「流山児★事務所『THE RETURN−リターン−』」
【作】レグ・クリッブ【翻訳】佐和田敬司【演出】流山児祥【出演】千葉哲也、大路恵美、阿川竜一、北村魚、塩野谷正幸 ≪『ドラマチック・オーストラリア2006−2007』参加演劇作品≫
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【音楽】ヤヌー・アリエンドラ&本田実 【振付】北村真実【美術】塩野谷正幸【照明】ROMI【音響】藤田赤目【舞台監督】吉木均【演出助手】畝部七歩、坂井香奈美【舞台監督助手】北山佳奈【宣伝写真】アライテツヤ【宣伝美術】Flyer−ya【制作】米山恭子【主催】流山児★事務所【協力】オーストラリア外務貿易省、オーストラリア大使館、アンクルベイビー、橋本真知事務所、フレンドスリー 【チケット】前売:4,000円/当日:4,500円/学生割引:2,500円(全席自由・日時指定)
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2007年3月20日(日)〜31日(土)/ Space早稲田/ http://www.ryuzanji.com
オーストラリアの劇作家であるレグ・クリッブさんの最新戯曲を、流山児★事務所が豪華キャスト5人を起用して日本初演を果たしました。アデレード・フリンジのグランプリ作品でもあり、現地では映画化されて大ヒットしているようです。少人数で濃密な観劇体験を期待して、千秋楽に滑り込み!

≪あらすじ−WEB「流山児★事務所」より引用させて頂きましたー≫
フリーマントル行きの最終電車が出発した。劇はその車両の中でサスペンスフルに進行する。登場人物は5人。ある傷害事件で半年の服役を終えた男と、刑務所で知り合った友人が帰郷するために乗っている。女子学生が乗ってくる、法律を勉強中。途中の駅で主婦と作家も乗ってくる。偶然?!乗り合わせた5人の間で繰り広げられる1時間半のノンストップでスリリングな衝撃の 音楽劇。ラスト思いもよらぬ急展開で、「5人のミステリーの謎」が解き明かされる。オーストラリアの新鋭劇作家、レグ・クリッブの最新戯曲 アデレード・フリンジのグランプリ作品。現在、オーストラリアにて映画化 大ヒット公開中の話題作を豪華実力派キャストによる“日本初演”。
今回の公演会場となるのは、流山児★事務所の本拠地である『スペース早稲田』。早稲田駅から徒歩1分という立地のよさが魅力的な、ビルの地下にある小さなフリースペースです。「1公演60席限定」という設定が、小空間での上演を確かに物語っていますよね。さて、今回の作品は「最終電車の車内」という、ワンシチュエーションで進行していきます。鉄パイプを組み合わせたトラスの柱が建て込まれて、抽象的かつ無機質に感じる電車内を作り出していました。シンプルだけどカッコ良いセットに仕上がっていて、狭い舞台を縦横無尽に走り回る役者さんは圧倒的。舞台と客席がコミュニケーションをとるような一体感を感じましたが、それはやはり、客席が舞台を挟み込む対面式客席だったせいでしょうか。きっと違う方向から観劇すると、また違った味わいが生まれそうですね。やはり本公演では「リピーター割引」を実施中。僕は普段客席がある方向から観劇しました。
実のところ上演が開始された直後は、取っ付き難い印象が強かったです。登場人物は常にテンションが高いままでして、とても感情の起伏が激しい感じというか・・・。ということで今作と僕は相性が良くないのかな、と少なからず思っていたのですが、中盤にかけてからはサスペンスドラマの本領発揮!!ラストの30分ぐらいは手に汗握る展開の連続だったので、特に千葉哲也さんと塩野谷正幸さんの演技バトルを堪能しました。ドキドキと胸が高鳴って静かに興奮する感情を覚えつつ、観客はさながら事件の目撃者になったような気分です。迫真の演技の応酬を小空間でしっかり味わえたので、それだけでも観に来た価値はあったと思いました。上演時間が1時間30分弱だったのも素晴らしいですね。最後まで荒々しい疾走感に溢れたステージングになっており、小劇場演劇の醍醐味さえも感じることが出来た気がしました。なので観劇前の予想以上に、見応えのある演劇作品でしたね。こういう小劇場で濃密なお芝居が観れるのは、きっと幸せなことだと思いました。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
偶然同じ電車に乗り合わせたと思っていた5人の男女、でもその関係が偶然から必然に変わる瞬間が見所です。無口だった作家(塩野谷正幸)が4人の会話の一部始終を、メモに書き取っていたことが分かったあたりから、どんどん物語の世界へ惹き込まれました。そしてまったくの他人同士だと思っていた作家と、女学生・リサ(大路恵美)は恋人同士だったことが発覚。怒り狂うスティーブ(千葉哲也)とトレブ(阿川竜一)が作家を問い詰めると、彼はスティーブに向かって拳銃を向けました。そこからスティーブが以前起こした傷害事件の謎が浮かび、なぜ作家が彼を追っていたかが発覚していくのです。ポンポンと飛び交うテンポの良い会話を中心としながらも、次々と二転三転していくスリリングな内容のお芝居でした。このあたりから舞台に仕込まれた青い蛍光灯が光を放ったり、登場人物に対してシンプルながらも効果的な演出が観られます。内容はスリリングだといってもシンプルな舞台での会話劇なので、こういう場面を象徴するような演出効果は良かったです。
最後は終着駅であるフリーマントルまで電車が到着したため、5人の乗客たちがそれぞれ電車を立ち去っていきました。しかし車内で起こった事件の一部始終を見つめ続け、夫から逃げてきたモーリーン(北村魚)がただ1人出口の前で立ち止まる。そして電車は折り返し運転を開始していき、文字通り彼女は「リターン」する結果になります。絶望的な生活に嫌気がさして逃げてきたはずなのに、なぜ彼女はこういう結果を選択してしまったのか・・・。濃密で非常に深い余韻を残しながら、徐々に暗転していく舞台に惹かれました。でもただ単に楽しめる「サスペンスドラマ」というだけでなく、今作の舞台となるオーストラリアでの格差問題などの、社会情勢も描かれているんでしょうね。僕は無知なのでそこのところはよく理解できませんでしたが、知っていれば更にこの作品を楽しめるような気もしました。それに流山児さんの演出は、こういうタイプのお芝居にピッタリですね。僕は序盤のダンスシーンなどに必然性をあまり感じなかったものの、全体的にはクールかつシンプルで荒々しい雰囲気のなか進行し、細部ではトリックのように光る演出効果などに魅せられる結果に。
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