脚本・演出:岩井秀人 出演:永井若葉、田中伸一(開店花火)、内田慈、猪股俊明、坂口辰平、師岡広明(豚肉3カイキ)、岡田昌也、金子岳憲、黒田大輔(THE SHAMPOO HAT)

照明協力:松本大介(enjin-light) 音響協力:荒木まや(ステージ・オフィス) 特殊衣裳:坂東智代(Chacotto) 本番撮影:TRICKSTER FILM 舞台写真:岩井泉 票券管理:有田真代(背番号零) 当日運営:田辺恵瑠 制作協力:原田瞳(tsumazuki no ishi) 制作:三好佐智子

07年7月24日(土)〜8月5日(日)/アトリエヘリコプター/http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
岩井秀人さんが作・演出を手がけられる「ハイバイ」の最新公演。7月から8月にかけて小空間でのロングランを決行し、期間中は再演「ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」と、今回新たに創作された新作「兄弟舟」の2本連続公演を行いました。
僕は「兄弟舟」から拝見しました。本公演未定という前代未聞のプレビュー公演ですが、終演後にアンケートを提出すると、500円をキャッシュバックして頂ける企画がありました。

JR大崎駅、または五反田駅から徒歩で伺える立地の良い場所に佇む、いつもながら個性的で濃密な空間「アトリエヘリコプター」。今回は四角く設えた舞台を、客席がL字型に囲みます。舞台美術は雑然と広がる素舞台に近い形で、椅子や机、照明などが場面によって転換されるだけ。非常にシンプルでした。
この作品「兄弟舟」は初日に拝見し、後日もう一本の「ポンポン・・・」を観て来ました。ハイバイの現在を知ることが出来る新作(「兄弟舟」)、数年前の作品を知ることが出来る旧作(「ポンポン・・・」)の再演。これはカンパニーとっても、観客にとっても有意義なことだと思います。非常に興味深い企画でした。
伝説のヤクザ、若葉はカタギになることを決め、組への恩返しとして、ライバルの親分を暗殺しようと決める。その暗殺作戦のためには、若葉を敬愛する弟分の佐藤の彼女をおとりにしなくちゃいけない。果たして若葉は修羅場を乗り越えて、無事にカタギになることができるのだろうか。謎の若者二人がノンキに事件の渦をかき混ぜ、事態は血で血を洗う凄惨な感じになりそうだ!本人は認めないが、なかなか良い役がもらえなかったハイバイの紅一点、永井若葉が、とうとうたどり着いたヤクザ芝居。本気だ。−−−−−WEB「ハイバイ」より
かなり突飛で荒唐無稽に感じるほどの展開に戸惑いつつも、意味が有るのか、はたまた無いのか、常に作品に引っ張られながらも錯乱を催すような感覚に囚われました。ハイバイならではの現代口語演劇というスタイルのなかで、世界観が大きな広がりを見せていた気がします。これがハイバイの最先端なんだな、と実感できる面白さ、そして特有の魅力を持ち合せた作品でした。
得体の知れない物事を見つめながら、こみ上げて来る可笑しさと同時に、胸に迫ってくる痛みや切なさが印象的でした。ハイバイの公演でしか味わえない感覚ではないでしょうか。
また、特有の世界観を構築し体現できる役者さんが、今作でも多く揃っていた気がします。特にヤクザの若葉役・永井若葉さんと、弟分の彼女役・内田慈さんが印象的でした。
作品の色が大きく異なると言うか、非常に対照的な2本連続公演でした。「ポンポン・・・」では小学生が主人公ですが、今作「兄弟舟」ではヤクザが主人公です。そうです、ヤクザ芝居でした。でもハイバイがやるからには非常に個性的で、また、全体を通しても重層的な構造の作品でした。
ただ、まだ多くの分野で洗練の余地や可能性が残されていると思いました。このようなプレビュー公演を行い、再考を重ねていくことが本公演での完成度に繋がるのかも知れません。
当日パンフレットの掲示によれば、ハイバイの本公演は来年6月に下北沢・駅前劇場で行われるとのこと。楽しみです。ちなみに今回の上演時間ですが、休憩なしの1時間50分弱でした。