出演:中島美紀、日下部そう、浦壁詔一、古屋隆太(青年団)、福士史麻(青年団)、境宏子(リュカ.)、カネダ淳、井上幸太郎、桜井昭子、綾田將一 ※並木大輔が降板し、代役は綾田將一
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作・演出:明神慈 音楽:木並和彦 舞台美術:杉山至+鴉屋 舞台監督:寅川英司+鴉屋 照明:木藤歩 音響:尾林真理 写真:松本典子 AD:松本賭至 衣裳:フラボン
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2007年6月19日(火)〜24日(日)/こまばアゴラ劇場/http://www.pocarine.org/
明神慈さんが作・演出を手がける「ポかリン記憶舎」による、待望の新作公演です。独自の俳優訓練法「ポかメソッド」を携えており、ワークショップなども精力的に行っています。今回の公演期間中にも「ポかリン時空を体感する二つのワークショップ」と題し、2つの関連企画を開催していました。

見逃してなるものか!と、千秋楽のマチネに足を運びました。こまばアゴラ劇場に到着してみると、受付や誘導はいつもどおり和服姿の女性が行っており、ポかリン記憶舎ならではの雰囲気を既に感じ取れた気がしました。アゴラ劇場は基本的に通りに面した階段から客席に入場しますが、今回は舞台美術の関係で入り口が塞がれているため、エレベーターを使って客席まで伺いました。
客席に入ると劇場を横に長く使った形式が取られていて、いつものアゴラ劇場とはまた違った空間に仕上がっています。落ち着いた青を中心とした色彩のパネルが多く吊られ、黒壁が印象的な劇場とのコントラストもシャープさがあり、間接照明なども効果的に作品を演出していきました。
五月雨の午後。その部屋では写真の一日体験教室が始まっていた。
教室で、とっておきの一枚を撮るための様々な試みが行われる。
もうひとつの眼を得て、野獣と化す人々。無防備な背中。
もうひとつの眼たちは、ある女の「それ」に釘付けになってゆく。
−−−−−WEB「こまばアゴラ劇場」より
ふと気がついたのですが、劇場でポかリン記憶舎の作品に触れるのは初めてでした。思えば2年ほど前の「短い声で」は五反田の東京デザインセンターでしたし、去年の「煙の行方」は須佐命舎という京都にある和洋折衷な空間だったと記憶します。だから、今回は少し新鮮に思えました。
ゆらゆらと揺らめくような均衡を保ち、「地上3cmに浮かぶ楽園」というキャッチコピーの通り、独特の空気や雰囲気を持った作風が印象的です。静かな会話で紡がれていく1時間20分弱の作品ですが、奥底に渦巻く複雑な人間の感情などが、じんわりと、でも確かに暗示されているような魅力がありました。空間演出や効果なども非常に巧妙で、魅せられる瞬間に多々出合えます。
そしてこのうえなく甘美なんです。エロティックと言ったほうが早いでしょうか。さり気無い微々たる動きや、役者さんの存在や立ち姿などから、確かに迫ってくる大人のエロスがあります。
それでも、更に上を目指せるのではないかと思いました。「ポかリン記憶舎」ということもありますし、期待や求めるものが高くなっているのかも知れません。いつも非常に高いクオリティを保っている印象が強いので、日常と地続きで展開する世界を更に高めることが可能な気します。
写真家によるワークショップをが舞台の作品なので、役者さんが実際に写真撮影を行います。作品自体が「写真を撮る」または「撮られる」という行動に着眼していて、面白いと思いました。
空間演出が素敵でした。照明も簡潔なれどビビットな刺激があって、舞台美術とも相性が良かったと思います。音楽も静かでじんわり響くような味わいがあり、とても印象に残っています。