【出演】横田桂子、足立昌弥、河内哲二郎、遠藤良子、片岡哲也、畑山佳美、森智恵子、斎藤晴彦、久保恒雄、宮崎恵治、光田圭亮【チケット】全席自由・定員あり:4,300円〜2,500円
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【作】アントン・チェーホフ(戯曲「かもめ」)【英訳】マイケル・フレイン【翻訳】小田島雄志【演出】斎藤晴彦(黒テント)【美術】平野甲賀【衣装】合田瀧秀【照明】齋藤茂男【音響】島猛【舞台監督】高橋淳一【演出助手】伊達由佳里、太田麻希子【制作】宗重博之、岩井加奈【主催】劇団黒テント
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4月20日(金)〜29日(日)/シアターイワト/http://www.ne.jp/asahi/kurotent/tokyo/
間口の広い娯楽作品から前衛的な狙いの光る作品まで、さまざまなジャンルの作品を手がけている、老舗の劇団黒テントの最新公演。今回同劇団がピックアップしたのは、アントン・チェーホフの言わずと知れた傑作戯曲『かもめ』。小田島雄志さんの翻訳で、斎藤晴彦さんが演出されます。

≪あらすじ−公演案内文「劇団黒テント」より引用させて頂きました−≫
湖のほとり、ソーリン家の庭で、女優志望の娘ニーナは芸術の革新を夢見る恋人トレープレフが書いた作品の舞台に立つ。トレープレフはその芝居を、母であり大女優でもあるアルカジーナとその愛人の流行作家トリゴーリンらにみせるが、結果は無残に終わる。やがてニーナはトリゴーリンの名声にあこがれ、彼を慕ってモスクワに旅立つ。だが、その恋に破れ、旅廻りの一座に身を落とす。二年後、ニーナは新進作家となったとレープレフに再会する。「私はかもめ・・・・・・いえ、そうじゃない。私は女優!」ニーナは、再び巡業の旅へと出発した。――2部構成/4幕劇。
今まで目を通したチェーホフの戯曲の中でも、一番と言っていいほど大好きなのが今作「かもめ」。テレビでマールイ劇場での公演を観て大感動したり、今日も劇場へ行く道すがら戯曲を手にしていました。今も昔も変わらない普遍的な「人生」が硬派に描かれており、僕はそれを非常に興味深く、そして共感して魅入ってしまうのです。いろんな意見や個性のある人物が登場してくるのですが、それらが調和されて一つの作品に凝縮されているのが巧妙。ユーモアとウィットが随所に散りばめながらも、絶望と希望が混在する世界を巧みに表現し、言葉の一つ一つも素晴らしく、とにかく必読の価値に値する戯曲だと思います。そして斎藤晴彦さんによる今回の演出はというと、戯曲の良さを最大限に生かすような、シンプルかつ手堅い演出に仕上がっていました。非常に渋くてセンスが良いスタイルでしたので、シアターイワトという小空間で濃密な時間を味わえます。でも役者さんの演技については、満足のいくものではありませんでした。戯曲に縛られているようで生き生きしておらず、上辺だけのコミュニケーションだと感じたのが非常に残念でした。なんだか「俳優」と「役柄」との距離感があるようで、個人的に惹かれる役者さんは数名しか居なかったのが正直なところ。
アントン・チェーホフ〔著〕 / 小田島 雄志訳
白水社 (1998.12)
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いろんな客席形態が可能なシアターイワトですが、今回は通常の劇場と同じ・プロセニアム形式を採用しています。ステージは正方形で白く塗られており、客席側を除く三方の壁面には、薄いレースの白いカーテンが吊るされていました。主に舞台上は素舞台に近い空間でしたので、ベンチや机などの必要最小限のものだけが登場します。真っ白に統一された空間(平野甲賀)なので、照明(齋藤茂男)が美しく映えていました。自然な汚しが入った劇場の壁が露出していて、間接照明があたるのも刺激的。奇を衒わない演出は無難とも言えますが、個人的には好感が持てました。でもやはり役者さんが言葉を伝えることに重点を絞っているのか、役者さん同士のコミュニケーションが散漫になっていた気がします。少し喜劇的な要素を強調したコミカルな演技もありましたが、少なくとも僕の観劇した回では、効果的に作用しているようには思えませんでした。これから29日(日)まで毎日行われる公演ですので、これから更に磨きがかかることを期待したいと思います。
1部(1幕〜3幕)はとても残念な仕上がりだと感じていたものの、やっぱり台詞を役者さんの言葉から直に聞くと感動するもので、随所で涙しながら観てしまいました。でも1部の仕上がりを払拭するかのように、2部(4幕)が非常に素晴らしかったです。ここにきてようやく舞台全体に対して感動し、知らず知らずのうちに涙を流せた気がしました。演出も役者さんの演技もすごく好調で冴えており、たくさん魅せられて目移りしたほど。このような感覚が1部にもあってほしい、と切に思う結果となりました。役者さんでは特に僕が心惹かれたのは、トレープレフ役の足立昌弥さんとニーナ役の遠藤良子さん、そしてトリゴーリン役の斎藤晴彦さんでしょうか。足立さんと遠藤さんは微妙な心の動きを、率直に真っ直ぐと表現していました。斉藤さんは今作の演出も手がけていますから、ちゃんと戯曲や演出意図等を把握して、実力を発揮されていたように思います。僕は特にニーナとの対話の場面が印象的。演出では暗転や場面転換が渋く、作品に惹き込まれるポイントの一つでした。
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