出演:こいけけいこ、雨森スウ、境宏子、河合咲、清水那保、原田紀行、足立由夏、中田顕史郎
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作・演出:黒澤世莉 舞台監督:青木規雄、松下清永+鴉屋 舞台美術:近藤麗子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 宣伝美術:村山泰子(時間堂) 宣伝写真:松本幸夫 演出助手:谷賢一(DULL−COLORED POP) 制作:田中沙織 提携:王子小劇場 主催:時間堂 全席自由(前売・当日共に、学生券は当日のみ発売):1,800円〜1,500円 ≪時間堂2007計画≫
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2007年4月26日(木)〜30日(祝・月)/王子小劇場/http://www.seriseri.com/jikando/
黒澤世莉さんが作・演出を手がけている「時間堂」。今回は「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の最終選考作品でもあり、時間堂にとって初の再演でもありました。ずっと観に行こうと思っていた時間堂及び黒澤さんの作品ですので、こりっちでの絶賛を半ば確かめる形で、劇場へ伺いました。

≪ものがたり−WEB『時間堂』より引用させて頂きました−≫
とある山奥深く、300年の歴史を誇る由緒正しきひなびた温泉旅館には、 幽霊が出るともっぱらの噂である。祖父の代からの常連客の流行女流作家が、 投宿してから二ヶ月がたつが、彼女の筆はまったく進んでいなかった。彼女が物思いにふけるなか、それを邪魔をするように、 あいたくない人物が次々とやってくる。恋人、恋人の恋人、図々しい愛読者、 編集者、仲居などなど、にぎやかに、かつバカバカしく。 彼女はなぜかみんなと卓球をする羽目になり、そのうちに次々と嘘が露呈していく。なぜ彼女は2ヶ月も山ごもりをするのか。何が彼女をいらだたせているのか。 幽霊は本当にいるのか。ピンポン球はみんなの間を行き来する。 そして彼女は、また作品を書けるようになるのだろうか。−−−−−「1年9ヶ月ぶりの時間堂主催公演かつ、初の再演。」
「深呼吸の出来る演劇」というテーマを掲げることにより、演劇教育と公演活動の二本柱で活動を続ける時間堂。今作は活動の一環である「シネマプライスシアター」という企画で、前売・当日共に1,800円で観劇することができました。かなりのお値打ち価格だと思いますし、普段演劇を見慣れていない人にも、作品の種類や値段からしても強く推薦できる気がします。さてさて、今作の舞台となるのは、山間にある鄙びた温泉旅館の地下にある元・遊戯室。そんなワンシチュエーションのなかで進行していく、じんわりと心に染み渡っていくような物語でした。ユーモアや笑いがたくさん散りばめられていましたので、寂しさを感じる物語の中でも喜劇性が高かったのが印象的です。1時間30分弱という丁度良い時間に収められた今作は、たわいもなくありふれた日常を淡々と描いていきました。筋立てや描いているものが突出して特に目新しいわけではなく、むしろ物語に対して強引さを感じる箇所があったのも事実です。しかしそんなことをいつの間にか忘れていて、思わず舞台に惹き込まれている自分に気づきました。それは役者さんが舞台上で役の一瞬一瞬を生きていて、だから例えば激しい感情を表に出したとしても、溢れんばかりの存在感があったのです。
一人一人の役者さんに一貫した役柄があるにも関わらず、立ち姿や言葉の発し方に至るまで、さまざまなバリエーションがあったのが魅力的でした。人間の複雑かつ面白い感情や身体を、役者さんが驚くほど体現されていました。最近僕が触れた演劇公演でよく気にいたのは、いかにも台詞や物語の展開をただなぞっているだけ、に見えてしまう役者さんの存在です。僕が求めていたのは「コミュニケーション」でした。きっと舞台上や客席へのコミュニケーションが出来ていればこそ、個々の存在感や個性が初めて生かされ、そして自ずと生まれて来るものではないでしょうか。だから今作から一貫して伝わってきたのは、ナチュラルでリアリティを強く感じる人物描写や演技でした。いろいろな演技方法やメゾットがあるのを前提とした上で、僕が現在観たいと欲していた役者さんの存在に、この時間堂の作品で出会えたのは感動的でした。本公演は既に終演してしまいましたが、黒澤さんの作品及び時間堂は、今後の演劇界を語る上で外せない存在だと確信できました。作品自体の内容も心響くものがありましたが、役者さんの存在や演技についても、深く考えることが出来た作品だったと思います。ご興味をお持ちの方は、ぜひ次回公演に足をお運び下さい。
★下記のレポートには、ネタばれが含まれております。どうぞご注意ください。
鄙びた温泉旅館の地下にある元・遊戯室が、全体を通してみると抽象的な要素強めつつ、でも時折具象の要素も散りばめつつ表現されていました。赤い絨毯の少し変形したステージがあり、舞台の中央には卓球台が置かれています。そうなんです、実際に舞台上で卓球を行う場面がありました。きっと卓球をするという予測不可能な行く末次第で、その都度いろいろと変化するのではないでしょうか。面白い効果だと思いました。さて、本公演の特徴はもうひとつ。通常の演劇公演であれば、照明デザインは一公演につき一種類が基本ですが、今回の公演では照明家チーム「Fantasista?ish」による、一公演につき三種類を実現しています。もちろん三つのデザインを一回の上演で観ることはできないので、日替わりで安齋里美さん、工藤雅弘さん、松本永さんの何方かのデザインに触れることになりました。ちなみに僕は千秋楽に伺いましたので、松本さんのデザインを拝見。どうやら他のデザインとはまた違った方向性のようで、舞台頭上に12発の電球が吊るされたシンプルなものでした。また、開演前に青色の照明で客席を照らたり、興味深い趣向も施されました。
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