「G−up Presents vol.5『アリスの愛はどこにある』」
【脚本】ほさかよう【演出】板垣恭一【出演】楠見薫、新谷真弓(NYLON100℃)、高木稟、小林健一(動物電気)、桑原裕子(KAKUTA)、森岡弘一郎(無名塾)、辰巳智秋(ブラジル)、瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)、多根周作(ハイリンド)、中谷千絵(天然工房)、桜子、小宮山実花、田中あつこ(バジリコ・F・バジオ)、櫻井麻樹(横浜未来演劇人シアター)、熊野善啓(チャリT企画)、山村秀勝、竹岡常吉(PMC野郎)、矢田一路、弓削智久【全席指定】前売・当日:4,500円
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【舞台美術】松本わかこ【音響効果】末谷あずさ(OFFICEmyon)【音響オペレート】天野高志(OFFICEmyon)【照明】正村さなみ(RISE)【舞台監督】金安凌平【衣裳】名村多美子【衣裳協力】渡辺まり【音楽】佐藤こうじ(SugarSound)【小道具協力】櫻井徹【演出助手】井村容子【演出部】田村友佳(KAKUTA)【宣伝美術】岩根ナイル(mixed)【チラシ写真】Tomo.Yun【撮影】田中亜紀【制作助手】松井見依子、田辺恵瑠【プロデューサー】赤沼かがみ【企画製作】G−up
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07年4月4日(水)〜8日(日)/新宿FACE(歌舞伎町・コマ劇場前)/http://www.g-up.info/
G−upによるプロデュース公演の第5弾となる今回は、ほさかようさん&板垣恭一さんのコンビによるプロダクション。ほさかさんは空想組曲というユニットを主宰されていて、板垣さんはサードステージやパルコ劇場でお馴染みの方ですよね。非常に豪華なキャスティングで期待が膨らみます。

今日が誕生日のアリス(新谷真弓)は、お祝いのパーティーに恋人(弓削智久)が来れなくて怒っている。そんななかやって来た彼女の姉(桑原裕子)は、恋人から託されたプレゼントを持ってきていたのだ。そしてその託されたプレゼントの中身とは、童話作家の彼がアリスのために描いた絵本。しかしご都合主義のハッピーエンドが大嫌いなアリス。その絵本を床に叩きつけて、しまいには蹴ってしまう有様。するとそこに現れたのは・・・。今作のタイトル「アリスの愛はどこにある」からも察すれるように、ルイス・キャロルの名作童話『不思議の国のアリス』を下敷きにした、全く新しいダーク・ファンタジーに仕上がっていました。そう、ただのファンタジーじゃないんです。ダークなんです。起承転結がちゃんとあってダイレクトに伝わる台詞が多く、まさに絵本の世界に迷い込んだような展開が特徴的でした。しかし中盤のある時を境にして、いよいよほさかさんの本領発揮。今までメルヘンチックに構築されていた世界が、ガラガラと音を立てるように崩れ始める瞬間があるのです。今回の作品でもその要素は然り。でもただダークな展開が強調されるのではなくて、それに相当するようなハッピーな要素も盛り込まれるのも魅力の一つです。
ただ演出は全体的に良くも悪くもチープな印象を持ってしまい、やはりまだ洗練の余地があるような気がしてなりませんでした。でもこのような感想を持ってしまったのは、初日観劇が大きく関係している気がします。思いっきりメルヘンなファンタジーの世界なので、もっと役者さんたちが観客を惹き込んでいくような、そんなパワーを期待してしまいます。まだ皆さん本領発揮されていない気が。でも達者な方揃いのキャスティングなので、きっと回を重ねるごとに進化するでしょうね。そして非常に気になったのが上演時間でしょうか。休憩なしの2時間15分弱でした。中盤からの展開は疾走感があって良かったですが、その展開に行き着くまでがやや長い気がします。もう少し全体的な内容を凝縮したほうが、効果的に作用すると思いました。ちなみに今作はほさかさん主宰の「劇団こってり」(活動休止中)で、2004年に萬スタジオで公演された作品が原型になっています。僕はてっきり再演だと思っていたのですが、変更が加えられ別物に仕上がっているとのことでした。
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先月の『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に続いて、新宿歌舞伎町のど真ん中にある「新宿FACE」へ。元々はライブハウスだった会場なのですが、今ではプロレスや演劇公演などを行う、イベントスペースになっています。先月は一般的な劇場と同じ「プロセニアム形式」だったのを対照的に、今回は会場の中央に大きなステージがあり、それを南側・西側・北側の三方向から囲む形式でした。舞台は頭上から見下ろすと少し歪んだ形になっていて、メルヘンチックな絵柄が描かれています。まるでサーカスの舞台みたいに、ファンシーな印象を持ちました。可動することができる三つの丸い台などを利用した抽象舞台で、どんどんと場面転換が次から次へと行われていく構成です。そんな舞台美術(松本わかこ)を初めとして、衣装(名村多美子)や照明(正村さなみ)もカラフルな色使いが印象的でした。ファンタジーでメルヘンな世界を、更に演出するものが揃っています。
アリスは突如現れたウサギ(高木稟)に連れられ、絵本の世界へ入り込んでしまいます。行き着いたのは性格の悪い女王(楠見薫)が支配する世界。恋愛禁止などの規制を設け、すぐに裁判にかけたり、罰金を徴収したりしている。しかしアリスがプレイボーイのハメルン(弓削智久)に恋をするように、さまざまな登場人物による、さまざまな愛の形が展開していきます。でもここはアリスの恋人が描いた絵本の世界。アリスが大嫌いに思っている、ご都合主義なハッピーエンドの世界とは違います。物事が上手く運んで幸せな結末が訪れると思いきや、どんどんと悲劇的な結末へと突進していく展開は圧巻。ただただ人が死んだり不幸になるだけではなく、ちゃんとそれまでに伏線が敷かれるのが巧妙でした。最後はアリスが現実の世界に戻って、上手くハッピーエンドにまとめられて終幕します。とても面白い筋書きだと思いましたが、まだ洗練の余地はあると感じました。
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