「シス・カンパニー/Bunkamura『写楽考』」
出演:堤真一、高橋克実、長塚圭史、キムラ緑子、七瀬なつみ、西岡徳馬、横笛・和太鼓演奏者
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作:矢代静一 構成・演出:鈴木勝秀 美術:二村周作 照明:倉本泰史 音響:井上正弘 衣装:前田文子 ヘアメイク:高橋功亘 演出助手:長町多寿子 舞台監督:瀧原寿子 プロデューサー:北村明子 提携:Bunkamura 企画・製作:シス・カンパニー チケット料金(全席指定):S¥8,500、A¥6,500、コクーンシート:¥5,000 一般前売開始日:2007年2月25日(日)〜
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2007年4月5日(木)〜29日(日)/渋谷・シアターコクーン/http://www.siscompany.com/
シス・カンパニーがプロデュースを手がける最新公演は、矢代静一さんの「写楽考」をピックアップされています。鈴木勝秀さんが構成・演出を新たに手がけられ、主演の堤真一さんを初めとする、非常に豪華なキャスティングが魅力的。前売券は完売していますが、当日券は発券されています。

≪ものがたり−WEB「シス・カンパニー」より引用させて頂きました−≫
時は江戸・天明の世。 地獄絵を志す「あの男」と極楽絵を志す貧乏侍の子・勇助は、 江戸八丁堀の八軒長屋で奇妙な共同生活を送っていた。 そこに転がり込んで来た世直しを志す浪人・幾五郎。 相次ぐ天災や飢饉で世情は不安ながらも、三人はそれぞれの志を胸に、熱き青春時代を送っていた。 しかし、一人の女の死を境に、三人の人生は大きな運命の渦に巻き込まれていく。 10年あまりの歳月が過ぎ、寛政の江戸の世では、「喜多川歌麿」が描く浮世絵が一世を風靡していた。 そこに突如、猛烈な勢いで錦絵を発表する正体不明の絵師「東洲斎写楽」が登場。 歌麿をしのぐ注目を集め出した。 果たして、謎の絵師・写楽とは一体何者なのか? 写楽がその人生に背負った宿命とは? 写楽を取り巻く人々の運命は?
江戸時代に生きた「幻」と呼ばれる浮世絵師、東洲斎写楽の半生を綴ったストーリーでした。写楽は作画期間が僅か10ヶ月と推定されるほかは、資料なども極めて乏しいため、ほとんど謎に包まれている画家なんですよね。そして今作は矢代静一さんによる上演時間が3時間強という、実のところ非常に長い大作戯曲が元になっています。しかし今回の上演では鈴木勝秀さんが新たに再構成され、登場人物を6人に絞って大幅なカットを行い、上演時間を2時間強ノンストップに仕上げていました。僕は少し前に『写楽考』に触れたことがあり、それは2005年にTHEATRE1010でのこと。劇団MOPのマキノノゾミさんが演出を手がけられ、高橋和也さんや田中美里さんが出演されていて、原作の戯曲通りに上演する完全版の公演でした。そのときはロック・ミュージックや映像を使用したり、エンターテイメントとして成立した「熱い人間ドラマ」、という印象が強く残っています。
でも今回は時代劇のポイントをしっかり抑えながらも、スズカツさんお得意のスタイリッシュ&クールな作風です。それぞれの演出作品に魅力があると思いますが、どちらかと言えば今回の演出のほうが狙いが渋く、センスも良くて惹き込まれました。そして大幅なカットを行ったことで上演時間が短くなり、全体的な疾走感やテンポが上がっていることは確かな事実です。横笛と和太鼓の生演奏にのりながらリズミカルかつスピーディーに、次々と場面転換を行っていくのも見所の一つ。でもこれは写楽の激動な半生を巧みに魅せるのには効果的ですが、その代わり細かな人物描写や濃密な人間ドラマは若干浅い気がしてしまいました。完全版では上演時間がとても長いだけのことがあり、登場人物の葛藤や心理が丁寧に描かれています。これはこれで充分に楽しめる内容だと思いますが、やはり完全版を観ているためなのか、比べてしまうのは否めなかったですね。それに全体的にどこか無難に仕上げすぎているというか、もう少し突出した個性があっても良い気がしました。
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二村周作さんの舞台美術は黒を基調にした、シックで大人な雰囲気を醸し出す空間でした。木材を使って凡そ2階の高さまで作り込まれ、具象と抽象が上手く交じり合ったシンプルな舞台。そこに次々と具象的な日本家屋のセットなどが可動されてきます。あとは写楽が描いた役者絵の巨大化されたものが現れたり、ラストシーンで長閑な田園風景を描いた幕が、バサッと落ちてくる場面などが印象的でした。一番魅せられたのは、お加代が亡くなる場面でしょうか。微妙な照明の渋い変化などもあわさり、非常にカッコよかったです。さて、マキノさんによる演出ではもっと猥雑で濡れ場も激しく、間口の開けた笑いなども多く挿入されていた気がします。それに対してスズカツさんの演出はすごくシンプルというか、良くも悪くも地味というか、どこかパンチ力やパワーに欠けるような気がしました。全体的なセンスの良さなどには魅了されましたが、心に残る場面が少なかったのは残念。戯曲自体が傑作的に面白いと思うので、もっと心に迫ってくるような感動を求めてしまいました。これはこれで完成された作品だと感じますが、更なる可能性があるような気がしてしまいます。
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