「Noism07『PLAY 2 PLAY−干渉する次元−』」
出演:青木尚哉 石川勇太 井関佐和子 佐藤菜美 高原伸子 中野綾子、平原慎太郎 宮河愛一朗 山田勇気 ≪新潟→静岡→東京→兵庫という、他地域公演。東京、兵庫はこれから!≫
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構成・演出・振付:金森穣 空間:田根剛 音楽:トン・タッ・アン 衣裳:三原康裕 舞台監督:原口佳子(モリブデン) 照明デザイン:山口暁(あかり組) 主催:財団法人新潟市芸術文化振興財団 製作:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 ≪SPAC「Shizuoka春の芸術祭2007」参加≫
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2007年5月3日(祝・木)〜4日(祝・金)/静岡芸術劇場(SPAC)/http://www.noism.jp/
金森穣さんが舞踊部門芸術監督をつとめる「新潟りゅーとぴあ」の、レジデンシャル・ダンス・カンパニーである「Noism」の新作公演。日本を越えて海外でも積極的に活動を続けるカンパニーで、今回も新潟→静岡→東京→兵庫という他地域でされます。僕は静岡での公演初日を拝見しました。

「シーズン制のヨーロッパスタイル」を取り入れて、日本のコンテンポラリーダンス界で日本発の試みをし、世界各国でも強い注目を集めている同カンパニー。今回は金森穣さんの構成・演出・振付作品ですが、金森さん以外の振付家を招いての公演や、ワークショップなども積極的に行っているようです。そして金森さん及びNoismと各分野のクリエーターとの、刺激的なコラボレーションも見所の一つとなる今回の作品。空間を田根剛さん、音楽をトン・タッ・アンさん、衣裳を三原康裕さんが手がけられています。新潟での初演を経ての静岡公演だったせいもあると思いますが、プロフェッショナルなカンパニーだということを強く実感させられる、とてもクオリティの高い仕上がりに出会うことが出来ました。これから東京や兵庫で公演が控えていますので、もしご興味を持たれた方はぜひ劇場へ足をお運びください。プロフェッショナルで世界的に活躍する日本のカンパニーの、最前線を見届けることが出来る最高のチャンスだと思います。上演中はとにかく集中して舞台を見つめていましたが、気がつくと涙が頬をつたっていて、最後には熱い拍手をおくっていました。上演時間は1時間10分という比較的短い時間ですが、それ以上に強い見応えと余韻が残るのは確かです。東京は今月8日(火)〜10日(木)まで北千住、兵庫は19日(土)のみです。
終演後のアーティスト・トークから察するに、「干渉」や「バタフライ効果」、「波」などがキーワードになった作品でした。それらの感情的だったり思想的だったり、はたまた哲学的な考えなどを、金森さんとNoismは「ダンス」という身体表現を通して、鮮明に体現し描き出していきます。とてつもなく完成されているにも関わらず、それでいて非常に深い世界観でした。終演後に具体的な何らかの考えを持つと言うよりも、抽象的なイメージが先行して心に残った気がします。群舞のようなものから個別で行われるソロまで、さまざまな表現のバリエーションがあり、アクロバティックなのにすごく繊細でした。例えどんなに生々しい表現があっても、どんなに溢れんばかりの力強さがあっても、どんなに切迫した空気を感じたりしても、常に洗練された独特の美意識が存在しています。でもただただ優美で美しいわけでもなく、鋭い切れ味で観客に迫ってくるのが刺激的でした。ダンサーの方々はある一定のビジョンに対して、果敢に挑戦して体現しているプロ揃いだと思います。最高にシビれるほどカッコよく、細部に至るまでに神経が行き届いている気がしました。それでもあえて言わせて頂ければ、若干Noismの一貫した世界観に染まりすぎていると言うか、もう少し独特の世界観を保ち体現しながらも、その中で突出した独自性が光るとより効果的ではないでしょうか。
今回の公演では舞台上奥正面にも客席(自由席)を設けることで、舞台が客席に挟まれた対面式の空間構成を実現しています。きっと舞台上に設けられた席と通常の固定された席とでは、見え方が大きく変わってくるでしょう。舞台上には白くて四角いシンプルなステージが広がり、鏡面仕上げの巨大な特殊パネルが陳列されているだけの空間。マジックミラーの役割を果たしたり、合わせ鏡の役割をしたり、しかもそのパネルをダンサーが可動することで、様々な表現を行っています。空間を手がけた田根剛さんが提案されたそうですが、このパネルは相当な重さがあるとのことでした。そういった可動する際の手順や重要になってくる照明の存在など、スタッフワークの点でも劇場で長いこと作業が出来る、こういう細部にレジデンシャル・カンパニーの強みが出ていると思います。三原康裕さんの衣装は灰色だった黒色だったり、濃いブルーの色合いだったり、とても落ち着いていました。タイツだったりスーツのような井出たちで度々衣装替えがあり、特にある一部分で大きく突出した面白さが生まれていました。トン・タッ・アンさんの音楽は現代音楽というかジャンルに分類されるのでしょうか。でも今時の電子音楽やソプラノ歌手の高らかな歌声、チェロの味わい深い演奏も取り入れられ、クラシックから古典までが融合された、新しい独自性が強く光っていました。