「青年団国際演劇交流プロジェクト2007『日仏合同公演≪別れの唄≫』」
作:平田オリザ 演出:ロラン・グットマン 出演:山内健司、角舘玲奈、太田宏、アドリアン・コシュティエ、ブルーノ・フォルジェ、アニー・メルシエ、イヴ・ピニョー、カトリーヌ・ヴィナティエ ≪ツアー:ティヨンヴィル、ブザンソン、ストラスブール、東京、パリ≫ 全席指定:3,500円〜1,500円
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舞台監督:熊谷祐子 舞台美術:播間愛子 装置:鈴木健介 照明:ジル・ジャントネー 西本彩 音響:マダム・ミニアチュール 薮公美子 衣裳:アクセル・アウスト カミーユ・ポナジェ 字幕操作:岩城保 通訳:原真理子 浅井宏美 宣伝美術:京 宣伝写真:山本尚明 制作:西山葉子 ヴァンサン・アドゥリュス 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 提携:世田谷パブリックシアター 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共同制作:ティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センター 助成:国際交流基金 後援:東京日仏学院
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2007年4月5日(木)〜8日(日)/三軒茶屋・シアタートラム/http://www.seinendan.org/
平田オリザさん率いる日本のカンパニーである「青年団」と、フランスのティヨンヴィル国立演劇センターによる合作でした。平田オリザさんが新作を執筆され、それを演出家ロラン・グットマンさんが演出し、フランス人と日本人の両方が舞台に立ちます。フランス語上演・日本語字幕付きでした。

≪あらすじ・作品紹介−WEB「青年団」より引用させて頂きました−≫
「同じ悲しみを悲しんでいるはずなのに、なぜ、私たちは分かり合えないのだろう」 「同じ悲しみを悲しんでいるはずなのに、なぜ私たちの悲しみ方は、こんなに違うのだろう」 国際結婚をして、長く日本に暮らしていたフランス人の妻が亡くなった。フランスから葬儀に駆けつけた妻の家族たち。日本の葬式の様々なしきたりを懸命に説明しようとする日本人の夫と妹。文化の違いに戸惑いながら、やがて愛する者の死を受け入れていく二つの家族。―――――フランス語上演/日本語字幕付き。
フランスのティヨンヴィル、ブザンソン、ストラスブールなどの国内で巡演し、今回は待望とされていた日本公演というわけでした。そしてこの公演の終了後には、パリでも5月に上演が予定されています。国際的なプロジェクトというだけで意義や価値がありますが、そんな壮大な企画に相当するであろう、とても素晴らしい作品でした。僕は終演後のカーテンコールで力強く拍手をして、でもしばらくは席に座って舞台を眺めてしまいました。なんだか呆然としてしまったんですよね。心に胸に強く迫ってくるものが確かにあったため、強い余韻が体いっぱいに広がっていくようでした。上演中の会場内で爆笑の嵐が巻き起こる中、僕も楽しみながら笑いを堪えきれずにいるのに、いつのまにか涙がボロボロと流れてホントに焦ったんです。これは必見中の必見に匹敵すると確信しました。日本の三軒茶屋に位置するシアタートラムで、1時間30分弱の上演中、本当の国際交流というものを肌で味わった気がします。ぜひまた再演か新たな企画などを、期待したいと強く思いました。
平田さんによる作品の特徴としましては、「現代口語演劇」がまず挙げられると思います。舞台上で聞き取れないような小声で喋ったり、同時多発的に会話が展開されたり・・・。まさに既成の演劇理論を超えるような、新しい創作活動をしてきたことは有名ですよね。平田さんの戯曲は緻密で完成的なものが多い気がしますので、いったい平田さん以外の演出家がどう演出するのか?、というところにも期待が集まります。そしてその期待に見事に応えてくれたのが、近作の演出家ロラン・グットマンさん。彼は「現代口語演劇」の特徴をしっかりと抑えていて、平田さんが演出されたような自然な佇まいを見せています。なのに、しっかりとロラン・グットマンさんの「オリジナリティ」が光り輝いていました。これはすごく巧妙なことだと思います。平田さんならでわの自然な佇まいを見せつつも、実際は少し斬新で奇抜さを感じました。そしてこれは国際交流をしなければ完成しない、とても企画と内容に必然性のある作品です。この作品に出会えたことを、心から感謝したいですね。
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ロラン・グットマンさんによる舞台美術が、まず必見の価値に値しました。シアタートラムの舞台上を埋め尽くすかのごとく、大きな広がりを見せている日本家屋のセット。横には八畳間が3箇所あり、後ろには六畳間が3箇所という空間。そんな違和感のある感覚に拍車をかけるのは、壁が全面鏡張りである、ということ。天井は比較的低めに設定されていて、舞台頭上には字幕が設置されています。印象に残ったのは間接照明でしょうか。舞台セットの周りをグルッと一周するかのごとく、青い照明が取り付けられています。青い光が壁にあたるのが最高にクールで、すっかり舞台空間に惚れ込んでいました。抽象と具象が上手い具合に組み合わさった、今回の作品内容と同様に、とても巧妙な狙いが光ります。全体の進行としては音楽はまったく使用されておらず、暗転も行わない一幕ものに仕上げてありました。1時間30分弱という上演時間も、非常に清清しいですよね。
人間にとって逃れられない「死」のあとに待ち受ける、「お葬式」という儀式を淡々と描いた作品でした。人が死ぬということは万国共通の事実。でもその後の儀式は国によって異なり、価値観や文化のギャップが大きくフィューチャーされます。目の付け所からして上手いですよね。大きな争いもなく静かに淡々と進行するものの、そこでは文化の違いが露になっていき、いつしか普遍的な問題や感情の数々が浮かび上がりました。そして場内は笑いで満ち溢れていたのが印象的。さまざまな可笑しなギャップが笑いに直結し、すごく優しくて暖かい雰囲気が劇場内を包み込みます。だけどそれは相手の文化などを意識しての、ぎこちない接し方だったりしました。だからただ可笑しくて笑うという一面性だけでなく、とても深いものが存在しているんですね。終幕時では観客に対して、じんわりと大きな余韻を残します。最後に達者で素晴らしい演技を見せて頂いた役者さん、そして、この公演のためにフランス語を学ばれた、日本の役者さんの功績はとても大きいと思いました。
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