出演:森下亮、金沢涼恵、板倉チヒロ、重実百合、奥田ワレタ、木村美月、久保貫太郎、渡邉とかげ、板橋薔薇之介 ≪大阪公演:5月11日(金)〜15日(日)/in→dependent theatre 2nd≫
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作・演出:青木秀樹 音響効果:笹木健司 照明:床田光世 美術:ステファニー(劇光族) 舞台監督:塚本修 演出助手:北川大輔(劇団綺畸) 小道具:man、板子誠 美粧:増田加奈 平野美沙子 宣伝美術:藤永純一郎、さくらの 宣伝写真:安藤青太 パンフレットデザイン:鈴木由紀子 ビデオ撮影:菊地佳貴 制作:金澤裕、塩田友克、安井和恵、野崎恵 プロデューサー:遠山浩司 企画・製作:office crome チケット(日時・全席指定):1,000円〜3,000円(割引あり)
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2007年4月19日(木)〜5月1日(火)/新宿・サンモールスタジオ/http://crome.jp/
青木秀樹さんが作・演出を手がける「クロムモリブデン」の最新公演は、新宿サンモールスタジオで2週間に及ぶロングラン公演を決行されました。この東京公演が終了した後の11日(金)からは、大阪でも公演を予定されています。ちなみに高校生以下は破格の1,000円(当日券のみです)。

文房具店で万引きをした女性(奥田ワレタ)と、彼女を店の事務所まで連れてきた店員(久保貫太郎)の場面から開幕。女はこれからの自分の人生に大きな不安を感じているが、店員はというと、実は前々から彼女に目をつけていたので事務所に連れて来たのだ。やがて二人のよからぬ妄想から、さまざまな人格が生まれ始める・・・。カラフルかつポップなステージングを散りばめながら、リズム感を抜群に疾走していく1時間30分弱、ただただ「マトリューシカ地獄」に呑み込まれていくような、そんな不思議な感覚に陥りました。噂ではかねがね聞いていたのですが、やはりかなりの独自色がある劇団でした。脚本も演出も俳優もどれも大きく突出していて、さまざまな個性が混在する舞台でしたが、確かに調和と協調がありました。でもただ単にオリジナリティや突出したところがあるだけでなく、それが表現することの面白さや魅力に直結している気がします。個性的なのは大きな強みだと思いますが、ちゃんと生かして使って成立しています。
例えば細部に至るギャグや演出も非常に面白かったですし、軽いように見えて実は奥深い内容で、茶化しているようで実は世の中を強く風刺していたり・・・。惹かれる部分がたくさん点在していて、最後にはその応酬に力強さを感じます。描いていることはすごくスケールが大きなことなのに、実際の舞台はチープ極まりなかったり、そういう狙いがしっかりと効果覿面でした。可笑しくて笑ったりすることもあるのですが、それ同時に頭をひねって思考したくなるような面白さがあります。終演後も強い余韻が残る作品だと思いました。ただ難を言わせていただくと、役者さんが我武者羅に動いているように見えて、若干ですが退屈するような感覚を覚えました。もう少し計算高い緻密さがあったり、洗練さが上がっても良い気がします。確かにほとんどの役者さんが言葉の発し方や立ち姿などについて、多くのバリエーションがあったように思います。でも一貫してそれらの要素に「熱さ」が付いて回るのは、少し勿体無いのではないでしょうか。いろんな個性の集合体のような作品だと思いましたので、個人的には「情熱」と「冷静」が融合かつ混在をした演技を期待したいです。
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椅子にも机にもなる万能の小さな台が等間隔に並べられた、抽象的な舞台美術(ステファニー)に仕上がっていました。全体的には赤と黒が基調にされた若干クールな空間で、衣装も非常にカラフルかつキャッチーです。そして座付きの音響家・笹木健司さんによる音響が、とても迫力満点で強く印象に残りました。さまざまなジャンルの音楽が挿入されていきますが、サンモールスタジオのような小劇場では珍しいほどの、力強い重点音が体を揺らします。どうやらスピーカーが通常公演の3倍のようです。照明(床田光世)もいろいろなバリエーションがあり、最後まで飽きることを知りませんでした。特に暴力を振るう場面ではストロボを効果的に使用して、暴力を振るう演技をダンスのように振付し、そこに大音量の音楽が加わるのは最高にカッコ良かったです。他にもこういったグッと惹き込まれて魅了される、そんな場面がたくさんあったのが観ていて嬉しさを感じた瞬間です。
今作のタイトルにも加えられているとおりですが、「マトリューシカ」が重要なキーポイントです。一人の人物から生まれた様々な人格が舞台に存在し、いわゆる「多重人格」で混在した世界を表現していました。ブラックユーモア溢れる独特の台詞で次々と紡がれる物語は、いつしかどんどん複雑かつ壮大な方向へと進行していきます。これが1時間30分弱という、丁度良い時間に収まっているのが巧妙だと思いました。さて、舞台上で表現されていることは荒唐無稽でチープさも感じますが、描いていることはすごく興味深くて、なおかつ的を得ている気がします。例えば人間の善意や悪意、そして暴力性などを象徴的に描きつつ、軽い笑いを塗していることが魅力だと感じます。リズム感良く観客を飽きさせない工夫がされた、クロムモリブデン流の「エンターテイメント」でありながら、実は非常に鋭い視点が光るユーモア溢れる作品だと思いました。同劇団の次回公演は既に決定していて、今年2007年の12月に大阪と東京で行われるとのこと。ぜひ足を運びたいですね。
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