作・演出:田村孝裕(ONEOR8) 出演:岡本麗、中村方隆、古屋治男、朝倉伸二、平野圭、冨田直美、保倉大朔、久下恵美、栗田かおり、三田村周三 ≪サンモールスタジオ提携公演≫
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美術:香坂奈奈 照明:和田典夫(満平舎) 音響:小沢高史 舞台監督:西山竜一 宣伝美術:由比まゆみ(egg design) 制作:上田郁子(オフィス・ムベ) 協力:(株)テイクワン・オフィス、(有)今井事務所、(有)ニュース、株式会社オフィスPSC、(株)リマックス、ONEOR8、劇団スーパー・エキセントリック・シアター、uncle jam、椎名町オフィス、小川直之、植吉、青山すみえ、みらい館大明制作:オフィス・ムベ 前売:3,500円/当日:3,800円(全席指定) 13日間16ステージ
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06年3月26日(月)〜4月6日(金)/サンモールスタジオ/http://www.mitamuragumi.com/
俳優の三田村周三さんが主宰されている、「三田村組」の最新公演を観て来ました。毎回若手演劇人とタッグを組んで、意欲的に公演されていますよね。僕は初見でした。今回は三田村さんと岡本麗さんが夫婦役を演じられて、ONEOR8の田村孝裕さんが作・演出を手がけられる公演です。

年月を重ねてきたのを感じさせる、昔ながらの日本家屋にあるお茶の間。バイク店を営む父(三田村周三)の元へ、久々に集まってくる家族たち。母(岡本麗)は病に臥せっていたが、今日は病院から一時帰宅の日だったのだ。しかし子供たちの間には確執があったり、長女が結婚相手をつれて来たことで波紋がおき、そして母は自分の余命が少ないことを自覚していて・・・。あくまでもウェルメイドタッチで、笑いと涙を交えながら展開します。普遍的に感じられるある一般家庭を舞台に、丁寧に鮮やかに描いていく秀作に仕上がっていました。目新しさや突出した箇所はほとんどない気がします。でも、とても良く出来た作品だと思いました。達者な戯曲・演出・俳優・スタッフワークが揃ってしまえば、そんなことを払拭してくれる!ということを再実感した気がします。しかもこういう良質なお芝居がサンモールスタジオという、密度の高い小劇場で観れるということは贅沢ではないでしょうか。まさにギュウギュウ詰めの超満員な客席からは、笑い声と鼻を啜る音がこだましていました。ちなみに上演時間は2時間弱。
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かなり具象的に細部まで作り込まれた、「お茶の間」の舞台美術(香坂奈奈)。効果音(小沢高史)や照明(和田典夫)もあわさって、舞台を越えて客席まで生活感が伝わってきました。母が病院から一時帰宅してきた日と、母が亡くなった後の様子を交互に場面転換しながら、ワンシチュエーションで展開していきます。激しい感情表現などもありますが、それに対してドキドキしながらも、すごく安心して観ている自分がいました。やはり上手な役者さんが揃っていたんでしょうね。全体的には軽快に些細な日常会話で紡がれる内容のお芝居ですが、そこにたくさんの笑いを絡めていくのが巧妙でした。笑いといってもすごくほんわかしていて、優しい質感のものばかりだったように思います。でもそれと同時にすごく胸が締め付けられる気持ちにもなりました。例えば母が病院から処方されているらしい薬を飲む場面などは、死が近づいていることを覚る母と子供達の距離感が絶妙。
一度だけ場所が変わる場面がありました。それは母が入院している病室。そこへ訪ねてくる父。夫婦役の三田村周三さんと岡本麗さんによる、この病室での対話場面が非常に良かったんです。「愛している」とか「好き」とかっていう直接的な言葉は無いんだけど、2人の心は確かにつながっていて、愛情が溢れていることが伝わってきました。ここでこの作品が「ラブストーリー」であると確信した気がします。熟年離婚などが騒がれるこのご時勢で、熟年夫婦のラブストーリーって素敵だと思いました。きっと広い観客層が楽しむことが出来そうな、ウェルメイドなお芝居です。ホントにギュウギュウ詰めで苦しい思いをしながらの観劇でしたが、悩んだあげく観に行ってみて正解だったようでした。田村さんの作品は過去数作品しか観ていませんが、今までで一番心に迫ってきた作品のような気がします。ONEOR8での公演のほか、夏には椿組の野外劇を手がけられるとのこと。
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