キャスト:恒松敦巳、田渕正博、木下藤次郎、宮本翔太、鳥越勇作、井上カオリ、長嶺安奈、李峰仙、和泉歩、岡村多加江、亀田佳明(文学座)、堀本能礼、橘ユキコ、外波山文明、ほか
---------------------------------------------
脚本:鄭義信 演出:松本祐子 照明:沖野隆一(RYU CONNECTION) 美術:加藤ちか 音響:青蔭佳代(音スタ) 挿入歌:上々颱風 舞台監督:桑原淳 演出助手:浜野まどか 舞台協力:林栄次、林春野 衣裳協力:ASAMI、東京衣装 宣伝美術:黒田征太郎、長友啓典、上浦智宏、中村健+K2 協力事務所:文学座、(有)今井事務所、(有)エンパシィ、(有)ブリリアント、(有)ギルドB、(株)彩工社、吉祥寺スペースBe、高津映画装飾 受付協力:Habanera、神野和美 企画制作:椿組 プロデューサー:外波山文明 前売:3.500円 当日:3.800円(自由席)
---------------------------------------------
3月28日(水)〜4月1日(日)/「劇」小劇場/http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/
「脚本:鄭義信さん&演出:松本祐子さん」という、必見の価値に値するであろうコンビの最新公演です。今作は椿組で何度も改良をして上演を重ねている人気作で、千秋楽に観に行ったせいか会場内は大混雑していました。良い評判をたくさん耳にしていたので、確かめてきたのですが・・・。

≪ものがたり−WEB「椿組」より引用させて頂き、役名を追加いたしました−≫
ここは、とある南の島。のどかな平和の島にも軍靴の響きが近づき、いつ戦場と化してもおかしくない状況となって来た。が、ここ安田理髪店では4姉妹(李峰仙、岡村多加江、井上カオリ、長嶺安奈)とその家族(外波山文明、橘ユキコ、鳥越勇作、ほか)が穏やかに暮らしていた・・・。そして・・・事件が。戦火近づく厳しい状況下でも、愛おしみ、支え合って必死になって生きて行こうとする、これは家族の物語り。
「劇」小劇場に入場すると超満員の客席と、素晴らしく作り込まれた舞台美術と対面しました。南の島にある安田理髪店の内部とその周辺の模様を、非常に具象的に表現しているワンシチュエーションな舞台です。舞台から南国のむしむしとした夏の暑さが伝わってくるようで、歳月を重ねてきたような味わいのある空間に仕上がっていました。そんな理髪店を舞台に昔の出来事を回想する形式で、徐々に物語の世界へと惹きこまれていくのです。回想という形式を採用はしているものの、ほぼ時系列順に進行していく構成ですし、奇をてらった演出や脚本ではありません。戦争を真っ向から描くのではなくて、戦争に翻弄されるある一家を描きます。どんなに悲惨で残酷な戦闘場面を見せるより、この作品では胸が強く締め付けられました。悲しいのに愛おしくて、切ないのに可笑しくて・・・。笑いも適度に散りばめながらテンポよく進行し、随所で涙がボロボロ流れて焦ってしまいました。それほど胸を打たれたということでしょうか。改良を重ねても色あせることのない、素晴らしさを持った作品だと思いますので、ぜひまたの上演を期待して待ちたいと思います。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
平凡につつがなく暮らしている、安田理髪店の家族たち。しかし戦争の足音は少しずつ聞こえ始めていた。理髪店に現れる軍人達と家族との交流を、暖かく優しい眼差しで丁寧に描いています。しかし平和だった安田家にも、さまざまな事件が次々に勃発していきました。四姉妹は恋愛や人間関係でさまざまなトラブルを持っていて、また四女に至ってはテロリストだということが明らかになります。戦争が平凡な一般家庭に落とす影を浮かび上がらせながらも、しっかりと普遍的な人間ドラマとして仕上げられていました。印象に残った場面などはたくさんありますが、なかでも特にラブシーンが素晴らしかったです。まず、教師の夏子(井上カオリ)と見知らぬ軍人(亀田佳明)の場面。命の危機を感じて理髪店に逃げてきた軍人が夏子に縋り、「生きている」ということを確認した暁は、最終的に濃厚なキスシーンへと発展します。もう胸が苦しくて、愛おしくて、でも人間の可笑しさを感じて・・・目頭が熱くなりました。そして対照的に非常にプラトニックなものだったのは、冬子(李峰仙)と軍人(恒松敦巳)の場面でしょうか。冬子が軍人の足を洗いながらの静かな対話・・・。でも2人の気持ちは確かに繋がっている、ということが明確に観客に伝わっていたと思いました。
★上記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。