出演:川根有子、中村哲人、山口晶由、たかくら未奈、高橋大二郎、安藤純、小林香織(ワンダー・プロ)、田仲晶、上海菜都子、滝上裕二、河合伸之、大田正裕、染谷恵子、加藤善丈、宮下千恵、小林広実(有限会社J−beans)、水橋千佳子、ほか ≪偽りの二重まぶたが、いま蘇る≫
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作・演出:竹重洋平 美術:佐藤朋有子 照明:尾池義弘(ライブネットワーク) 音響:宮崎裕之(ステージハットリザウルス) 宣伝美術:村上律子 Web製作:小笠原元太 大道具:夢工房 小道具:高津映画装飾 舞台監督:山田和彦 舞台写真:横山由美子 企画・制作:弾丸MAMAER事務局、片岡永子(制作部)、アキラグローバルビジョン(株) 前売:3,500円、当日:3,800円
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07年3月28日(水)〜4月1日(日)/シアターサンモール/http://dangan-mamaer.gogo.tc/
竹重洋平さんが作・演出を手がけている、劇団「弾丸MAMAER」の最新公演です。今作は2004年の暮れに恵比寿・エコー劇場で上演された、「駅婦人」を竹重さん自らリメイクされての、新バージョンでの公演でした。ちなみに僕は今回の公演で、同劇団を拝見するのは11回目になります。

≪あらすじ−WEB「弾丸MAMAER」より引用させて戴き、役名追加しました−≫
殺人容疑で全国指名手配をかけられた、1人の女。速水節子(川根有子)、事件当時32歳、身長163センチ、骨太。男から男へ、日本中を渡り歩き、逃亡生活5465日。広島のとある終着駅のそばにある、さびれた小さなスナックを舞台に、執拗に追い続けた刑事が最期に見た、女の抱く光と影とは・・・ 2004年、弾丸上演作品『駅婦人』を、底なしの完全リメイク!美容整形逃亡犯がほくそ笑む、無常の悲喜劇!偽りの二重まぶたが、いま蘇る― 夫を殺して15年、逃げて逃げて逃げまくり、顔をごっそり整形し、偽名をいくつも使い分け、推理小説読みまくり、勘を頼りに逃げまくり、上目使いとモーションで、男をしこたま虜にし、嘘をつきつき逃げまどい、この終着駅で降りました。あぁ心から、ごめんなさい。たぶんもうすぐ、捕まります。恥ずかしいけど、計画通りです。
まず「駅婦人」とはほとんど別物の作品に仕上がっていて、また弾丸MAMAERの新しい作品が劇場に生まれていました。まず、いろいろなエピソードが雑然と混在していた初演を踏まえ、登場人物2人に焦点を絞ったことが効果覿面だったと思います。主要登場人物のバックボーンや人物描写がしっかり描かれ、そのせいで作品自体に深みが増したと同時に、物語への説得力が生まれていました。劇中では胸が締め付けられるような思いに苦しめられますが、最後の最後には希望と受け取れるような、一筋の光が現れてすっかり感動していました。でもまだ洗練の余地や可能性はきっとあると思うので、もっと全体的かつ総合的な完成度が上がることを期待したいです。そして今回の公演は前売:3,500円、当日:3,800円という料金設定です。最近この料金以下で触れた小劇場演劇が、あまりにも質が高かったように思いました。だから弾丸MAMAERに対して求めるものが高くなってしまうのは、やはり必然的な気がしてしまいます。ちなみに上演時間は2時間弱。
幅広い観客層が親しむことが出来るような、分かりやすい物語と演出だったと思いました。例えば「悲しいときには悲しい音楽」「楽しいときは楽しい音楽」というように、場面を盛り上げたりする照明や音楽の演出効果が多々観られました。でもこういった演出は、かなりリスクが高いと思うのです。もし役者さんの演技がこの演出効果に相当していなければ、作品自体の印象が逆効果になってしまう気がするからです。今作ではバッチリ上手く作用している場面と、そうでない場面の差が激しいかったと感じました。まだ観ぬ新しさに走る演劇をよく見かけるなか、こういったスタイルを真正面から仕掛けるのは、逆に新鮮とさえ感じますよね。でも僕は良くも悪くも全体的に、ステレオタイプな感覚が拭えませんでした。笑いや涙がつまった「シチュエーションコメディ」というジャンルは、テレビでも映画でも演劇でも、さまざま分野で溢れている気がします。だから何かしら『弾丸MAMAER』の特色を求めてしまうんですが、個人的に今回の作品では、見つけられなかった気がしました。
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初演では指名手配されている速水節子(川根有子)を中心にしながらも、障害を持つ売店の売り子(たかくら未奈)、速水を迎えに来た弟、男を待ち続ける料理屋の女将のエピソードなど・・・。たくさん登場人物にそれぞれドラマを持たせていました。しかし今回は速水と、彼女が勤めることになったスナックのママ・宮部あさみ(小林香織)の2人を中心に、物語の軸をちゃんと絞っていたのが、やはり効果的に作用していたと思います。舞台美術(佐藤朋有子)も初演では「駅の待合室」だったのを対照的に、今回のリメイク版では、駅前に佇むスナックを中心としたセットに変化していました。シアターサンモールでの公演が3度目ともなると、やはり中規模な空間の使い方が硬派ですね。具象的な美術をしっかり建て込んだ結果、空間を埋めることに成功しています。さて今作では、速水を調べる刑事(高橋大二郎)と宮部が、彼女について回想する形式で進行していきます。回想と現実が交互に展開しますが、場面転換は照明や音響を駆使して工夫されていました。演出面では特に速水と母の面影が重なる箇所など、演出の狙いが巧妙で魅せられた場面の1つです。
速水の生い立ちや宮部の境遇などが初演よりもしっかり描かれ、やはり物語自体に説得力が更に生まれていたのが効果的でした。コミカルな笑いなども交えながらも展開していきますが、人間ドラマに重点をおいていたのが良かったです。速水は夫を殺害した罪で心に深い影を落とし、また、宮部も嫉妬にかられて速水を警察に通報したことを、今もなお深く後悔しているという設定でした。罪は違っても罪悪感や影を背負った、2人の姿が重なり合うのが非常に効果的。そしてどん底で同じような境遇におかれている宮部と刑事に、ささやかだけど確かに希望に光が差すような、暖かい眼差しが光るエンディングが印象的です。そして今作は総勢で22人という、比較的大人数の役者さんが出演されていました。でも全体的な演技力にバラつきがあったように感じましたし、それだけの大人数を登場させるような、物語上の必然性があまりないと思いました。もっと濃密な人間ドラマに仕上げたほうが良い気がします。いつも弾丸MAMAERの作品は登場人物が多いと思いますので、もう少し出演者をを減らした作品も観てみたい!という希望も心の隅に懐いているのでした。
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