「世田谷パブリックシアター『現代能楽集T≪AOI/KOMACHI≫』」
「AOI」出演:麻実れい、長谷川博己、剱持たまき、中村崇、佐渡島明浩 「KOMACHI」出演:手塚とおる、福士惠二、笠井叡 ≪ツアー公演:神奈川、大阪、福岡、北米ツアー、東京≫
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作・演出:川村毅 美術:堀尾幸男 映像:伊藤高志 照明:大野道乃 音響:島猛 衣裳:半田悦子 演出助手:小松主税 技術監督:熊谷明人 舞台監督:山本園子 技術監督助手:福田純平 舞台監督助手:奥野さおり 照明操作:加藤学 音響操作:尾崎弘征 映像操作:中安翌 衣裳進行:阿部朱美 ヘアメイク:高橋幸子(奥松かつら) 宣伝美術:マッチアンドカンパニー 宣伝写真:中居中也 法務アドバイザー:福井健策 営業:清水言一 広報:森直子、森田悠記子 票券:金子久美子 制作:奥山緑、大下玲美、竹内美樹子 主催:財団法人せたがや文化財団 企画制作:現代能楽集「AOI/KOMACHI」北米公演実行委員会 企画・監修:世田谷パブリックシアター、芸術監督・野村萬斎 一般料金(全席指定):6,000円〜4,000円(各種割引あります)
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4月11日(水)〜15日(日)/世田谷パブリックシアター/http://www.setagaya-ac.or.jp/
世田谷パブリックシアターが手がけている「現代能楽集」は、芸術監督である野村萬斎さんが企画・監修のシリーズ。その第一弾として2003年にシアタートラムで初演されたのが、川村毅さん作・演出の「AOI/KOMACHI」。今回の公演は北米ツアーを経て、東京での再演となった次第。

「現代能楽集」というシリーズタイトルからも把握できるとおり、能の演目である『葵』を基にして創作された『AOI』と、同じくして『卒塔婆小町』を基にして作られた『KOMACHI』の二本立てです。きっと基になった演目について知識があれば、もっと深いところまで楽しめる気がしました。でもこの作品を単独して捉えても、もちろん充分に堪能できることと思いますが。とにかくスタイリッシュ&クールな空間で繰り広げられる、ストレート・プレイの強い「AOI」と、パフォーマンス色の強い『KOMACHI』の対照的な2本。退廃的で切れ味の良い言葉と演出で彩られた、非常に興味深く面白い作品に仕上がっていました。やはり北米ツアーを経ての東京公演ということで、全体的なクオリティも高くなっていると思います。僕は魅せられる演出や言葉をはじめ、惹き込まれる役者さんの演技に多々出会えたので、最後まで静かに興奮を覚えつつ、じっくり舞台を見つめました。ただ卑猥だったり大胆な表現も多々あるので、刺激は若干強めの作品でしたが、観に行けて良かったです。上演時間は15分間の休憩を含める、2時間20分弱でした。
第一部の「AOI」は、都会に位置する美容室から始まります。カリスマ美容師・光(長谷川博己)のもとへ、かつての恋人・六条(麻実れい)がやってきて、2人の過去へと物語は追っていく・・・。上演時間は1時間5分弱で、登場人物は男女4人のみ。基本的にはストレートプレイなのですが、大胆だったり洗練された演出が魅力的でした。語られる1つ1つの言葉たちも面白いですし、それを体現する役者さんもスゴいと思います。ラブシーンも過激で大胆だし生々しいのですが、まるで完成された絵のようで、ヒシヒシと美しさが伝わってきました。やはり役者さんではお目当てだった、麻実れいさんと長谷川博己さんの競演が印象的。この公演に出演されている役者さんは皆、立ち姿が美しいというか、生き生きと舞台上で存在をしていました。すごくカッコイイし、シビレました。初演と各地を回ったツアーを経ての公演ですし、このキャストなら納得のクオリティだとも考えられますが、やはりこれはスゴいことだと思います。役者さんを堪能するだけでも、観る価値はあるでしょう。
15分間の休憩を挟んだ後に開幕した「KOMACHI」は、長いこと映画を撮っていない映画監督の男(手塚とおる)が、淡々と不思議な体験談を物語っていきます。それは年老いた映画女優・小町(笠井叡)と、ある古く寂れた映画館で出会うところから始まる・・・。映画監督が自分の身に降りかかったある不思議な体験を語っていく構成で、ストーリーテラーの役割も果たしています。そして舞踊家である笠井叡さんは台詞を一言も発せず、一心不乱に踊りに踊りを重ねていきました。「AOI」に比べると、パフォーマンス的な要素が強いかもしれません。今作では映像が多々映写されますが、想像力を更に高めてくれるようなもので、とても効果的に使用されていると思いました。上演時間は55分弱ほどでして、登場人物は男性3人のみです。残念ながら途中で少しだけ睡魔に襲われたのが、唯一の心残りでしょうか・・・残念。「AOI」も「KOMACHI」も猥雑だったり過激な表現が含まれますが、すごくシャープで洗練されていて、なおかつスッキリとした印象に収まるのが巧妙。
川村 毅著
論創社 (2003.11)
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★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
堀尾幸男さんが手がけられた舞台美術は、一見すると非常にシンプルな仕上がりですが、いろいろな仕掛けがあって魅せられました。台形の真っ白いツルツルとした床のステージがあり、真っ白く巨大な布の壁が舞台頭上から垂れ下っています。とてもクールで洗練された空間ですが、そこに巨大な鏡が可動されてきたり、壁全体に伊藤高志さんによる映像が映写されるのは圧巻。それに加えて布であることを最大限に利用していて、壁をグルグルと回転することを実現したり、影絵を映し出したりするのは非常に効果的でした。視覚的にはすごく近未来的でスタイリッシュなのですが、小道具などを2人の黒子(福士惠二、佐渡島明浩)が現れて、テキパキと転換するのは逆にアナログで面白いと思います。衣装(半田悦子)や照明(大野道乃)、そして細かな音響(島猛)に至るまで、非常に緻密で洗練された腕を見せていただけた気がしました。すごく見応えがあります。
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