して、自転車旅行に出かけます。しかし彼は雷に打たれて死んでしまい、舞台はお通夜の場面へと移り変わりました。そこで三田村家の人々による、次々と浮かび上がる驚愕の真相。そしていろんな激動の展開を経た後は、実は英一郎は生きていたというビックリなラストでした。いわゆるハッピーエンドという、華々しくも優しい終幕です。上手くことが運びすぎに感じる展開や、色々詰め込みすぎな設定など・・・。普段なら感情移入できなくて気になってしまうようなところも、率直に受け入れている自分が存在していました。やはり「ラッパ屋」は見逃せないと思います。
人間は可笑しくて可愛くて弱い存在だと思いました。そして母・治子がお通夜のスピーチのせきで、「人間は幸せになれないんじゃないか」というような発言をします。でもだからといって絶望しなくても良いですよね。自分の幸せは自分で見つけるものだと思うし、幸せになれないなりに生きていければ良い気がしました。さて、演出はいつもながらお洒落だな、と思います。ドタバタの喜劇が「大人のエンターテイメント」として成立しているんですよね。オープニングが強烈でした。舞台が開演して1分経ったか経たないうちに、四女(岩橋道子)が誤って池に飛び込んでしまう、という驚愕の展開!客席は笑いの渦に呑み込まれて、すごくリラックスムードになりました。作品世界への上手い導入の仕方だと思います。しかしそのあとも、よく池に人が落ちる展開が・・・。僕はけっこう軽い心持で拝見しにいったのですが、結局最後にはじんわりと深い余韻が心を支配してくれました。
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